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【連載】訪看ステーション「よつば」の公開カンファレンス

CASE09 障害をもちながら子育てをする家族へのサポートを考える1

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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困難事例9 脊髄損傷でありながら子育てをはじめたAさん


子供のころの事故で脊髄損傷(C8Th1)にて不全麻痺があるAさん。
受傷当事は、障害の受け入れに時間がかかったというが、前向きに現実と向き合い、車椅子生活になるも大きな体調の変化はなく過ごし、30歳で結婚した。
妊娠・子育てには体力的自信がなかったため、子供はつくらないつもりであったが、やはり欲しくなり、夫婦で決意して妊娠。周囲からは反対されたが、出産を引き受けてくれる病院を探し妊娠を継続。しかし週数とともに痙性が強く、体調も不安定になったため、胎児への影響を考え、32週で出産に踏み切った。

退院直後は、実家の近くでサポートを受けつつ育児していたが、自立するため退院1カ月後に家族3人で転居した。転居先の役所で、障害を持ちながら生活する上で、母子ともに受けられるサポートについて相談したが、必要な書類や段取りへのサポートがほとんどなく、自分たちで調べてやってくださいという冷たい印象を受けたとのこと。
そのため、Aさん夫妻は役所に対して強い不信感を抱いた状態であった。


カンファレンスの目的

訪問開始時の児は、生後4カ月(修正月齢2カ月)であった。
この家族にとって、今後は多くの社会的サポートが必須であり、それにはまず役所に対する不信感を取り除くことが必要だと考えた。
そこで、どのように地域の多職種や社会資源とこの家族を結びつければよいのかについて、カンファレンスを開き検討することとなった。


rin
りん:役所では、いやな顔をされるかもしれないけれど、今までのAさん家族の経緯を役所に説明し、「役所は何もやってくれない」と諦められてしまっている状況であることは正直に伝えようと思います。
けれどそこには、Aさん側の誤解もあると思いますし、これからは医療と役所が連携してサポートしていくことで、よりよいケアを提供していきたいので、ご協力願いたいことを提案してみますね。

kana
かな:そうですね。まずはそこからですね。よろしくお願いします。


こうして、りんは役所に相談することから始めた。
その結果、役所側も納得し、高齢・障害支援課のケースワーカー、子ども支援課の保健師、訪問看護師と家族で集まり、担当者会議を開くことになった。
このような集まりを何回か繰り返していくうちに、低出生児で生まれた児に対し、保健師が定期的に訪問しに来てくれたり、介護タクシーやその他のサービスなどについても紹介できるようになり、Aさん家族からの不信感はかなり軽減していった。


honoka
ほのか:お母さんのために訪問に入っているのですが、赤ちゃんの相談が多くて・・・。
低出生児のためか、赤ちゃんのミルクを飲む量があまりにも少なくて。Aさんも、修正月齢で考えても小さすぎるから心配だと言うんです。ただ、私たちはお母さんのケアとして入っているため、赤ちゃんのケアはしてあげれず、歯がゆくて。
ですから、定期的に保健師さんが訪問してくれるようになって本当によかったです。

rin
りん:お母さんのほうは、基本的に体調は安定しているようですから、ケアは摘便とシャワー浴介助、そして残存機能を維持増進させるためのリハビリテーションですね。
確かに、赤ちゃんの沐浴なども希望されるのですが、そこはサポートしてあげたいけれど指示書がないとできないジレンマですね・・・。


次ページでは、Aさんの子供へのサポート体制について、よつばスタッフがカンファレンスを続けます。