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透析クリニックでの足病治療

執筆 菊地 勘

医療法人社団豊済会 下落合クリニック 理事長・院長

Foot care ohra

平成28年度診療報酬改訂において、透析クリニックですべての人工透析患者さんの足をチェックし、重症度の高い虚血のある患者さんを専門病院に紹介する連携に関する加算が新設されました。
今後は、透析クリニックでも足のケアを行うことが必要となります。そこで、どのようにケアを行うとよいのかを解説します


【目次】

1 患者指導

 足病は日常生活で足をぶつけたり、足に合わない靴を履く、靴に小石などが入っているなどの些細なことから発症して悪化します。まず、患者さん一人ひとりにパンフレットなどを用いて、足病の重要性と足の観察やセルフケアの重要性を伝えます。定期的に患者勉強会を開催して、全員に啓発することも重要です。その際には、入浴時の足の洗浄や入浴後の保湿の大切さ、保湿剤の塗布方法なども含めたセルフケアの指導を行います。
 ただし、透析患者さんや糖尿病患者さんでは、知覚神経障害や視力障害などにより、足病が発症しても気付かない人が多く存在します。透析クリニックでの重症度に応じたフットチェックやフットケアが重要となります。

2 足浴

多くは透析中にフットケアを行う前の前処置として行います(特に炭酸泉浴は末梢循環の促進作用がある)。足浴後によく乾かして、趾間はしっかりと拭き取ります。その後にヒルドイド®クリームやワセリンなどを用いて皮膚の保湿を行います。

3 乾燥や亀裂

 乾燥の強い患者さんでは足に痛みが出たり、乾燥がひどくなると亀裂が生じて、そこに感染を起こすことで足病へとつながります。このような患者さんには、透析室で足浴を行います。また、患者さんには自宅での入浴後の保湿を勧めます。

4 胼胝

 胼胝のある患者さんは、放置すると胼胝部に外力が持続的に加わり潰瘍を形成したり、潰瘍から感染を起こしたりする可能性があります。胼胝はコーンカッターやグラインダーを使用して薄くします。この際に深く削りすぎて出血を起こさないように注意します。
 また、胼胝により同じ場所に繰り返して圧迫や摩擦が加わると、皮膚が限局的に肥厚して硬くなります。外圧が1カ所に加わらないような、足の環境を靴などで改善する指導を行う必要があります。また、自分の足に合った靴がない場合、フットウェアの作製が必要になります。

装具を製作するためにアセスメントでは、足底圧・足の筋肉/関節・歩行などを評価し、適
切な足の位置を再現して型を採る。フットウェア完成には約2週間かかる。インソールを
確認して靴を履き、歩行を確認する

5 白癬症

 足白癬や爪白癬が疑われる患者さんの場合、皮膚や爪をKOH直接鏡検で観察し、白癬症かどうか診断を行います(KOH直接鏡検は外注検査可能)。透析患者さんの白癬有病率は高率です。足白癬や爪白癬の診断がついたら治療を開始します。
 白癬には内服薬がありますが、腎障害のある患者さんでは高い血中濃度が持続して、肝機能障害を起こす可能性があることから、外用薬での治療を優先します。以前は爪白癬の外用薬での治療は難しかったのですが、2014年に発売されたクレナフィン®爪外用液により、多くの爪白癬が治せるようになりました。

6 爪のケア

 爪のケアを行う前には、爪の状態を評価して、必要があれば足浴を適宜行います。
 ゾンデを使用して爪溝と皮膚を分けて、角質や汚れを除去します。爪切りは爪の状態により、ニッパーや爪やすりを使い分けます。
 爪の切り方はスクエアオフにし、深爪や爪を丸く切る、爪を斜めに切ることは巻き爪の原因となるため行わないようにします。

爪のケア1

7 巻き爪・陥入爪

 爪の状態や疼痛、炎症がないかを確認します。爪が巻いている部分や陥入部分に細いやすりを入れて削り除圧します。治療後は巻いている爪が皮膚に食い込まないようにテーピングや陥入部分へのコットン挿入などを行います。
 爪切りの指導も重要で、陥入を嫌うあまり深爪にしている患者さんがいるため、深爪による悪影響を説明し、爪やすりを用いて整える方法を説明します。

爪のケア2

8 潰瘍の治療

 潰瘍の治療は傷の状態や感染の有無などにより異なります。透析中に治療を行う場合は、生理食塩水などで洗浄した後に、感染や滲出液の有無・量などにより、適切な消毒薬での消毒(行わない場合もある)、ドレッシング材や軟膏の選択を行い治療します。創部の状態はデジタルカメラで適宜撮影して、状態の変化を他のスタッフと共有します。創部の変化に応じて、処置内容も変化していきます。また、潰瘍ができた原因を除去しなければ、創部が改善した後も再発を繰り返して足病が悪化します。靴や生活環境の確認などを行い、原因を除去することも重要です。

9 末梢動脈疾患(PAD)の治療全般

 図に示すようにPAD治療は、透析管理、血流改善、創部処置と多岐にわたります。
自施設で不可能なことを無理に行う必要はありませんが、医師・看護師・臨床工学技士・
管理栄養士がスキルアップをして、少しでも患者さんのためになる治療ができるように
していきたいものです。

PADの治療



(ナース専科マガジン2016年7月号より転載)


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