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【連載】伊藤麻紀先生の『ストーマケアはじめの一歩』

第12回 ストーマ装具とは~ストーマ装具の構造と種類

執筆 伊藤 麻紀(いとう まき)

日本赤十字社医療センター 循環器・泌尿器科病棟/皮膚・排泄ケア認定看護師

Np ito maki

Toilet kaiben

ストーマ装具とは

ストーマ装具は、ストーマに装着する器具をさし、消化器用装具、尿路用装具、小児用装具があります。一般的には、面板とストーマ袋から構成されています。

面板とストーマ袋が一体型となった単品系(図1)と、面板とストーマ袋が別々になっている二品系(図2)に分かれます。単品系装具の場合、面板とストーマ袋を一度に交換します。一方、二品系装具は、面板を貼付したまま、ストーマ袋の種類を交換することができます。

フリーカット単品系装具の写真
図1 フリーカット単品系装具
エスティーム インビジクローズ ドレインパウチ(コンバテック)

デュラヘーシブ ナチュラ Mフランジ、バリケア オートロック ドレインパウチの写真
図2 二品系装具の一例
左:デュラヘーシブ ナチュラ Mフランジ(コンバテック)
右:バリケア オートロック ドレインパウチ(コンバテック)

面板

面板は、ストーマ袋などを身体に装着する部位を指していいます。

面板の構造

全面皮膚保護剤材、皮膚保護材の外周に粘着テープがついたもの、および全面粘着材装具のもの、テーパーエッジにがあります。皮膚保護材は、排泄物や分泌物の皮膚接触を防止し、皮膚を生理状態に保つ作用がある吸収粘着材で、多くの面板で使われるようになってきています。

面板ストーマ孔

面板に開いている穴をストーマ孔といい、小さく開いている初孔はストーマの大きさに合わせて切って使用します。既成孔は、一定のサイズでストーマ孔が開いているもので、どちらのストーマ孔も最外周より外側にストーマ孔を開けないようにします。また、ストーマ孔を手で自由に広げることができる自由孔の面板もあります。

面板の形状

形状は、粘着側が平面になっている平面型と、粘着側が凹んでいる凸型嵌め込み具内蔵型(図3)があります。凸型嵌め込み具の深さは、浅いものから深いものまであり、形状も、すり鉢状に面板の広い面積に内蔵されているもの、ストーマの近接部を中心に狭い範囲が凸型になっているものなど、製品によってそれぞれ異なる特徴をもちます。

凸型嵌め込み具内蔵型の面板デュラヘーシブ ナチュラ MCフランジの写真
図3 凸型嵌め込み具内蔵型の面板
デュラヘーシブ ナチュラ MCフランジ(コンバテック)

フランジ

二品系装具には、面板とストーマ袋をつなぐためのフランジ(嵌合部)があります(図4)。フランジの形状は、面板から浮き上がっている浮動型、面板に固定されている固定型、ロック機能付き固定型フランジ、粘着剤付き浮動型フランジがあります。

固定型フランジは、面板貼付後にストーマ袋を嵌め込む際に、腹圧をかけて圧迫するなどの工夫が必要です。浮動型フランジの場合、面板とフランジの間に指が入るため、ストーマ袋の上からフランジを指で挟むようにしてはめることができます。

フランジデュラヘーシブ ナチュラ フランジの写真
図4 フランジ
デュラヘーシブ ナチュラ フランジ(コンバテック)

ストーマ袋

ストーマの袋は大きく分けて、コロストミーに使用する採便袋、ウロストミーに使用する採尿袋に区別されます。
 

採便袋

採便袋は、閉鎖型と開放型があります。開放型のものは、排泄口の部分が採便袋の上側より狭くなっているものと、採便袋の上部から下部まで同じ広さになっているオープンエンド型があります(図5)。

オープンエンド型は、排出口から手を入れられるように広くなっているため、術直後などストーマに直接触れる必要がある場合に使用します。

排出口が広く、閉鎖具はマジックテープの閉鎖具一体型装具と、クリップを閉鎖具として使用するものがドレナブル型で、採便袋としては一般的です。ガス抜き用のフィルターがついているものが多くあります。

イレオストミー用装具は、逆流防止弁、防臭フィルターがついているものがあります。容量が大きく、閉鎖具がキャップ式になっているのが特徴です。

また、採尿袋の閉鎖具より広めのキャップ式閉鎖具となっており、食物残渣がつまりにくい構造となっています。逆流防止弁は、水様便がストーマ孔周囲に戻ることを防ぎますが、食物残渣がつまり、ストーマ孔周囲に便がたまってしまうこともあります。その場合は、手で逆流防止弁を破って使用すると、閉鎖具方向に便が流れやすくなります。

オープンエンド型アクティブライフ 術後用パウチ Sの写真
図5 オープンエンド型
アクティブライフ 術後用パウチ S(コンバテック)

採尿袋(図6)

