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【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

在宅でのパルスオキシメーターとの付き合い方について知っておこう!

  • 公開日: 2017/7/4

看護師であれば一度…とは言わず毎日のように使用しているパルスオキシメーター。訪問看護でももちろん使用します。
訪問中は「何を測る機械なの?」「どうしてわかるの!?」といった質問がご活用者様やご家族様から病院より多く上がるように感じます。入院中に使われていた方も、自宅に帰るとふと疑問に感じるのかもしれません。
今回はそんなパルスオキシメーターについてお話ししたいと思います。


いまさら聞けない…パルスオキシメーターって何だっけ?

パルスオキシメーターは、動脈血の赤色の度合いを見て酸素飽和度を測定します。酸素と結びついたヘモグロビンは赤色をしていますが、酸素と分離したヘモグロビンは黒っぽい色になります。酸素と結びついたヘモグロビンは赤色だけをあまり吸収せずに通してしまう性質を持っています(赤色の吸光度が低い)。
一方、酸素と結びついていないヘモグロビンは赤色を含む光をよく吸収するため黒っぽくなります。赤色の光を血液に当てると、ヘモグロビンと酸素がより多く結びついていると、それだけ多くの光が指を通り抜け、センサーが受け取る光の量が多くなります。こうした原理を使って酸素飽和度を測定しています。

どんな方が使ってるの? もらえるの? 買うの?

一般状態を把握するために訪問中のバイタルサイン測定時には全てのご活用者様を測定します。 このときに使用するのはステーションから看護師が持参したパルスオキシメーターになります。ご自宅に準備していただいているのは、慢性呼吸器疾患で在宅酸素療法(HOT)などを使用している方、人工呼吸器管理をされている方が中心になります。
病院ではよくターミナルの方にも装着していますが、ご自宅で看取りを希望されている方にはほとんど装着しません。病院の場合は管理上必要な場合があるかもしれませんが、自宅で看取る場合はご家族様に見守っていただいているケースがほとんどです。

ではどのように手に入れるのか。パルスオキシメーターは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性への確保等に関する法律(薬機法)」により管理医療機器に分類されています。これはX線撮影装置や磁気治療器、家庭用マッサージ器と同じ分類です。
その中でも、パルスオキシメーターは厚生労働大臣が指定する医療機器にあたるので、製造・販売には行政の許可が必要になります。在宅療養されている方は酸素業者などから貸出を受けるか、自費で購入することになります。疾患によっては障害者手帳により購入費用の助成を受けることができます。

ご活用者様・ご家族様への説明のポイント

どうしても数字が表示されると、つい気になってしまいます。私たちが気を付けなければならないのは、その方にとっての異常の判断です。酸素飽和度と併せて、バイタルサインや肺音、痰の性状などを見て療養上のアドバイスをします。必要であればすぐに医師への連絡相談も行います。

指示書に「SpO290%以下でDrコール」などの指示が記載されていることがあります。
ただ測るだけではなく、直前に歩行や排泄などの活動をしたか、発熱していないか、痰は貯留していないか、精神的なストレス(興奮している、体のどこかに痛みがあるなど)はないかなど、ご活用者様・ご家族様含めて問診やフィジカルアセスメントを行います。
そして酸素飽和度を下げていると考えられる要因を排除した上で少し時間を空けたり、深呼吸や口すぼめ呼吸を促してから再度確認をします。また、HOTや人工呼吸器の設定が正しいか、回路は正常か、といったところも必ず確認します。
それでもなお、酸素飽和度が低いようであればすぐ医師に報告をして指示を仰ぎます。

HOTを利用されている方は、労作時に増量できるように医師からの指示が出ていることが多いと思います。パルスオキシメーターの数字に囚われて、自己流にどんどん流量を上げてしまう方もいます。
数字だけでなく、病状や起こりうるリスクについても常に頭に置きながらかかわる必要性があります。ご自宅で生活しているからこそ、より生活に密着した具体的な行動指標をご活用者様やご家族様と一緒に設定することができます。そして呼吸苦がある方にこそ、安心感を提供できるように日ごろから寄り添ってかかわることが必要だと感じています。

パルスオキシメーターをはじめ、医療の現場には数字などのデータや専門用語、科学的原理を使用したものが溢れています。
病院という医療の場ではなく、自宅という生活の場にいるご活用者様に、訪問看護師として療養上必要なことをどのように説明すれば一番伝わるかを考え続けることが必要であると考えます。
そのためにも視野を広く持ち、ご活用者様の価値観や人生観を知ろうとすること、そこに寄り添ったケアを考え続けることが大切であると考えます。

<参考>
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/details/principle.html
コニカミノルタ パルスオキシメーター知恵袋 基礎編


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