【連載】呼吸器に強くなる!

【呼吸生理学2】ガス交換のできない肺胞があるとどうなる?

執筆 南雲秀子(なぐもひでこ)

大和青洲病院 看護師長/米国呼吸療法士(RRT) / 保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

ガス交換のできない肺胞が低酸素を招く

酸素が届かない肺胞があると全体の酸素分圧にも影響する

一部の気管支に喀痰が詰まったり、細気管支や肺胞に分泌物や喀痰が貯まって閉塞が起こると、その部分の肺胞には吸気が届かないので酸素がない状態になります。

酸素がある肺胞だけでなく肺胞気がない肺胞の周りにも毛細血管があって、そこには血流があります。酸素がない肺胞の周りを流れた静脈血は、酸素を受け取らないまま流れて酸素のある肺胞から酸素を受け取った血液と混じり合います。両方が混合されることで全体の酸素分圧が低くなることが問題です。

肺胞気のPAO2を上げても酸素が届かない肺胞が多ければ、酸素化の改善にはならない

酸素化された正常な動脈血の酸素分圧は100TorrでSpO2は97%、酸素吸入をすることで動脈血分圧を例えば150Torr、さらに200Torrと上げることは可能ですが、その場合でもSpO2は100%が上限です(割合なので、100%以上にはなれない)。

ここで重要なのは、酸素を運搬する役割をしているのは血液の中のヘモグロビンであり、その運搬量はSpO2で表されているということです。

つぶれた肺胞がたくさんあるために低酸素症になっている患者さんに酸素吸入をする場合、FiO2をどんどん上げると正常な肺胞の肺胞気のPAO2は上がりますが、その部分で酸素化される血液が運べる酸素量はSpO2=100%になった状態以上には増えません。

つまり、肺胞の一部がつぶれている状態のとき、もしつぶれている部分が大きければ、残った肺胞への酸素の供給をいくら増やしてもつぶれた部分の代替えにはなれないのです。

このように肺胞に酸素が届かない状態(痰詰まりや気管支閉塞、無気肺)の場合には、酸素吸入でなく物理的につぶれた肺胞を開く治療が必要です。深呼吸、咳嗽による喀痰の喀出、陽圧呼吸法、吸引などの方法で閉塞した気管支を解放し、酸素が届いている肺胞が増えることで低酸素が改善します。

詳細説明図

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