【連載】山内先生の公開カンファランス

第35回 自力で食事を摂ることができなくなってしまった患者さん

解説 山内 豊明

名古屋大学大学院医学系研究科 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師

【今月の事例】
[エヌさんより提供された事例]
介護老人保健施設に入居中の80歳代の患者さん。脳梗塞の既往はあるものの、ほとんど麻痺はなく、利き手で自力で食事を摂ることができていました。
出血性膀胱炎になり、主治医がバイアスピリンを休薬し、止血剤を投与しました。止血剤は5日間投与。傾眠傾向ではあるものの、発熱などはありませんでした。
ところが症状が落ち着き、食事開始になったときには、自力で食事を摂ることができなくなっていました。

→あなたなら、何が起こったと考える?


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みんなの回答

アンケートは、ナース専科コミュニティ会員に実施。回答者数は78人。

Q1.この患者さんに何が起きたと予測できますか。考えられる症状や疾患をあげてください。

●バイアスピリンを止めていたことで、再梗塞をした可能性がある(mさん)

●バイアスピリンを休止したために脳梗塞が再発し、運動機能にかかわる部位に麻痺をきたしたと考えられる(ふなこさん)

●バイアスピリンの休薬により脳梗塞(血栓)が再発。休薬以外の要因として、止血剤、傾眠傾向による水分摂取量の低下、活動量低下なども(ソフトクリームさん)

●出血性膀胱炎により出血量の程度によりますが、貧血が出現しているのではないかと思います。
また、バイアスピリンを休薬し止血剤を使用しているため、再梗塞の可能性も視野に入れる必要があると思います。
安静による廃用症候群も考えられます(いかちゃんさん)

●脳梗塞を再度起こした可能性がある。また、廃用性症候群が考えられる(CITYさん)

●筋力低下、脳梗塞の再発(アイさん)

●詰まってしまったのかなと考えます。脳に小さい梗塞が発生したのかなと。なぜ膀胱炎治療で食事が中止になったのだろうか?(めるもさん)

●脳梗塞の再発、絶食となっている間に認知機能が低下した(いしこさん)

●80歳という高齢者でたった5日食事をとらないだけで、筋力が落ちたり食欲も落ちていることもある(はやさん)

●バイアスを止めたことによる血栓の形成、梗塞の拡大、食事停止による低ナトリウム、安静度はわかりませんが、止血のために臥床していたなら、筋力の低下、出血による貧血(もちさん)

Q2.Q1で挙げた症状や疾患かどうかを確かめるためには、どのような検査やアセスメントが必要だと思いますか。

●頭部CT、MRI検査の実施、元々のADLや筋力テストMMTの変化はないか、麻痺の有無、意識レベルの変化、瞳孔サイズの確認など(mさん)

●脳の精密検査、血液検査データ。運動機能の評価、言語面の機能評価(ふなこさん)

●脳MRI、CT、MRA、神経学的検査。血液検査(ソフトクリームさん)

●採血ではヘモグロビン、網状赤血球、TIBC、UIBCや便ヘモグロビン(必要があれば)血尿の有無をみる必要があります。
身体症状としては、目眩・嘔気の有無、眼瞼の粘膜の色、スプーン状の爪ではないか、頻脈の有無など確認していく必要があると思います。食事が摂れないことによる脱水も考えられるため、ツルゴール反応をみる必要があります。
麻痺がないか、ろれつの回りにくさの有無などみる必要があります(いかちゃんさん)

●頭部のCTやMRI検査を行い、脳梗塞の状態の変化を確認する。また、リハビリを開始し、理学療法士さんに、筋力や拘縮の状態を確認してもらう(CITYさん)

●脳のCT検査。筋力検査(アイさん)

●四肢麻痺や筋力、ADLの変化、顔や舌の動き、発声発語嚥下機能、意識状態、記憶、動作、意欲、家族の意向などアセスメントし、誤嚥しないか、食事の形態、自助具の使用、食事介助など考えます(めるもさん)

●MRIを撮影する。四肢の麻痺など身体症状の確認。意識レベルの確認(いしこさん)

●栄養はどうしても必要なので、嚥下の状態を見て、問題なければ少しずつ練習して元の機能に戻していく。脳梗塞の状態も見て、疾患を調べ対症療法する(はやさん)

●採血、画像検査(もちさん)

Q3.この患者さんの状態を医師に報告する際には、どのように伝えますか。具体的に教えてください。

●「 相談です。脳梗塞既往の患者Aさんが出血性膀胱炎のためバイアスピリンを止め、止血剤を内服していました。元々食事はご自身で食べることができていましたが、食事再開するとご自身で食べることができません。傾眠傾向がありバイアスピリンを止める前と様子が異なります。検査の追加などされますか?」(mさん)

●脳梗塞既往のある患者さんで麻痺がほとんどなかったにもかかわらず、バイアスピリン休止後から利き手が動かなくなっています(ふなこさん)

●5日間の看護記録を時系列でみていく。
ADLの変化、意識状態の変化、生活リズムの変化、INOUTの詳細など(ソフトクリームさん)

●食事介助をしてどれくらい食べれらたのか、またはスプーンは持てるのか、全身状態の報告(傾眠傾向があることバイタル
サインの報告、尿量も)検査は必要か打診します(いかちゃんさん)

●意識レベルや全身状態の観察を行い、異常の有無について報告する。検査を依頼し、身体所見がどうかを確認して、異常がなければ認知機能などの悪化も考えていると話す(いしこさん)

●止血剤を投与ことで脳梗塞に影響が出ているのではないか、もう一度検査したほうがいいです。また問題なければリハビリをして少しでも本人に刺激を、与えたい(はやさん)

●自力で食事摂取できなくなった以外のADLとあわせて、歩行ができるのか、会話ができるのか、飲水はできるのか、意識障害はないのかなども報告します(うさぎさん)

●脳梗塞の既往があるのですが出血性膀胱炎で止血剤を5日間投与された患者さんです。出血性膀胱炎は落ち着きました。以前は自力の食事摂取が可能でしたが今は傾眠傾向で自力の食事摂取が不可能です。そしてバイタルサインや麻痺の有無、嚥下状態についても報告します(すけさんさん)

● 食事介助をしてどれくらい食べられたのかまたはスプーンは持てるのか、全身状態の報告(傾眠傾向があることバイタルサインの報告、尿量も)検査は必要か打診します(いかちゃんさん)

●傾眠傾向が続いていること、今まで自分で食事がとれていたけど今は自力で食事が取れていないこと。今までの食事量と今の食事量。水分はどうか。嚥下状態について(ちえさん)

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