袋の容量は採便袋よりやや大きく、排出口が管状になっています。また、ストーマへ尿が逆戻りしないように、逆流防止弁がついています。脱臭フィルターはなく、製品により接続管の形状が異なるため、取り扱いに注意します。

二品系採尿袋バリケア ナチュラ ウロストミーパウチ(尿路用)の写真
図6 二品系採尿袋
バリケア ナチュラ ウロストミーパウチ(尿路用)(コンバテック)

アクセサリー

アクセサリーは、粘着剥離材、洗剤、皮膚皮膜材、固定具、脱臭剤、腹帯・カバー類、その他(ストーマケア用はさみ、フランジカッター、ノギスなど)があります。
 

粘着剥離剤

粘着剤を剥離する薬剤で、ストーマ装具や粘着剤を剥離する際に使用することで剥離刺激から皮膚を守ります。

洗剤

ストーマ周囲を洗浄するときに使用する、皮膚のpHに近い弱酸性の製品です。洗い流すタイプのものだけではなく、拭き取り洗浄剤などもあります。

皮膚皮膜剤

皮膚を薄い皮膜で被覆する薬剤のことをいいます。皮膜により皮膚保護し、粘着テープなどが直接皮膚に触れることを回避できます。皮膚障害があるときには、刺激となるため使用しないようにします。スプレータイプ、ワイプタイプ、綿棒タイプがあり、ワイプタイプや綿棒タイプは1回分使い捨てで携帯に便利です。

固定具

装具の固定に使用する用品の総称です。ベルトやガスケット、プレート、粘着テープなどがあります。

脱臭剤

消臭法には、悪臭を分解・吸着して減弱する方法と、香水でわかりにくくするマスキング法があります。ただし、マスキング法はにおいの原因と混ざり不快なにおいとなることがあるため注意します。ストーマ用品としては、分解型や反応型、吸着型の脱臭剤が販売されています。

脱臭フィルターは、ストーマ袋にもともと付いているものもあります。

ストーマ袋の中に入れて使用するものは、液状、粉状、活性炭を袋に詰めたものなどがあります。ストーマ袋そのものにも消臭効果はほどこされていますが、排泄物を処理する際のにおいが気になる場合に使用すると便利です。

ほかに、シート状のものでストーマ袋や衣服の上から覆って使用するものや、スプレーで空間のにおいを消臭をするものもあります。

腹帯・カバー

筒状の腹帯類は、装具の袋の部分に穴をあけて、腹部の保温やベルト使用による皮膚障害を予防する目的で使用します。袋カバーはストーマ袋を覆い、直接見えないようにすることと、ストーマ袋が直接皮膚に触れるのを防ぐために使用します。

皮膚保護材の作用機序

皮膚保護材は、排泄物を直接皮膚に付着させない作用、アルカリ性の腸液、便や感染尿を吸収して、皮膚表面を弱酸性に近づける作用(緩衝作用)、細菌が繁殖しにくいpH環境にする作用(細菌繁殖阻止作用)、発汗や不感蒸泄を吸収し、皮膚を浸軟から防ぐ作用(吸収作用)があります。

親水性ポリマーと疎水性ポリマーに分かれています。親水性ポリマーは、カラヤガム、ペクチン、カルボイシルメチルセルロース(CMC)などの成分で構成され、ph緩衝作用をもち、水分を吸収すると溶解または膨潤して、皮膚を保護します。

一方、疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン(PIB)、スチレン・イソプチレン・スチレン(SIS)などがあり、皮膚への粘着性、耐久性に作用します。配合は製品ごとに異なります。

製品カタログなどで、各製品に「KPB系」や「CPBS系」という記載をみたことがある人も多いと思います。これは、皮膚保護材の配合成分を表しているもので、KPBはカラヤガム、ペクチン、PIBが配合成分であることがわかります。最近ではポリマーの種類も増えてきており、記載されている頭文字の種類も増えてきています。

皮膚保護材の材型

材型分類では、板状皮膚保護材、練状皮膚保護材、粉状皮膚保護材、用手成形皮膚保護材があります。

板状皮膚保護材

板状のもので他の材形より硬く、耐久性があります。

練状皮膚保護材

チューブに入っているペースト状の皮膚保護材です。しわやくぼみにフィットしやすい一方、水分を吸収し膨潤・崩壊するため、尿路系ストーマでの使用は避けます。

粉状皮膚保護材

粉状になっている皮膚保護材で、ストーマと皮膚保護材との隙間、いわゆるストーマ近接部を保護したり、皮膚保護材貼付下にびらんが発生した際に、ごく少量を散布します。水分を吸収するとゲル化し、崩壊するのが特徴です。

用手成形皮膚保護材

練って形を作ったり、必要な形に切って面板下のしわやくぼみ、凹凸を補正するのに使用します。練状皮膚保護材に比べて耐久性があります。水分を吸収した後の変化は、製品ごとに異なります。

文献
ストーマリハビリテーション講習会実行委員会 編(2006).ストーマリハビリテーション理論と実践,136-147.金原出版株式会社.東京.

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