【連載】訪看ステーション「よつば」の公開カンファレンス

CASE9 障害を持ちながら子育てをする家族へのサポートを考える2

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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困難事例9 障害をもって子育てするAさんへのサポート


前回のあらすじ

脊髄損傷(C8Th1)にて不全麻痺があり車椅子生活をされているAさん。
リスクを抱えながらも妊娠、32週で低出生体重児を出産。しばらく実家のサポートを受けて生活していたが、自立のため家族3人で転居した。
しかし転居先の役所と良好なコミュニケーションがとれず、サービス導入ができずにいたことから、よつばスタッフが訪問看護として入ると同時に、多職種連携に向けて介入を始めた。
現在のAさんにとっての問題は、障害を抱え、車椅子生活の状態での子育てが大変であること。
低出生体重児であるため、発育が遅れがちなのは仕方がないものの、加えてAさんの手が思うように動かせないため、こまめに離乳食やミルクを作ることができず、児の順調な体重増加が図れていないことである。
そのため、Aさんからは、自分のケアよりも赤ちゃんを診て欲しいという訴えが強く、母子共に指示書を書いてくれる先生を探すことから始めた。


rin
りん:成人も小児も診察できて、往診もできる先生として、○○在宅クリニックに相談に行ってきました。
今までの経緯を説明したところ、親身になって話を聞いてもらえました。赤ちゃんも含めて指示書を出せると思う、という回答をいただきましたよ!

honoka
ほのか:本当ですか!よかったですね!
私のほうも、近隣の病院で相談してみましたが、赤ちゃんのほうには障害がないから難しいという反応でした。ですから期待していなかったのですが、あちこちあたってみるものですね!

saki
さき:赤ちゃんへの指示書があれば、私たちも赤ちゃんのために動けますね。
離乳食の指導や便秘のケア、Aさんにはできない沐浴や外気浴、そういうものも保健師さんと連携してサポートしてあげられるようになりますね!
Aさんが心配していた夜間の急な発熱などにも、往診があれば心強いですね。

rin
りん:はい。ただ、赤ちゃんには障害はありませんので、ある程度の栄養状態の改善が行われて、子育て環境が整えられる段階までの指示書になるはずです。
ですから、私たちが全面的に手を出すのではなく、あくまでAさんの家族が育児を含めて自立していけるように、という視点をもって介入していかなければですね。

ta-tin
たーちん:赤ちゃんの成長は目覚ましいですからね。特にはじめての子育てなので、Aさんにとっても、成長の予測がしづらいのだと思うのです。
今はまだ寝返りがやっとの赤ちゃんですが、ハイハイしたり歩くようになってきたら、車椅子で赤ちゃんを追いかけるのは困難ですし、もっといろいろな対策を講じないと、育児が現実的なものにはなりませんよね。

kana
かな:Aさんの車椅子も、高校生のときに作ったもののままで、かなり古い大きなものですし、今後の生活を考えて、もう少しコンパクトで動きやすいものに変えたり、子供が手を車輪に挟まないように工夫したり、もっといろいろ考えていかなければいけませんね。

次ページはでは、その後のAさんについてエピソードを紹介しています。