【連載】冬の多発疾患を極める!

【脳梗塞の看護】治療・ケアの流れを知っておこう!

解説 平井美里

東邦大学医療センター大森病院 救急看護認定看護師

Winter disease

脳梗塞はこんな疾患

●何らかの原因で、脳の血管が狭窄・閉塞し、虚血が起こって、その血管が支配する領域の脳組織が壊死した状態。
●おもな原因は、高血圧、動脈硬化、血栓など。心疾患、糖尿病を持つ人も高リスク。
●病態によって、アテローム血栓性脳梗塞(粥腫が原因の血栓による閉塞)、心原性脳塞栓症(心臓内血栓遊離による閉塞)、ラクナ梗塞(血管壁の変性による閉塞)に分類される。
●片麻痺、感覚障害、構音障害、失語・失認、意識障害などの症状がみられる。
●壊死した箇所により障害が異なり、およそ3分の2に後遺症が残って、ADLが低下する。
●代表的な後遺症には、片麻痺、失語、失行、半側空間無視などがある。

入院時の対応とポイント

始めに確認すること

rt-PA静注療法(血栓溶解療法)の適応かどうかの判断が重要になります。そのために、発症時の様子「いつから」「何をして」「どうなった」を確認します。この場合、発症後4.5時間を超えているなど、適応外(禁忌)になる因子を知っておく必要があります。本人に意識がない場合は、家族に聴取します。このとき、既往や家族歴についても聞きます。

また、血液検査、胸部X線、心電図の検査データも準備・確認します。

さらに、NIHSS(National Institutes of Health stroke scale)による重症度判定を行うため、各項目について聴取・評価を行います。このスケールによる判定は、療法実施中も決められた時間ごとに行い、その結果は治療における重要な指標となります。

医師に以上の聴取内容を伝え、rt-PA静注療法の適応かどうかを確認します。

rt-PA静注療法は、合併症として頭蓋内出血のリスクを伴う治療なので、適応になった場合は、本人または家族の同意が必要となります。説明は医師が行いますが、本人・家族が十分に理解しているかを確認し、必要があれば補足説明します。

治療につなげる準備

rt-PA静注療法は、脳内で出血がある場合は禁忌となるので、画像診断で確認する必要があります。発症直後(24時間以内)の場合には、CT画像では確認できないため、MRI検査を行うことになります。MRI検査の場合、造影剤使用の同意書が必要となるので、検査室への連絡などの準備を行う際は、同意書を準備、本人もしくは家族の同意を得ます。

また、rt-PA静注療法が適応外になった場合は、脳保護療法、抗血小板療法、抗凝固療法、抗脳浮腫療法などの薬物治療が行われるので、医師に内容を確認し、薬剤を準備します。

気道閉塞が認められたら、気道確保し、酸素を投与します。また、モニタを装着し、治療が開始されるまでの間、患者さんの容態に変化がないか全身状態を観察、急変に対応できるように準備します。

頭痛や嘔吐などの症状が激しく、安静が保てない場合には、検査や治療に影響が出るので、制吐薬や鎮痛薬の投薬を医師に確認します。

rt-PA静注療法の作用を知ろう

 脳梗塞の病巣周辺には、機能障害はあっても回復可能な脳細胞領域があります。しかし、その領域も数時間後には壊死してしまいます。その前に薬剤を投与して血栓を溶解し、血流を再開させて壊死を防ぎ、症状の改善を図るのが、血栓溶解療法です。血中にあるプラズミノゲンが、rt-PA剤で活性化されてプラズミンとなり、血栓を溶解、脳血流が再開します。

治療時の対応とポイント

治療と介助

rt-PA静注療法が適応となれば、アルゴリズムに沿って直ちに治療が実施されます。アルテプラーゼ(rt-PA)は0.6mg/kgと定められており、体重によって投与量が決まります。まず10%を1~2分かけて急速投与し、残りを1時間かけて持続静注します。

適応外であれば、脳保護療法、抗血小板療法、抗凝固療法、抗脳浮腫療法が行われます。
また多くのケースで、降圧薬によって血圧コントロールが行われます。

看護師は、治療方法が決まったら、すぐに投与薬剤の準備をします。

各療法のおもな使用薬剤
脳保護療法 エダラボン
抗血小板療法 オザグレルナトリウム、アスピリン
抗凝固療法 ヘパリンナトリウム、アルガトロバン
抗脳浮腫療法 高張グリセロール(10%)

観察はココを見る

rt-PA静注療法の場合、投与開始後15分経過したらNIHSSで症状をチェックし、1時間以内は15分ごとにチェックを続けます。投与終了後も、1~7時間は30分ごとに、それ以降24時間経過までは、1時間ごとにチェックを行います。血圧測定についても、投与開始後2時間までは15分ごと、2~8時間は30分ごと、それ以降24時間までは1時間ごとに実施します。万一、NIHSSで悪化が確認されたり、頭痛、悪心・嘔吐、急激な血圧上昇・低下がみられたら、緊急CT検査を行い、頭蓋内出血の有無を確認します。

同様に、ほかの薬剤投与でも、悪心・嘔吐などの副作用の可能性があるので、全身症状を観察して、副作用の有無を確認します。



次ページでは、治療後の対応とポイントについて解説します。