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【連載】認知症の基礎知識

認知症の診断

解説 一宮 洋介

順天堂大学医学部附属順天堂東京高等高齢者医療センター 副院長・メンタルクリニック 教授

Ninchi

認知症の診断方法

 認知症の診断の第一歩は原因疾患の鑑別を行い、治療可能な認知症を除外することです。このとき、意識障害であるせん妄、老人性うつ病との鑑別も重要です。治療可能な認知症には慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、梅毒などの炎症性疾患、髄膜腫などの腫瘍性疾患があります。これらは原因となる疾患を治療することで回復が可能となります。
 認知症の診断は、認知機能検査や神経学的所見などによる臨床症状の評価と、血液検査、画像診断、脳波検査、病理所見などの臨床検査によって行われます。

臨床症状の検査

 認知機能の検査法には改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)や、ミニメンタルステート検査(MMSE)などがあります。

 HDS-Rは日本で開発されたもので、臨床でよく用いられる代表的な質問式の検査です。「歳はいくつですか」「今日は何年の何月何日ですか、何曜日ですか」「知っている野菜の名前をできるだけたくさん言ってください」といった質問や、あらかじめ覚えてもらった言葉や物を後から思い出して答えてもらいます。最高得点は30点で、20点以下で認知症が疑われます。

 MMSEは認知症のスクリーニングテストとして、世界的に用いられている検査です。見当識、記憶、計算、注意力、言語機能、構成能力についての質問のほか、文章や図形を書く問題もあります。最高得点は30点で、23点以下の場合に認知症が疑われます。どちらの検査も、質問に答えることができないと評価ができないので、高度の認知症の場合は使用できません。

 また、意識が清明であるかどうか、足を引きずっていないか、手足は動くか、パーキンソン病のような手足の震えはないか、身体の硬さやバランスに問題はないかといった、神経学的所見の有無を確認します。

臨床検査の方法

血液検査は貧血や感染症など、基本的な身体の評価をするために行われます。
 画像診断としては頭部CT検査、頭部MRI検査、脳血流検査、PETなどがあります。頭部CT検査では脳の萎縮、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などの頭蓋内の病的異常所見を調べます。頭部MRI検査も頭蓋内の病的異常所見を調べるものですが、水平断のほかに前額断や矢状断などをみることが可能です。ただし、動脈瘤の結束クリップや心臓ペースメーカー、固定用の金属プレートなど、体内に金属のある患者さん
には行えません。

 CTやMRIが形態学的検査であるのに対して頭部PET検査では脳の機能障害を調べることができます。形態画像で異常がなくても、PETでグルコースの代謝をみると、機能障害のある部分を検出することができます。

 脳血流検査は脳血流シンチグラフィー、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(single photon emission computed tomography:SPECT)と呼ばれます。これは放射性物質のマーカーを注射して脳を巡るマーカーの放射線量を測定し、脳の血流を評価します。

 脳波検査は頭皮上から脳神経細胞の電気的活動を測定します。特に意識障害の評価のほかに、プリオン病が疑われる場合は特殊な脳波の所見が認められるので、診断に役に立ちます。

 これらに対して、病理検査は患者さんが亡くなった後で病理解剖を行い、診断の確定を行う方法です。アルツハイマー病の場合は、大脳の神経細胞の脱落と老人斑、神経原線維変化の出現で確定されます。

(ナース専科マガジン2014年2月増刊号より転載)