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【連載】ナースのための消化器ケアに役立つ基礎知識

経鼻栄養チューブの挿入の仕方

監修 犬飼道雄

岡山済生会総合病院 内科 医長

執筆 木村しのぶ

岡山済生会総合病院 看護部

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チューブの違いと選び方

栄養剤の注入は栄養注入用のチューブで行い、ドレナージを目的とした胃管カテーテルによる栄養剤の注入は避けます。

【栄養チューブ】
栄養剤の注入を目的としているため、3.6~12Frと比較的細く、胃壁を損傷しないように先端が丸く閉鎖されています。また、栄養剤や薬剤による閉塞を防ぐため、多くの栄養チューブには側孔がついています。なお、レントゲンで留置位置の確認を行うため、X線不透過のものを選択します。

【胃管カテーテル】
胃内容物のドレナージを目的としているため、10~20Frと太く、先端が開口して側孔も多くあります。

チューブ挿入の手順

手順1

座位またはファーラー位で、鼻腔から心窩部までの大まかな長さを確認します。仰臥位の場合は頭部を少し上げ、膝を軽く曲げて腹部の緊張を取り除きます。その後、患者さんに経鼻栄養カチューブを挿入することやその必要性を説明します。

手順2

挿入する際は、まず経鼻栄養チューブの先端部分から潤滑油を塗ります。患者さんの違和感に配慮して、栄養剤や薬剤の投与で閉塞しない程度の、できるだけ径の細いチューブを選択します。挿入する鼻腔は左右どちらでもかまいませんが、無理せず優しく挿入することに留意します。

また、意識障害がある、麻酔薬や鎮静薬が投与されている、気管内挿管中である、咳そう反射が低下または抑制されているなどの状態の患者さんでは、挿入が困難な場合が多いため注意が必要です。

手順3

経鼻栄養チューブが咽頭部に届いたことを確認できたら、「ごくん」と唾液を飲むつもりでチューブを飲んでもらうよう促し、それに合わせてチューブを静かに送りこみます。

鼻腔を抜ける時に抵抗が生じた場合は、リラックスするように患者さんに声をかけます。また、チューブがたるんでそれ以上進まない、咳や嘔吐反射が強い場合は無理に挿入せず、経鼻栄養チューブを一度引き抜いて、再度挿入しなおします。

ほかに、嘔吐による汚染防止のため、周囲に防水シートをかけたり、膿盆を準備しておきます。場合によっては吸引の準備も必要です。

手順4

経鼻栄養チューブを挿入したら、留置位置を確認します(留置位置の確認方法は「経腸栄養剤の注入―手順とケアのポイント」を参照)
 

事故防止のための3つのポイント

経鼻栄養チューブは栄養剤注入以外にも、内服薬の注入などで看護師が日常的に使用しており、その頻度に比例して医療事故も多数報告されています。経鼻栄養チューブの事故を防ぐためには、次の3つのポイントに注意します。

POINT1

チューブを固定していても、自己抜去やテープが外れて自然に抜けかかっている場合があります。チューブが抜けると栄養剤が気管へ逆流することがあるため、留置位置を確認します。

POINT2

胃内容物(胃液)が引けるか、聴診器を心窩部に当てて、気泡音が認められるか確認します。

胃液、気泡音が確認できないようであれば、他の看護師あるいは医師に報告します。場合によっては、胸部X線での確認も必要です。

万が一、誤挿入した場合は、咳き込み、チアノーゼなどの症状がすぐ現れますが、高齢者や意識障害のある患者さんでは、反射が鈍くわかりにくい場合があります。

POINT3

栄養剤や内服薬の注入を開始する前に、鼻孔から注入口まで指でたどりながら、接続に間違いがないか確認します。

誤接続を予防するには

経腸栄養を静脈ラインから注入すると、ショックや播種性血管内凝固症候群(DIC)など致命的な状態となり、医療訴訟の対象となるケースが多く認められます。

この誤接続は絶対に避けなければならない事象です。予防対策としては念入りな確認(指さし呼称)と、誤接続防止用品の使用があげられます。現在、国際規格ISOにて新たなコネクタ規格が検討されており、今後新しい形状の医療器具が発売される可能性が高くなっています。

また、経腸栄養と静脈輸液は別々の輸液スタンドを用いて、各ラインが交差することのないよう整理することも重要です。

自己抜去を予防するには

経鼻栄養チューブがなぜ必要なのか、どのくらいの期間チューブを留置するのか、どのように挿入するのか、今後どういった症状が起こりうるのかなどについて、患者さんに丁寧に説明します。患者さんの不安を軽減し、疑問点を解決することで協力を得られるよう努めます。

また、経鼻栄養チューブそのものが不快感を伴うものであるため、患者さんへの影響を考慮する必要があります。留置による心理的・物理的ストレスが消化管粘膜障害を引き起こすなど、さらなる病態につながることも考えられます。鼻腔・咽頭へ刺激が少なく、消化液に対する変性の少ないチューブを選択します。

チューブは余裕をもたせ、邪魔にならないよう固定用絆創膏で鼻と頬にしっかり固定します。これを「エレファント・ノーズ型固定(図)」といいます。固定する際は、鼻翼を圧迫しないように注意します。


図 エレファント・ノーズ型固定

清拭や固定のし直し、皮膚の状態の観察は毎日行います。ほかに、鼻翼に潰瘍や壊死を引き起こす可能性があることから、固定部位は適宜ずらすようにします。

鼻腔・咽頭経由で留置されるため、鼻壊死、副鼻腔炎などの合併症も起こりうることを認識しておくことも大切です。

なお、患者さんの尊厳を守るため、抑制帯やミトンなどで拘束することは極力避けるようにします。

閉塞を予防するには

患者さんの不快感軽減を考えると細いチューブのほうがよいですが、成分栄養剤を注入する際は5Fr以上、半消化態栄養剤では8Fr以上の太さが必要です。

なお、12Fr以上は誤嚥や粘膜損傷のリスクが高まるので使用しないほうがよいでしょう。

閉塞の原因は、チューブ先端で栄養剤が腸内細菌により汚染されることで、タンパク質が変性しカード化が起きるためと考えられています。

ただし、汚染がみられない新品の時期であっても、閉塞予防を行なうことは重要です。経腸栄養剤の注入終了時、30ml程度の微温湯や酢水(酢1mL+白湯10mL)をカテーテル注射器でチューブ内に注入することで閉塞を予防します。

閉塞してしまった場合は、小さい注入器だと圧がかかりやすく、チューブ破損や断裂の危険があるため、大きい注入器を使用し、適量の微温湯をゆっくり力をかけずにフラッシュするように推奨されています。

圧が強く押しにくい場合は、チューブ交換が第一の選択となります。また、スタイレットやガイドワイヤーの使用は避けます。

参考文献

● 緊急安全情報「経鼻栄養チューブ誤挿入による死亡事故について」(2005年5月2日)http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/anzen/pdf/050502.pdf
●医薬品医療機器総合機構PMDA 医療安全情報http://www.info.pmda.go.jp(2014年2月)
●医薬品医療機器総合機構PMDA 医療安全情報http://www.info.pmda.go.jp(2007年11月)