お気に入りに登録

【連載】テーマごとにまとまった記事が読める! まとめ記事

エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など

編集 ナースプレス編集部

Webサイト「ナースプレス」編集部

目次


エンゼルケアとは

エンゼルケアとは、死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなどの全ての死後ケアのことで、逝去時ケアとも呼ばれます。病院であれば、患者さんがお亡くなりになった後、お見送りするまでを指します。つまり、エンゼルケアとは、ご家族への対応なども含んだ臨終後の全てのケアのことになります。

国内にはご遺体に関する学問や教育が存在しないため、現在行われているエンゼルケアには、実はあまり根拠がありません。病院ごとの方法で行われていることが多いのですが、日本特有の、儀式的パフォーマンスが存在しているのが実情です。本来エンゼルケアとは、患者さんの尊厳を傷つけない、ご遺体を傷つけない、なおかつエビデンスに基づき行われるべきケアなのです。

【関連記事】
* エビデンスに基づくエンゼルケア、できていますか?
* 第12回 エンゼルメイクの目的⑧コミュニケーションの充実に向けて

エンゼルケアの目的

エンゼルケア研究会では、エンゼルケアの目的は、「亡くなった人のセルフケアの代理」であると考えられています。亡くなると、全くセルフケアができない状態になってしまうので、その人の代わりに行う、という気持ちで臨みます。

エンゼルメイクには、シャワー浴や簡易シャンプー、お顔のクレンジングマッサージなども含まれます。これらは保清の目的もありますが、家族にとっては、貴重な思い出になる可能性のある行為なのであり、看取りの手段ともいえるでしょう。

【関連記事】
* 第10回 エンゼルメイクの目的⑥エンゼルメイクは看取りの手段になるということ

エンゼルケアの流れ(例)

療養末期

可能であれば、臨終時と臨終以降の看護計画、ご家族への衣類準備の声掛けなどを行い、心の準備が出来るよう手助けをします。

臨終時

医者の死亡宣告に立会い、臨終告知時の声かけおよびご家族への対応をします。

お別れ(お過ごし)の時間

亡くなった後、エンゼルメイクを開始する前に、患者さん本人とご家族のみでお過ごしいただくための時間を確保します。その際、必要であれば環境整備を行い、医療器材は可能な範囲で外しておきます。

退院するまでの流れについておおまかな説明を行い、家族が不安に感じないよう、疑問点の有無を確認します。家族がお別れの時間を過ごしている間、スタッフステーションにてその後の準備をします。

【関連記事】
* 第19回 部位別のエンゼルメイク(1)点滴やカテーテルなど医療器材の取り外し

主治医からご家族へ経過説明(医療処置がある場合)

主治医から、処置的対応へのことなどケアへのご希望を伺います(ストーマ、気管切開部の縫合など)。

【関連記事】
* 第21回 部位別のエンゼルメイク(3)気道切開部やペースメーカー

エンゼルメイク(全身の整え)・冷却など

お別れの時間が終わった後にエンゼルメイクに入りますが、希望される場合は家族とともに行います。また、その間に葬儀社へ連絡してもらいます。

死後硬直は、早い部位で1時間以内から始まります。そのため、家族の希望に合わせながらも、可能な限りすみやかにケアを行うことが必要です。また、死後変化は刻一刻とすすんでいきますが、まず留意すべき点は乾燥です。エンゼルケアでは、乾燥対策がはずせないケアであり、お顔にスキンケアやメイクをするのも、乾燥防止の目的の一つとなっています。

【関連記事】
* ご遺体を理解するうえでの3つの事実
* 第2回 エンゼルケアの基本②死後のおもな身体の変化
* 第7回 エンゼルメイクの目的③「体温低下」と「死後硬直」
* 【ご遺体管理Q&A】最近は火葬までの時間が長くなっている?

退院時文章お渡し

エンゼルメイクが終了したら、退院時文書にまつわる説明をして、死亡診断書お渡しします。ご家族へ、死亡診断書のコピーを手元に持っておくことをおすすめします。

抱き移し、ご遺体移送

葬儀社が到着したら、ベッドからストレッチャーへ移します。ご家族とともに、専用のエレベーターで移動し、お見送りをします。

【関連記事】
* 第13回 エンゼルメイクの目的⑨エンゼルケアの方法と手順
* 第11回 エンゼルメイクの目的⑦エンゼルケアの料金設定について

エンゼルケアの手順

エンゼルケアでは、主に口腔・眼内ケア、開口への対応、全身保清、更衣、冷却などを行います。まず、点滴などの挿入物を抜き、傷があれば処置をします。次に、温タオルまたは洗面器に湯をはり、濡らしたタオルで清拭を行います。このとき、強く皮膚表面を傷つけないよう押さえ拭きで行い、清拭後はたっぷり保湿ローションを塗布します。
同時に洗髪、足浴を行います。以前は身体の穴(耳、鼻、口、肛門など)に綿を詰めていましたが、最近では行わない施設も増えています。必要な場合は、専用のゼリーを使用することもあります。また、臨終前から鼻出血が続いている場合などは、一時的に栓をすることを目的として綿を詰めることもあります。陰部洗浄の後はオムツを使用し、汚物による寝衣汚染を防ぎます。保清が終了した後は新しい衣服に着替えますが、装飾品や着物など家族が希望するものがあれば使用します。浴衣を着る場合は、「左前身頃」「縦結び」となるようにします。

