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【連載】訪看ステーション「よつば」の公開カンファレンス

CASE12 神経質で細かい要求が多く、ヘルパーが疲弊してしまったケース【1】

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

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困難事例12 ベッドのチリ1つで何度も呼ぶBさん


60歳男性のBさん。多発性硬化症により、現在ベッド上での寝たきりの生活。
82歳の母親との2人暮らしである。
細かいところが気になる性質である。ベッド上にあるチリ1つが気になり、1つひとつつまんでは、ゴミ箱を持ってこいとヘルパーや母親に要求するような言動がみられ、かなりの神経質である。
訪問看護では、主に摘便と尿道カテーテル管理を目的に週4回、訪問している。
看護師への要求も細かいが、ヘルパーにはもっと細かく、Bさんの要求の細かさについて行けずにヘルパーが疲弊し、どんどん辞めていく事態となり、急遽、担当者会議が開かれた。

担当しているヘルパーによれば、Bさんからの訴えは次のようであった。
ヘルパーA「ともかく要求が細かいんです。どんなにシーツのシワを延ばしても、『まだお尻が痛いからシワが残っているはずだ』と納得されなくて。本人の要求につき合っていたら、どんなに時間があっても足りません」
ヘルパーB「私は触っていないのに、触るなと怒られました。また、コップをちゃんと拭いてから渡しても、濡れてると文句を言われてしまうんです」
ヘルパーC「尿のチューブが痛いから位置を調整してほしいと言われて触ると、引っ張ったりなどしていないのに、チューブを引っ張ったと言われて困りました。痛くなったのは私のせいだと言われ、チューブを触るのさえ嫌になります。『気にしすぎるから痛くなっているだけなんじゃないですか?』と、思わず言ってしまい激怒されました。

他にもヘルパーからの不満の訴えはかなり多かったため、よつばでは、彼らヘルパーにどんなアドバイスをすればよいか、カンファレンスすることとなった。


kana
かな:いまさらBさんの性格を変えることは困難だと思うので、Bさんの疾患からくる特性をヘルパーさんに理解していただく必要があると思っています。

rin
りん:それは知覚異常のことですね?

kana
かな:はい。Bさんには知覚異常があり、触ってもいないのに触られているような気がしたり、濡れていないのに濡れていると感じたりすることがあるのです。また、その知覚異常をいろいろなことに関連づけて納得しようとする傾向があるので難しいんですよね。

saki
さき:だからシワをいくら伸ばしても納得されなかったり、チューブを引っ張ってもいないのに痛くなったと言われたりするんですね。

kana
かな:だと思います。もちろんそれだけではなく、もともと神経質な性格がある上に、ベッド上での生活を強いられるようになり、余計にベッド上のチリなどが気になっているのではないかと思いますが・・・。

honoka
ほのか:とはいえ、ヘルパーの口から、「それはあなたの知覚異常のせいです」なんてもちろん言えませんものね。どうしてあげたらいいのでしょうか?

kana
かな:私としては、まずヘルパーたちが、Bさんには知覚異常があることを知り、その痛みはBさんにとっては本当に痛いと感じているものだということを、理解するのが一番だと思うのです。
こんなにシワを延ばしているのにこれ以上どうしろというの?という気持ちでかかわっているうちは、すべてが上手くはいかないと思うのです。

rin
りん:そうですね、バルンチューブの痛みにしても気のせいではなく、実際にも結晶ができやすい方なので、それが尿道を刺激して痛みの原因となっている可能性もありますよね。

saki
さき:でもヘルパーが、そんな解説を本人にすることは難しいですよね・・・。

kana
かな:これも同じことではないでしょうか。確かにチューブの違和感を頻回に訴えられ、何度も確認させられたら、「気にしすぎでしょ!?」という気持ちになるのはよくわかります。
けれど、Bさんは本当に痛いんだと思ってあげられたら、優しい気持ちになり対応も変わるのではないかと思うんです。

rin
りん:つまりはヘルパーと看護師の情報共有が大切だということになりますね。

honoka
ほのか:じゃあ具体的にヘルパーはBさんにはどうかかわればよいと思いますか?

よつばのカンファレンスはまだ続きます。



次回は、ヘルパーの具体的なかかわり方について、カンファレンスの結果をご紹介します。



ステーション「よつば」スタッフプロフィール

りん(所長)
訪問8年目(看護歴32年救急他)在宅ケアでの創意工夫の才能はピカイチ。勉強家で人情が厚く面倒見がよい。スーパーポジティブ思考の持ち主。
さき
訪問6年目(看護歴28年オペ室他)
神社仏閣巡りが趣味の歴女。またDIYも得意。面白き事もなき世をおもしろくが座右の銘。夢への妄想パワーは半端なし。
たーちん
訪問11年目(看護歴33年):スーパーグランマナースで超自由人。しかし可愛い笑顔で憎めない。利用者さんの為ならエンヤコラ。テニスから茶道までサラリとこなす我がステーションの親分的存在。
ほのか
訪問1年8カ月(看護歴15年小児科他)老若男女に好かれる天性の明るさの持ち主。癒し系キャラ。現在、スポーツクラブのZUMBA(ダンス)にハマっている。
かな(主任)
訪問5年目(看護歴16年。NICU他)思い込んだら一直線。やや天然ボケあり。訪問看護と猫と執筆活動(この原稿含)と音楽活動をこよなく愛している二児の母。