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【連載】新しくなった! 成人肺炎診療ガイドライン2017

肺炎の抗菌薬使用について

執筆 今村圭文

長崎大学病院 第二内科講師

Haien

非定型型肺炎と細菌性肺炎で使い分ける

過剰な抗菌薬投与は避ける

市中肺炎(CAP)では耐性菌リスクが少なく、患者さんの元々の状態も健康である場合が多いため、予後は比較的良好です。そのため、肺炎を治癒させることは重要ですが、過剰な抗菌薬投与を行わないことも耐性菌の蔓延を防ぐうえで重要です。
 
軽症、中等症の場合は、原因菌が不明でも、細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別した治療が進められます。
 
具体的には表5の項目で4項目以上該当する場合はマイコプラズマの可能性が高く(非定型肺炎)、マクロライド系薬やニューキノロン系薬、テトラサイクリン系薬を選択します。
 
逆に該当項目が半分以下(3項目以下)の場合は細菌性肺炎を疑い、ペニシリン系薬やセフェム系薬を選択します。両者の鑑別が難しい場合はニューキノロン系薬を投与します。
 
敗血症併発例や重症例では集中治療室へ入室させ、広域抗菌薬のカルバパネム系薬かタゾバクタム・ピペラシリンを投与し、さらに、マイコプラズマやレジオネラをカバーするためにマクロライド系薬かニューキノロン系薬を投与します。
 
MRSA感染の可能性が高い場合は抗MRSA薬(バンコマイシン等)も併用します。抗菌薬は中途半端に服用すると臨床効果が低くなるだけでなく、耐性菌を蔓延させる原因にもなるため、医師から処方された用法用量や内服期間を厳守するように指導が必要です。
 
また、肺炎は急速に病態が悪化する可能性があるため、特に内服薬による外来治療を行っている患者さんへは、具合が悪くなった際は早めに医療機関を受診するように説明します。気になる患者さんには、電話などで容態を確認するのも良い方法です。

重症度や耐性菌リスクに合わせて適切に広域抗菌薬を投与

重症度と耐性菌の有無を判断して決定する

 
院内肺炎(HAP)や医療・介護関連肺炎(NHCAP)は耐性菌リスクが高く、患者さんの元々の状態も悪い場合が多いため、予後は比較的不良です。そのため、重症度や耐性菌リスクに合わせて適切に広域抗菌薬を投与することが重要です。
 
重症度や耐性菌リスクの有無を判断し、重症度が低く耐性菌リスクもない場合は、前述のescalation治療により肺炎球菌、インフルエンザ菌等の耐性度の低い細菌を念頭に置いた治療を行います。重症度が高いか、耐性菌リスクを有する場合は、前述のde-escalation治療により緑膿菌まで考慮した治療(タゾバクタム・ピペラシリンやカルバパネム系薬)を行います。重症度が高く、耐性菌リスクもある場合は、2剤以上併用することも考慮し、MRSA感染の可能性が高い場合は抗MRSA薬(バンコマイシン等)も併用します。
 
NHCAPで軽症かつ耐性菌リスクがない場合は内服薬による外来治療が可能な場合もありますが、市中肺炎(CAP)以上に容態が悪化する可能性があるため十分な注意が必要です。内服抗菌薬も同様に確実に内服することが重要です。高齢者は若年者以上に抗菌薬の副作用が出やすいため、発疹や下痢等の症状があれば、早めに主治医に相談するように伝えましょう。