【連載】冬の多発疾患を極める!

冬の増悪が多い! 非アトピー型の気管支喘息

解説 平井美里

東邦大学医療センター大森病院 救急看護認定看護師

気管支喘息はこんな疾患

●慢性の気道炎症や気道過敏性の亢進によって、気道が狭窄・閉塞を起こしている状態。
●主症状は咳、喘鳴、呼吸困難などで、発作性で反復することが特徴の慢性疾患。
●発作強度には、症状が軽度の小発作、中等度の中発作、高度の大発作、エマージェンシー対応を要する重篤がある。
●深夜から早朝にかけて、発作が出現しやすい時間帯がある。
●症状は発作時にのみ出現する。発作は、労作時のほか安静時にも出現する。
●発作の引き金には、ハウスダストやダニ、花粉、食物などの環境アレルゲン、タバコ、気温・気圧の変化、疲労、ストレスなどがある。
●小児に発症の多いアトピー型と、成人に多い非アトピー型に分類できる。
●アトピー型は春と秋に増悪するが、非アトピー型は冬の増悪が多い。

入院時の対応とポイント

はじめに確認すること

気管支喘息は軽度の発作から重篤発作まで、さまざまな強度がみられます。会話が可能であれば、症状が出現した時間帯や増悪の原因、これまでの治療・診断・入院歴、心肺疾患や合併症の有無、喘息以外のアレルギーの有無、家族歴などについて、迅速に聴取します。

特に外科手術を予定している場合には、喘息の重症度が麻酔法の決定に影響することがあるので、既往の確認を忘れずに行います。また、住環境としてペット飼育の有無を聞くことも大切です。治療・管理の遅れは喘息の重篤化や慢性化をまねく可能性があるため、発生因子につながる情報収集は重要です。患者さんが呼吸苦などで話ができない状況であれば、家族などに確認をとるようにします。

医師には、必要な検査や薬剤投与、酸素投与の有無などについて確認しておきます。

治療につなげる準備

喘息発作では緊急度の判別が重要です。まずは、血液検査、動脈血液ガス分析検査などの臨床検査から病態を評価します。また、アトピー素因の存在を知るため、IgE検査によって特異的IgE抗体の有無を評価します。症状が安定してきたら、スパイロメトリー(気道可逆性試験)やピークフロー(PEF)測定による呼吸機能検査が実施されるので、準備をしておきます。

このほか、COPDや心疾患など器質的心肺疾患を除外するため、胸部X線、CTなどによる鑑別診断が行われます。
次に、薬物治療の開始に備えて点滴ルートを確保します。投薬によっても症状が改善しないとき、重篤発作のときには、酸素投与や気管内挿管による人工呼吸管理が行われることを念頭に置いて行動します。

治療時の対応とポイント

治療と介助

急性増悪時での治療の基本は薬物療法です。気管支拡張薬で狭窄・閉塞している気道を広げ、ステロイド薬で炎症を抑えることで症状の改善を図ることになります。

まず、症状から発作強度を評価し、それに応じて治療を開始します。発作治療薬の第一選択薬は $\rm{β}_{2}$刺激薬で、必要に応じてテオフィリン、アドレナリン、ステロイド薬(副腎皮質ステロイド)、抗コリン薬などが、吸入あるいは注射・点滴によって投与されます。

呼吸困難が強い場合には、投薬のほかに酸素投与を行います。重篤な発作症状では、気管内挿管と人工呼吸器の装着が必要です。症状が改善されるまで治療は継続されますが、発作が治まり症状が安定したら、酸素投与は中止し、抜管して人工呼吸管理を終了します。その後は、自己管理のための教育指導を行います。

発作時は、患者さんが呼吸しやすいように、安楽な体位を保持することも重要です。酸素投与が必要なときにマスクの装着が難しい場合には、無理せず口元に酸素を流すようにします。少し落ち着いてから体勢を整え、マスクを装着し直します。

また、患者さんは換気不全のため、肺に $\rm{CO}_{2}$が貯まった状態にあり、そのため酸素を吸うことができません。口すぼめ呼吸などで $\rm{CO}_{2}$を吐き出すことを意識できるように援助します。

合併症・異常所見を見逃さない!

呼吸状態をみるには、PEF、 $\rm{SpO}_{2}$、 $\rm{PaO}_{2}$、 $\rm{PaCO}_{2}$の値をみていきます。PEFについては患者さんの自己最良値を基準に80%以下、 $\rm{SpO}_{2}$ は95%以下、 $\rm{PaO}_{2}$は80mmHg以下、 $\rm{PaCO}_{2}$は45mmHg以上の場合には、呼吸状態が不良と考えられます。また、呼吸回数や呼吸の深さ、呼吸時の胸郭の動き、姿勢などからも呼吸状態をアセスメントします。

血液検査では気道炎症の指標となる好酸球に注目します。この値が上昇していれば炎症が生じていると推察できます。さらに、血清検査や皮内テストで、特異的IgE抗体の有無を確認します。IgE抗体が検出された場合、ハウスダストやダニなどの環境アレルゲンが、発作に関与していることがわかります。

COPDを合併している場合には、酸素投与時の酸素量や、呼吸評価での $\rm{SpO}_{2}$、$\rm{PaO}_{2}$、 $\rm{PaCO}_{2}$値に注意します。酸素の投与量が多いと $\rm{CO}_{2}$ナルコーシスになることがあるので、呼吸回数や呼吸状態、意識レベルの観察が必要です。特に高齢者ではCOPDのほか、心疾患、肺がん、結核、逆流性食道炎などの合併も多く、起座位での体位保持や喀痰の有無、胸部X線、超音波検査などからの鑑別が重要になります。

看護ケアのポイント

喘息は自己管理が最も重要です。発作が起こった場合にどのように対処すべきか、その理由と対処方法を患者さんに理解・実行してもらう必要があります。

喘息には誘因があるので、起こりやすい時間帯やアレルゲンなどについて説明します。次に、どのように環境を調整するか(例えば、乾燥で粘膜が刺激されるのを防ぐために加湿器を使用するなど)を、できるだけ具体的に説明しましょう。

急性期を脱したら、どのような症状のときに受診すべきかなど、急性増悪への対応も伝えます。患者さんのADLや生活環境に配慮しながら、喘息日記の必要性やPEF値のモニタリング、吸入療法など、自己管理能力の向上を目指した支援が大切です。

また、気道閉塞のために必要な呼吸量が不足したときには、腹筋や呼吸筋以外の筋を使って不足量を補おうとする、努力呼吸がみられます。肩を上下させる肩呼吸、鼻翼を開く鼻翼呼吸、口すぼめ呼吸などがみられたら、呼吸状態を観察する必要があります。

ページトップへ