【連載】事例でみる術後リハビリテーション こんなときどうする?

【術後リハ】早期離床をスムーズに行うことが難しい患者さん

執筆 黒岩澄志

昭和大学藤が丘病院 リハビリテーション室

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術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防など)


【事例】
早期離床をスムーズに行うことが難しい患者さん

 70歳女性。胃がんと診断され腹腔鏡下幽門側胃切除術施行予定の患者さん。既往にパーキンソン病あり。術前ADLは歩行器歩行レベル。BMI20.5。呼吸機能検査で努力性肺活量83%、1秒率88%。喫煙歴なし。

 術前オリエンテーションとして術後の創部を保護しながら咳や深呼吸を行う方法、疼痛が生じにくい起き上がり方法に関して説明し練習を行った。

 術後翌日、早期離床を試みたが術後の影響もあり創部痛が強いことに加え既往のパーキンソン病が影響し介助量が多く座位保持が困難であった。翌日以降も離床を試みたがやはり介助量が多く早期離床がスムーズに行うことが難しかった。

 早期離床が図れていないことを主治医に相談し、術後5日目に理学療法がオーダーされ開始となった。理学療法が開始し少しずつではあるが動きやすくなり、術後8日目に端座位保持ができるようになった。また、腹筋などを使用し努力的に起き上がる習慣であった(術前このように起き上がっていた)ことに気付き起き上がりパターンを少し変える練習を行い、起き上がりも自立になった。

 以後、歩行器歩行なども開始し術後25日目に概ね入院前ADLに達し、術後35日目に自宅退院となった。


事例について考えてみよう!

術後合併症や廃用症候群を発症せずに済んだ要因はコレ!

1 術後うまく離床ができなかったとき、早い時点で判断し主治医に相談できた

 現在の医学の進歩により、高齢患者さんや既往に何かしらの疾患をもつ患者さんに対しても手術が行われるようになりました。既往に何かしらの疾患をもつ患者さんは早期離床が困難なケースも多く、早期離床が遅れる原因にもなります。実際、既往に脳梗塞やパーキンソン病などを持つ患者さんが手術を行うと、既往歴がない患者さんと比較すると呼吸器合併症を合併しやすくなったり早期離床が図りにくいといった事例をよく経験します。
 
 入院時に患者さんに関してさまざまな情報収集を行います。呼吸機能低下、喫煙、高齢、肥満、開胸開腹手術を行う患者さんは術後呼吸器合併症を起こしやすく、情報収集を行う際にこれらのことがわかると医療従事者間で呼吸器合併症のリスクが高い患者さんであると共有することができます。これに加えて、既往歴や合併症にも目を向けて、既往に脳血管障害や神経筋疾患、変形性関節症などの運動器疾患をもつ患者さんは早期離床をスムーズに行うことが難しいと予測できるようになるでしょう。既往にこれらの疾患があるのであれば主治医に相談し、早期にリハビリテーション計画を依頼する流れを作ることもよい方法です。

成功へのヒント

早期のリハビリテーションを強化

 入院中週5回程度リハビリテーションが施行されたことによって、運動器(変形性膝関節症など)を既往に持っていた患者さんの機能が改善し術前より動けるようになって退院したという患者さんをよく経験します。入院中であれば手厚くリハビリテーションが施行される傾向であることを利用し、既往歴に何か他疾患があるようであれば早期からのリハビリテーションを強化し、連携を図ることが重要であると思います。

まとめ

 今回の事例のようにパーキンソン病が既往にある患者さんの場合、もともと起き上がりが困難で腹筋をたくさん使って起きるようなパターンを持っていた患者さんであれば起き上がり方法を検討、変更するといったことを行うことも必要であると思います。

 このような方法に気付くのはリハビリ職種は得意であるはずなので、患者さんのために一緒に相談しながらよい看護ケアを実践できるようにしていくとよいと思います。

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