【連載】手術室看護の基本を知ろう!

手術室での看護の流れ、申し送りはどんなことを伝える?

執筆 佐藤大介(所属は執筆時のもの)

東北医科薬科大学病院 手術部 手術看護認定看護師

▼術前・術後の看護について、まとめて読むならコチラ
術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防など)


手術室看護師はどのようなことを行っているのでしょうか。手術室は閉鎖された空間と言われ、手術室内での実態はあまり明らかにされていないことが多いように思います。そのため、手術室看護師はいったいどのような看護をしているのかわかりにくい状況にあります。今回は、手術室看護師がどのようなことを行っているのか術前・術中・術後に分けて概要を紹介します。


手術室看護師の術前の看護

 手術室に入室してきた患者さんは不安や緊張、恐怖などさまざまな思いを抱えながら手術に臨むことになります。患者さんが入室したら、手術室看護師は麻酔科医とともに点滴や硬膜外麻酔のルート確保を行います。点滴や硬膜外麻酔を行ったらすぐに全身麻酔の導入になりますので、患者さんと話をする機会も少ないといえるでしょう。

 しかしその少ない時間の中で、少しでも患者さんの気持ちが和らぐように声掛けやタッチングなど行います。また、手術室では絶対に事故が起きてはならない現場であり、ある程度の緊張感を持たなければならない場所でもあります。患者さんが不安を感じたり、緊張しないように配慮しつつも、看護師自身は緊張感をもって業務に当たらなければなりません。そういった意味で、非常にメリハリの効いた空間といえるでしょう。

 全身麻酔が始まれば患者さんの全身状態の観察を継続して行うだけでなく、麻酔科医や外科医の介助に回ります。気管挿管、膀胱留置カテーテルの挿入、電気メスの対極板の貼付、肺血栓塞栓症予防のために弾性ストッキングやフットポンプの準備、手術時の体位作成と続いていきます。

手術室看護師の術中の看護

 手術室看護師の役割は2つにわかれます。器械出し看護師は解剖や術式を理解し、術野を常に見て術者に必要な器械や材料を正確かつ迅速に渡すことで、手術が安全かつ円滑に進行するように介助を行います。外回り看護師はチーム医療を体現すためために手術全体のマネジメントを行います。具体的には、以下のようなものが挙げられ、手術全体を把握して必要に応じて動くことができるようにすることが必要です。

・ 手術中にモニターを確認し、麻酔科医と協働する(追加の薬品や輸血のオーダーなど)
・ 手術の流れを把握し、必要な器械を術野に出す
・ ハーモニックなど術野外での操作、モニター類の操作を行う
・ 患者さんがラテックスアレルギーの可能性がある場合には、その対策を行う など

 術中の患者さんの全身状態の観察については、モニターをみながら脈拍、血圧、SpO2などをみたり、体温管理としてモニターの体温をみるだけでなく、実際に触って確認したり、術前後で新たな皮膚トラブルが発生していないかを確認します。

手術室看護師の術後の看護

 周術期という言葉があるように手術前・中・後と継続して看護をしていくことは非常に重要なことになります。そのためには病棟看護師に、術中から退室までの経過と問題点、継続看護に必要な情報を提供しなければなりません。術前の患者情報をどのように捉え、アセスメントし、術中にどのようなケアを行ったのか、どのような術中経過をたどり、術後に継続される問題は何かなど術後看護に必要な項目を手術看護記録に記載された情報を元に申し送りを行います。帰室後のケアに必要な術中の情報、病棟看護師が求める情報について相互で意識統一することが大切です。

 私が特に気をつけていることは、術直後の患者さんの状態です。例えば、全身麻酔終了後の呼吸状態が思わしくなく、何か薬剤を投与して退室した場合、一見なんともないようにみえたとしても、その薬剤の効果が切れた場合に、また呼吸状態が悪化する可能性があります。そのため、こういったことが想定できる場合は、重点的に申し送ります。

 また、吐き気があって薬剤を追加したり、術直後に不穏な状態だった場合や術創の痛みが強いといった情報は、術後に申し送るようにしています。

手術室看護師の家族対応

 患者さんが手術を受ける際、家族が待機することになります。患者さんの不安も強いと思いますが、患者家族の不安も強くなることが予想されます。今後の未来への不安、お金への不安、そして何より大切な人を失うかもしれないという不安などさまざまなものがあります。手術室看護では患者さんとのかかわり自体,時間があまり確保できていない状況になりますので、患者家族へのかかわりの時間は確保が更に難しく、今後の課題となっています。

 当院では患者家族へのかかわりの一つに術中訪問として手術開始時に家族に渡しているPHSへ電話連絡を行うようにしています。さらに患者家族が何か気になることがあればその都度対応し、予定手術時間が長引いた場合の連絡などを行っています。当院だけでなく、全国的に手術室では術前外来の設置が注目されつつあります。術前外来の設置により、患者さんだけでなく患者家族へのかかわりもより深くなるのではないかと考えています。

引用・参考文献

1)中川朋子,編:OPE NURSING 2011年春刊増刊 決定版!できる手術室看護師になる!外回り看護パーフェクトブック.メディカ出版,2011,
2)丸山一男 木村三香,編:OPE NURSING 2010年 秋季増刊 「困った!」「わからない!」現場の疑問を徹底サポート 手術・麻酔の看護Q&A 103.2010.

ページトップへ