【連載】手術室看護の基本を知ろう!

術前処置ではどんなことをするのか?

執筆 佐藤大介

東北医科薬科大学病院 手術部 手術看護認定看護師

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 術前に手術室看護師はどのようなことを行っているのでしょうか。今回は術前の処置について詳しく話をしていきます。〝処置〟というと少し意味合いが変わってしまいますので、手術室看護師が手術開始までにどのような〝看護〟をしているのか話をしていくことにします。今回は、全身麻酔の場合について解説します。


術前の確認事項と注意事項を患者さんに伝える

 術前訪問時に確認事項のチェックや注意事項を伝えることになっており、当日入室時それが守られているか確認を行います。

術前訪問時には、アレルギーの有無、障害(機能・開口・視力・聴力・言語)の有無、既往歴の有無、内服薬、輸血歴、義歯の有無、歯のぐらつき、指輪をしているか、めがね・コンタクトレンズの着用の有無、ヘアピン・ピアスを着用しているかといったことを確認します。

また、手術室入室時の注意事項として、金属類は身につけないようにする、マニキュアやジェルネイルは除去する、
化粧はしないなどがあるため、確認時に該当する患者さんには、注意事項として適宜伝えます。

 ジェルネイルは入院してからでは除去できないので、外来時に外来看護師に説明してもらう必要があります。指輪が外れないとなれば、手術室に来てからでは対処が難しいので病棟との連携が必要ですし、ラテックスアレルギーがあればしかるべき対処をしなければなりません。乳房切除の手術をされている方でしたらどちらかの腕が処置禁になっている可能性があり、手術室でも血圧計を巻くことや点滴ラインを取ることを避けなければなりません。
 
 このように、手術室で行う看護は病棟看護師からの情報が重要になります。患者さん情報を共有し、手術室看護師だけではなく病棟、外来看護師とコミュニケーションを密に図ることが周術期の看護をより良いものにしていきます。
 
 また術後は手術室での経過を伝え、手術後の看護に活かせるようにすることが周術期にかかわる看護師の役割の一つであると考えています。

手術室内での看護

手術室内で看護師は以下のようなことを行います。

1 モニター類の装着

 患者さんが入室した後、心電図や血圧計などのモニター類を装着していきます。

2 ルート確保と全身麻酔の介助

その後、点滴のルート確保介助や必要時硬膜外麻酔の介助を行います。
 全身麻酔が始まる際には、意識状態や呼吸状態の観察やバイタルサインの変化をよく看る必要があります。

3 患者さんへの心理的サポート

麻酔科医師がスムーズに麻酔導入できるように介助していくことも大切ですが、その他に患者さんへの心理的なサポートも手術室看護師の重要な役割の一つです。特に、手術を受けに来た患者さんは緊張や不安を抱えています。さらに意識がある状態の中、硬膜外麻酔で背中から針を刺されるとなるとより強い不安感を抱くでしょう。全身麻酔が始まるころには、患者さんの不安や緊張はピークになります。優しく穏やかな口調で不安感を取り除くような声掛けが重要になります。

4 挿管介助

 続いて気管挿管の介助を行います。手術前に患者さんの状態がわかればよいのですが、緊急手術などでその場で挿管困難が判明したり、フルストマックの状態で挿管をしなければならない状況もあり得ます。手術前の確認が必要になります。麻酔科医師と協力しなければいけませんし、迅速な対応が求められるため、普段から挿管介助について勉強しておくことが大切です、

5 その他

 さらに、必要時膀胱留置カテーテルの挿入や、肺血栓症予防の為に間欠的空気圧迫装置の装着、電気メスの対極板を貼るなどといったことが続いていきます。最近ではSSI(手術部位感染)予防のために必要時手術室で除毛を行うこともあり、外科医師と確認しながら行っています。

 その後神経障害や発赤の発生を予防しながら体位固定を行っていきますが、体位固定に関しては次回詳しくお話します。

術前の看護をしっかりと行うことが安全・安楽な手術につながる

 手術室看護では、手術を受ける前に確認しなければいけないことがたくさんあります。その確認事項が守られれば守られるほど、患者さんが安全・安楽に手術を受けることができると思います。そのためには外来・病棟看護師との連携が非常に重要になり、お互いの情報共有が大切になります。また、緊急手術では情報がさらに少ない中で手術看護を実践していかなければなりません。そのような状況であるからこそ、落ちついて、周りと協力して手術を進めていくことが大事ですし、そのことが、より良いチーム医療に繋がると信じています。


引用・参考文献
1. 公益社団法人 日本麻酔科学会,他:日本麻酔科学会・周手術期管理チームプロジェクト,周術期管理チームテキスト 第2版.公益社団法人 日本麻酔科学会,2011.
2. 中川朋子,編:OPE NURSING 2011年春刊増刊 決定版!できる手術室看護師になる!外回り看護パーフェクトブック.メディカ出版,2011.