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【連載】逝去時のケアを極める

グリーフの種類(予期悲嘆、通常のグリーフ、複雑性悲嘆)

執筆 古井 奈美

東京都健康長寿医療センター 緩和ケア認定看護師

Grief

逝去時によく用いられる用語の定義とグリーフの種類について解説します。


【目次】


逝去時・エンゼルケアによく用いられる用語の定義

喪失

広範な概念であり、「以前に所有していたものや、愛着を抱いていたものを奪われる、あるいは手放すこと」をいいます。
近親者の死などの体験は「対象喪失」と呼ばれます。

ビリーブメント

大切な人を亡くす経験をした故人の客観的な状況を表します。

ビリーブメントケア

大切な人を亡くした人(死別体験者)に対するケアのことをいいます。

グリーフ

喪失に対する反応、喪失によって引き起こされる心身の反応、喪失によって生じる心理的・身体的症状を含む感情的反応(抑うつ、絶望、悲しみなど)をいいます。

グリーフプロセス

故人の死を受け入れるとともに、喪失に伴う役割の変化や人間関係の再構築などに適合し、故人のいない生活に適応する過程のことです。

グリーフワーク

喪失体験について話したり、感情を表出することなどで、自身のグリーフと向き合う作業のことです。

グリーフサポート

グリーフ反応への介入を行うことを表す用語です。

【関連記事】
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グリーフの種類

グリーフ(悲嘆)には以下の3つの種類があるとされています。

予期悲嘆(anticipatory grief)

患者さんの死が予測される前に生じるグリーフを指します。通常の悲嘆との違いとして、①患者さんとご家族の両方が経験する、②死によって必ず終わる、③時間が経つにつれ増大する、④否認される傾向がある、⑤希望を含む(引用・参考文献1)という5点があります。

通常のグリーフ(悲嘆)

通常のグリーフは正常な反応で、病的なものではありません。

複雑性悲嘆(complicated grief)

グリーフ反応の程度や期間が通常の範囲を超える場合には、専門的な治療が必要となります。以前は病的悲嘆(pathological grief)という用語が用いられていましたが、通常のグリーフと病的なグリーフの境界が明確ではないことや、「病的」という表現が適切ではないことから用語変更されています。最近では、診断基準化に向けて遷延性悲嘆障害(prolonged grief disorder)という用語も提唱されています。

複雑性悲嘆につながる危険因子として、死の状況にかかわる要因、喪失対象との関係性にかかわる要因、悲嘆当事者の特性にかかわる要因、社会的要因の4つのカテゴリーが報告されています。

また、公には認定されず、社会的に正当性が認められない悲嘆として、「公認されないグリーフ(悲嘆)(disenfranchised grief)」(引用・参考文献2)があります。「複雑性悲嘆」のリスクが高まるとされています。


【引用・参考文献】
1) 坂口幸弘:悲嘆学入門||死別の悲しみを学ぶ、昭和堂、2010、p.005.
2) 坂口幸弘:死別による悲嘆とはなにか?、EB NURSING 11(4)、2011、p.40.