心筋炎・心内膜炎の原因と症状

解説 船﨑 俊一

埼玉県済生会川口総合病院 循環器内科 部長(兼務) リハビリテーション科 主任部長


▼心不全の看護について、まとめて読むならコチラ
心不全の看護|原因、種類、診断、治療


心内膜炎

 心内膜炎は、免疫力が低下している高齢者などに細菌やカビなどが心臓の弁膜に感染することで起こる心内膜の炎症です。正常な弁膜であれば、血流が良好で弁膜の表面は滑膜なので菌が感染する余地はありません。しかし、人工弁、弁膜症の患者では菌が弁膜やその周囲の内膜に付着する可能性があります。

 心内膜炎の症状は原因不明の熱が出ることです。治療には大量の抗菌薬が使われます。

 治療が遅れ、感染した菌がある一定期間体内にとどまると、菌の周りが被膜でおおわれてしまい、治療が困難になります。その状態になると心内膜が破壊され、二次的な弁膜破壊が起こり、弁の閉鎖不全症が起こるため、弁置換の手術が必要になることもあります。

心筋炎

 心筋炎は、免疫力が落ちている人が重症のウイルス性感冒にかかるなどのウイルス感染が原因で、心筋にウイルスが入ることで心臓の筋肉に炎症が起こります。

 心筋炎になると、ショック症状を起こす人が多いです。劇症型心筋炎では特にその傾向があります。ウイルスの感染によって、心筋がむくみ、心臓の拍動を司る電気の流れが悪くなります。心電図をとると、心室筋内での伝導不良のためQRS幅が広くなります。重症例ではQRS-T波が歪な奇異な(bizarreビザーと呼ばれる)心室波形がみられることがあります。また、急性心筋梗塞のようなSTの変化が起こることもあります。なお、参考までに心筋生検所見では心筋の錯綜配列の歪みをbizarreと表現します。

心室波形
図 心室波形

 心筋炎は自然に治る人が多いですが、1割程度の患者さんで劇症型心筋炎の状態が進行して、筋肉が変性してしまいます。その結果、拡張型心筋症に移行する患者さんもいます。

 治療としては、劇症型心筋炎の患者さんでは病状が悪化しないように全身管理をし、ショックを起こして血行動態が破たんした場合はPCPS(経皮的心肺補助法)を使用することもあります。心電図でQRSの延長がみられる重症例の場合には、ステロイドを使用し心筋の保護も行われます。

 PCPS:人工心肺装置を用いて、心臓と肺の両方の機能を補助する方法

ページトップへ