【関連記事】
* 全身のエンゼルメイクの方法
* 逝去時のケア【下顎を閉じるケア編】
* 逝去時のケア【清拭編】
* 逝去時のケア【創部ケア編】
* 逝去時のケア【更衣編】
* 逝去時のケア【ひげそり編】
* 逝去時のケア【クーリング編】
* こんなときどうする? Case3:ご遺体のまぶたが閉じにくい!
* 【ご遺体管理Q&A】下顎や手は固定しなくてもよいのでしょうか?
* 第9回 疥癬の患者さんのエンゼルケアの方法は?

【臭気対策にかんする記事】
* 第10回 臭気対策でオススメの方法はありますか

【腐敗にかんする記事】
* 第6回 エンゼルメイクの目的②腐敗とその対処
* 第11回 漏液があるのは腐敗の始まりですか

【綿詰めにかんする記事】
* 逝去時のケア【綿詰め編】
* 第2回 【エンゼルケアQ&A】最近は綿つめを行わない?
* 【ご遺体管理Q&A】綿詰めの処置は必要ないのですか?

【口腔ケアにかんする記事】
* 逝去時のケア【口腔ケア編】
* 第8回 エンゼルメイクの目的④死後硬直をふまえた保清『口腔ケア』/臭気予防のための『眼内ケア』
* 第5回 亡くなった後、口腔ケアはどうする?

化粧は、女性だけでなく男性にも施します。化粧には乾燥予防、血色を出す、皮膚色の変化に合わせて肌色を調整するなどの目的があるので、顔だけでなく肌が露出している部分に施すと良いです。

【関連記事】
* 第1回 エンゼルメイクは誰に対しても行ったほうがよい?
* こんなときどうする? Case1:男性患者のメイクに抵抗感を持っている!

エンゼルメイクの全体の流れ

クレンジング・マッサージ→蒸しタオル→クリームファンデーション→フェイスパウダー→チークカラー→アイブロウ→アイライン→マスカラ→リップの順で行うとよいでしょう。これら1つ1つには根拠があります。

【関連記事】
* エンゼルメイクの8つのプロセス

①クレンジング・マッサージ

患者さんの皮膚の汚れを取り、顔のこわばりをとることでご本人の表情を穏やかにします。また、チューブのあとなど軽度の跡(あと)を目立たなくします。

【関連記事】
* 第14回 エンゼルメイク実践編(1)事前準備と全体の流れ(2)顔のクレンジング・マッサージ
* 逝去時のケア【クレンジングと保湿編】
* 第6回 お尻の薬用洗浄剤で顔の汚れをとってもよい?

②蒸しタオル

肌を柔らかくし、潤いのある肌質に整えます。熱を与えることで、毛穴が開いて汚れが取れやすくなります。

【関連記事】
* 第15回 エンゼルメイク実践編 (3)蒸しタオルと乳液による整肌

③クリームファンデーション・フェイスパウダー

乳液で肌を保湿し、乾燥を防ぐ保護膜として下地をつくった後(整肌)、クリームファンデーションを塗ることでさらに乾燥を防ぎます。また肌の変色をカバーし血色を補います。

【関連記事】
* 第16回 エンゼルメイク実践編 (4)クリームファンデーションとフェイスパウダー
* 第8回 ファンデーションはどういうタイプがいいのですか
* 第22回 部位別のエンゼルメイク(4)皮膚に赤黒さや黄疸などがある場合
* こんなときどうする? Case2:黄疸患者にうまくメイクができない!
* 第7回 肌の色が緑色に変わってしまいました……

④チークカラー

ファンデーションで補えきれない血色をカバーします。

【関連記事】
* 第5回 エンゼルメイクの目的①ファンデーションやチークで血色を補う意味

⑤リップ

口唇の乾燥を防ぎ、口唇の変色をカバーします。男性の唇に合う色は、ベージュ系や茶系などです。口紅をつけない場合はリップクリームやワセリン、オイルなどの油分を必ず塗ります。

その他、アイブロウやマスカラは必要に合わせて適宜使用します。

【関連記事】
* 第18回 エンゼルメイク実践編 (7)「リップカラー・ネイルカラー」と(6)「眉(アイブロウ)・アイライン・マスカラ」

家族への対応

まず、生存中のケアひとつひとつがグリーフケアに繋がるということを念頭に置き、家族と関わることが大切です。
また逝去時ケアが家族のグリーフプロセスに影響することもあります。ケアへの参加を強要する必要はありませんが、最終判断はご家族と考えます。残された家族と一緒にケア行うことは、遺族ケアとしても効果的です。

【関連記事】
* 第9回 エンゼルメイクの目的⑤家族の意向・希望・思いを考える
* エンゼルケア時に家族へのグリーフサポートが必要な3つの場面
* グリーフの種類(予期悲嘆、通常のグリーフ、複雑性悲嘆)
* 第4回 退院後のご家族から問い合わせがあったらどうする?
* 第3回 「白い布をかけること」を希望される家族

ページトップへ