【連載】ナースのための消化器ケアに役立つ基礎知識

輸液はなぜ必要?―輸液の種類(1~3号液・TPNほか)

監修 犬飼道雄

岡山済生会総合病院 内科 主任医長

執筆 渡辺侑里子

岡山済生会総合病院 薬剤科

輸液の目的

輸液は、「体液管理」「栄養補給」「ルート確保」「病態治療」などを目的に使用します。

体の水分や電解質は、呼吸や汗、尿、便などから日々失われます。体の水分や電解質のバランスを維持するためには、食べ物や飲み物から補給しなければなりません。

しかし、消化管に異常があったり、全身状態の悪化などにより、必要な水分・電解質を経口摂取できない場合は、輸液で補い「体液管理」をします。

消化管が使用できなかったり、食欲不振などで必要栄養量が不足する場合には、糖質、アミノ酸、脂質やビタミン、微量元素などの栄養素を点滴で投与し「栄養補給」を行います。

輸液の種類・分類(図1)を理解して、適切なケアへとつなげることが大切です。

輸液の種類・分類の図
図1 輸液の種類・分類

輸液の種類

最も基本的な輸液は、生理食塩水と5%ブドウ糖液です。人間の体には浸透圧がありますが、この浸透圧と大きく外れた液体が血管内に入ると、溶血、血管痛・血管炎などが起こります。

体と同じ浸透圧になるように、塩(NaCl)で調製したものが生理食塩水(0.9%濃度)、ブドウ糖で調製したものが5%ブドウ糖液です。

細胞外液補充液

大出血や激しい嘔吐、下痢などで急激に脱水が進行したとき、つまり細胞外液が失われた場合には、輸液後、細胞外にのみとどまる細胞外液補充液が用いられます(図2)。最も簡単な組成は生理食塩水です。

血漿の組成に近づけるために、ナトリウム(Na)、塩素(Cl)のほかに、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、アルカリ成分などが配合され、臨床現場でよく使用されているのがソルラクトなどの乳酸(酢酸)リンゲル液です。さらに、糖質が配合された製剤としてヴィーンD、ソルラクトDなどがあります。

細胞外液の補給の説明図
図2 細胞外液の補給

維持液類(低張電解質輸液)

生きていくために必要な水分・電解質の補給に用いられます。生理食塩水(以下、生食)と5%ブドウ糖液を組み合わせ、その配合比を変えて作られているのが、1~4号液の製剤です。

1号液(開始液)は1/2~2/3生食、2号液(脱水補給液)は1/2~1/3生食、3号液(維持液)は1/3~1/4生食、4号液(術後回復液)は約1/5生食の電解質濃度に調整されています。

1号液はNaの補給効果が大きく、5%ブドウ糖液の割合が増えるにつれ、水分補給効果が大きくなります。ブドウ糖が代謝されエネルギー源となり、最終的に水となって、体液区分全体へ行きわたるためです(図3)。

ブドウ糖液を含む維持液は、経口摂取が不十分な場合など、慢性的な脱水症状を起こしているときに用いられます。

1号液はKを含まないため、病態が不明なときの水・電解質補給に適しています。3号液は1日に必要な水分・電解質の補給に適しており、最もよく使われる電解質輸液です。

体液全体の補給の説明図
図3 体液全体の補給

栄養輸液

3号液の糖質濃度を高め(7.5~10%)、栄養補給を目的とした輸液がソリタT3G、フィジオ35などです。さらにアミノ酸を配合した製剤がアミノフリードです。

アミノ酸と糖(還元糖)の配合変化による着色(メイラード反応)を防ぐため、ダブルバッグ製剤となっており、投与直前に隔壁を開通させて使用します。末梢より投与可能な糖液濃度は10%程度までで、これ以上のカロリー補給にはTPN(中心静脈栄養)が必要となります。

TPN用製剤として、ハイカリックなど高濃度の糖質(17~50%)と電解質が配合されたTPN用基本液があり、これに必要なアミノ酸、ビタミン、微量元素製剤を組み合わせます。実際は、これらが1つの製剤に配合されているキット製剤が頻用されます。

TPN用基本液にアミノ酸が配合されたアミノトリパは、アミノフリードと同様のダブルバッグ製剤です。これにビタミンを添加したフルカリックは、ビタミンのみの小室も加わった、トリプルバッグ製剤です。

さらに近年、ダブルバッグに小室を2つ作ることで、微量元素も配合されたエルネオパ(クアトロバッグ製剤)が発売となり、脂質以外の栄養素が1つの製剤で補給可能となっています。

参考文献
●畑 啓昭ほか編「輸液のコツとポイント」、文光堂、2012
●日本静脈経腸栄養学会編、「輸液・栄養の第一歩(第二版)」、2008

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