【連載】ストーマケア 皮膚トラブル解決法

「ABCD-Stoma®ケア」ってなに?

執筆 小倉美輪

亀田総合病院、皮膚・排泄ケア認定看護師

ストーマ周囲の皮膚のトラブルは、痛み・かゆみといった症状とともに、排泄物の漏れや皮膚トラブルの悪化につながりやすく、早期の対応が望まれます。皮膚トラブルの原因を早く究明し、取り除くことが重要ですが、こういった対処は誰もが簡単に行えるものではなく、臨床経験や直感的な判断かに基づき行われているのが現状ではないでしょうか。

そこでぜひ活用してほしいのが、日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術教育委員が開発した『ABCD-Stoma®に基づくベーシック・スキンケア――ABCD-Stoma®ケア』です。手順に沿ってアセスメントすることで、ストーマケアに従事した経験がある看護師であれば、誰でもトラブルの原因がわかり、適切なケアを提供できます。『ABCD-Stoma®ケア』は、日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページからダウンロードが可能です。ここでは、ABCD-Stoma®、ABCD-Stoma®ケアそれぞれの使用方法についてみていきましょう。


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ストーマとは? ストーマケアについて


ABCD-Stoma®とは

 ストーマ周囲皮膚障害の重症度を、部位と程度・色調変化の有無によって評価するスケールです。「ABCDStoma®」は、Adjacent(近接部)、Barrier(皮膚保護材部)、Circumscribing(皮膚保護材外部)、Discoloration(色調の変化)の頭文字をとって名付けられたものです。
ストーマ周囲皮膚の区分図

ABCD-Stoma®の使用方法

1)ストーマ周囲皮膚を3つの部位に区分
・Adjacent(近接部)ストーマ接合部からストーマ装具の皮膚保護材までの範囲
・Barrier(皮膚保護材部) 
・Circumscribing(皮膚保護材外部)

2)A、B、Cの各部位ごとに、皮膚障害の程度を5段階で評価
●障害なしは「0点」、赤斑は「1点」、びらんは「2点」、水疱・嚢疱は「3点」、潰瘍・組織増大は「15点」
●同部位に程度の異なる皮膚障害が混在する場合は、障害の範囲にかかわらず最も得点の高い障害の程度を採択します。
●Cの範囲がない場合は、評価できないため「障害なし」とします。
●赤斑、びらん、水疱・嚢疱は急性の病態を示し、潰瘍・組織増大は慢性の病態を示します。

3)A、B、Cの3部位それぞれに、Discoloration(色調の変化)がないか確認
●色素沈着なしは「0」、色素沈着ありは「DP」、色素脱失ありは「DH」とします。
※「DP」のP はPigmentation、「DH」のH はHypopigmentation の頭文字を示します。

4)合計点数を算出
A、B、Cの3部位の得点を合算します。合計点数は0~ 45点で点数が高いほど重症です。D(色調の変化)は皮膚障害の治癒後にみられることから、過去の皮膚障害有無の評価であり、正常な治癒過程の経過中であることから得点はつけません。

5)「A○ B○ C○:○(点)D○」と表記

ABCD-Stoma®ケアとは

 ABCD-Stoma®を用いて採点した結果をもとに、チェックシートを使用してトラブルの原因の特定と、必要なストーマのスキンケア方法を導きだすためのツールです。

ABCD-Stoma®ケアの使用方法

1)ABCD-Stoma®で採点

2)ストーマケアを確認
 装具の剥がし方や貼り方・皮膚の洗浄方法、交換間隔、使用している装具やアクセサリーの種類とサイズ、外用剤使用の有無(ステロイド剤、抗菌剤など)、セルフケア状況などを日頃どのように行っているか実際に装具交換を行ってもらい確認します。見て確認できない部分はヒアリングします。

3)「全身状態に応じたスキンケア」の表で該当するチェック項目がないか確認
 該当する項目があった場合は医師に報告し、必要であれば専門家にコンサルテーションを行います。

4)「皮膚障害に対するスキンケア」の表で該当するチェック項目を確認
 A、B、Cそれぞれの部位で各得点が1点以上あれば「各部位におけるケア」の表でそれぞれ該当するチェック項目(黄色線)を確認し、ケア内容(青色線)を選択します。

5)「皮膚障害の程度によるケア」を参照して観察
 項目の結果と、ABCD-Stoma®ケアの点数により該当する項目のケア内容を確認します。

6)「D(色調の変化)がある場合」の表で該当するチェック項目を確認し、ケア内容を選択します。

7) 3)~6)のチェックがついた項目のケア内容を確認し、導き出されたケアを実施します。

8)ABCD-Stoma®を採点し評価
●ストーマ周囲皮膚の状況は身体の状態、ケア状況、生活状況、季節などさまざまな要因により変化します。トラブルの予防や改善のためには必ず定期的に評価することが必要です。評価・再評価は、入院中の患者さんでは装具交換ごとに、外来通院患者さんでは外来受診ごとに行います。
●採点は点数が変わらない、または増加した場合は皮膚・排泄ケア認定看護師や専門外来に相談します。
●合計点数が0点でかつD(色調の変化)が0点の場合は適宜評価を行います。
●合計点数が0点でも、D(色調の変化)がDP(色素沈着あり)、DH(色素脱あり)の場合は、「皮膚障害の程度によるケア」「Dがある場合のケア」の見直しを行い該当するスキンケアを行ってください。

 ストーマ周囲皮膚のトラブルは、気づくことができなかった原因から発生あるいは悪化します。「ABCD-Stoma®ケア」のチェック項目は、誰もが見落とすことなく皮膚トラブルの原因を収集できるツール(道具)となります。また、採点結果をもとに、必要なストーマのスキンケア方法が具体的に提示されているので、効率的に早期に適切なケアが提供できます。この『ABCD-Stoma®ケア』の活用は、臨床でのストーマケアの質の向上と、オストメイトの幸福な生活につながるといえるでしょう。


【参考文献】
日本創傷・オストミー・失禁管理学会「ABCD-StomaRケア-ABCD-StomaRに基づくベーシック・スキンケア-」

(ナース専科マガジン2015年10月号より転載)

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