【連載】伊藤麻紀先生の『ストーマケアはじめの一歩』

最終回 ストーマ装具の選択の仕方

執筆 伊藤 麻紀(いとう まき)

日本赤十字社医療センター 循環器・泌尿器科病棟/皮膚・排泄ケア認定看護師

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ストーマとは? ストーマケアについて


ストーマ・フィジカルアセスメントツール

 ストーマの位置、大きさ、形、貼付部皮膚の面積や平坦度などは患者さんよってさまざまです。そのため、すべてのストーマの様相に合わせた装具の選択が必要となります。

 ストーマ装具を選択する際に役立てたいのが、ストーマ装具選択のためのアセスメントツール「ストーマ・フィジカルアセスメント」です。

 このツールは造設術後の社会復帰用装具を選択することを基準としており、ストーマの装具選択や変更の際に同じ視点でアセスメントすることができます。

アセスメント時の体位

 ストーマのある腹壁は、体位の変化により生じる重力や腹圧、皮膚のたるみなどに影響され、形態が変化します1)

 その変化にフレキシブルに対応できる装具の選択が可能となるよう、仰臥位、座位、前屈位の3体位によるストーマと腹壁の変化を見るためのアセスメントを行います。それぞれの体位でみられるストーマおよびその周囲の変化の特徴は表1のとおりです。

体位とストーマおよびその周囲の変化の詳細説明図

ストーマを適切にアセスメントするには

ストーマの種類を確認

 消化器系ストーマでは、造設された腸管の部位により排泄物の量や性状が異なるため、回腸ストーマ(ileostomy:I)/結腸ストーマ(colon:C)で分類します。

 また、形状が異なるため、単孔式(end colostomy:E)/係蹄式(loop colostomy:L)/二連銃式(double-barrelled:DB)かを分類します。

 泌尿器系ストーマは、排泄物の量がほぼ同一であるため、回腸導管か尿管皮膚瘻かは分類せず、泌尿器系とします。評価を記載する際は、造設された腸管とストーマの形状の頭文字を記載します。

仰臥位でアセスメント

 仰臥位では、表2をもとにアセスメントします。

仰臥位でのアセスメント詳細説明図

坐位でアセスメント

 坐位ではストーマ周囲皮膚4cm以内の腹壁の硬度を確認します。方法は、2本の指(第2・3指)でストーマ周囲腹部を押し、指の沈む程度で硬(1縦指以下の沈み)・中等(1縦指以上の沈み)・軟(2縦指以上の沈み)の3段階に分類します。

前屈位でアセスメント

 前屈位ではリラックスして背筋の緊張を解き、30度以上前傾となった姿勢をとってもらいアセスメントを行います(表3)。
前屈位でのアセスメント詳細説明図
表3 前屈位でのアセスメント

 なお、3体位(仰臥位、座位、前屈位)でのアセスメントを表にすると下記のようになります(表4)。

3体位仰臥位、座位、前屈位でのアセスメント詳細説明図
表4 3体位仰臥位、座位、前屈位でのアセスメント

ストーマ装具選択基準

 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会では、「ストーマ装具選択委員会」を立ち上げ、2008年に「ストーマ装具選択基準」を作成しています。それに基づく選択基準について、ストーマ・フィジカル・アセスメントツールの項目ごとにまとめました(表5)。

 ストーマおよび腹壁の状況は、個別性が高いため、優先する項目が異なります。装具選択をする最大の目標は、排泄物が漏れることなく、皮膚障害をおこさないことです。

 例えば、ストーマの高さが10mm以上あり「突出」したストーマの場合、平面装具を選択することが推奨されています。

 しかし、腹壁が「柔らかい」状態で、ストーマ外周4㎝以内にストーマに連結する皺が「あり」の場合、排泄物の漏れが皺に沿って起こる可能性が高いため、ストーマ外周4㎝以内の連結する皺で「選択する」項目の「凸型装具の使用を選択する」や「硬い面板を選択する」を優先順位として装具を選択することがあります。

 このように、症例に合わせた優先順位の決定と基準を照らし合わせ、それぞれのメーカーの発売している装具の面板の硬さや凸型嵌め込み具の深さの違いなどを評価しながら、患者さんや家族が管理しやすい装具をともに探し、決定していくことが大切です。

 ストーマ装具は、体型の変化やライフサイクルの変化により、変更が必要になることがあります。また新製品では、さまざまな点が改良され、発売されているため、患者さんのニーズに沿った装具の使用が可能になることもあります。

 そこでストーマ外来では、定期的に評価を行い、必要なケア・情報提供を行っていますので、退院後に相談できる窓口としてご紹介することも大切なケアにつながります。

ストーマ装具選択基準表
表 ストーマ装具選択基準表

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