【連載】訪看ステーション「よつば」の公開カンファレンス

CASE12 神経質で細かい要求が多く、ヘルパーが疲弊してしまったケース【2】

執筆 川上 加奈子(かわかみ かなこ)

株式会社のものも よつば訪問看護リハビリステーション 看護主任

困難事例12 細かく要求の多いBさんとのかかわり


前回までの経緯

60歳男性のBさんは、多発性硬化症で現在ベッド上での寝たきり生活を送っている。
かなり神経質であり、異常なまでのシーツのシワ伸ばしや尿道カテーテルの位置の再確認に、担当のヘルパーたちが疲弊し、どんどん辞めていく事態となったため、急遽、担当者会議が開かれることになった。
そこで、浮き彫りになったのは、ヘルパーたちがBさんの疾患からくる知覚異常を把握していなかったこと。そのために誤解が起きていたことも判明した。

そこで、ヘルパーとの情報共有をさらに強化するとともに、ヘルパーのかかわり方についても考えることとなった。


ほのかのイラスト
ほのか:情報共有の大切さはわかったのですが、具体的にはヘルパーはどうかかわったらよいと思いますか?
具体的に指導してあげないと、たぶん皆さんもわからないと思うんです。

かなのイラスト
かな:そうですね。これはあくまで私の案ですが、シーツのシワ伸ばしに関しては、しっかり伸ばしたら、そのあとは安心させてあげる発言を繰り返せばよいのではないかと思います。
「もうこれ以上は引っ張っれません!ピンピンです!」とか…。
Bさんもはじめは納得されないかもしれませんが、ヘルパーの側もいつまでもムキになって引っ張るのではなく、「Bさんは知覚異常が原因で納得できないのかな」と考え、軽く引っ張りながら、「ほら!もう引っ張れません」とアピールするしかないかと。

さきのイラスト
さき:なるほど!ではバルンチューブの痛みに関しては具体的にどうしますか?

かなのイラスト
かな:こちらは、一緒に痛みの原因を考えてあげることが、結果としてご本人の不安の軽減につながると思うんです。
もちろんヘルパーさんは看護師ではありませんから、処置に対するアドバイスはできないので、「どうして痛いんでしょうね。困りましたね。どうしたら楽になりますか?」と逆にBさんに聞いていくとよいのではないでしょうか。
それでもダメなら看護師に連絡してもらっても構いませんし。

ほのかのイラスト
ほのか:精神的支援ですね?共感することで少しでも痛みを和らげる効果を狙うということですか。でも現実はなかなか大変だと思いますが。

たーちんのイラスト
たーちん:限られた時間の中で多くの要求をされると、逐一共感してもいられないとは思いますが、だからこそ、やはりともかくは、疾患の特徴をヘルパーさんに理解してもらうことが一番大切だと思います。
なぜBさんはこんなに細かく訴えてくるのか、なぜ何度も同じ確認をさせられるのか、理解ができぬまま対応するのと、理解して対応するのとでは、ストレスの感じ方が全く違うと思うからです。
ヘルパーさんたちが、ここまでストレスを抱えてしまった理由には、私たちからの情報共有が少なかったこともあると思います。
これからはヘルパー事業所と、もっとしっかり連携して、そのつど対策を考えていくしかないと思うのです。


このあと、よつばスタッフは、カンファレンスの結果をまとめて、ヘルパー事業所にファックスを送った。
すると後日、ヘルパー事業所から、「あの細かい要求は、単なるBさんの神経質なワガママだと感じていましたが、疾患が原因だとわかり、とても参考になり助かりました」という連絡がきた。
こうして改めて、他職種連携の大切さを実感させられた事例であった。



次回は、体重管理が難しかったCASE7の利用者さんについて、その後をご紹介します。



ステーション「よつば」スタッフプロフィール

りん(所長)
訪問8年目(看護歴32年救急他)在宅ケアでの創意工夫の才能はピカイチ。勉強家で人情が厚く面倒見がよい。スーパーポジティブ思考の持ち主。
さき
訪問6年目(看護歴28年オペ室他)
神社仏閣巡りが趣味の歴女。またDIYも得意。面白き事もなき世をおもしろくが座右の銘。夢への妄想パワーは半端なし。
たーちん
訪問11年目(看護歴33年):スーパーグランマナースで超自由人。しかし可愛い笑顔で憎めない。利用者さんの為ならエンヤコラ。テニスから茶道までサラリとこなす我がステーションの親分的存在。
ほのか
訪問1年8カ月(看護歴15年小児科他)老若男女に好かれる天性の明るさの持ち主。癒し系キャラ。現在、スポーツクラブのZUMBA(ダンス)にハマっている。
かな(主任)
訪問5年目(看護歴16年。NICU他)思い込んだら一直線。やや天然ボケあり。訪問看護と猫と執筆活動(この原稿含)と音楽活動をこよなく愛している二児の母。


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