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ネフローゼ症候群とは? 症状・診断・治療など

解説 大橋 靖

東邦大学医療センター佐倉病院 腎臓学講座 准教授

腎臓の糸球体に障害が起こり、尿中に大量の蛋白が排出され、これに伴い低蛋白血症が引き起こる状態がネフローゼ症候群の特徴です。本来は腎臓でろ過されない血液中の蛋白がさまざまな原因でろ過され、再吸収されず、血中蛋白が喪失し、さまざまな症状を起こします。


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【目次】


症状

ネフローゼ症候群では、尿中に大量の蛋白が排出されることで低アルブミン血症・低蛋白血症になり、それに伴い浮腫が起こります。発症の早期にはまぶたなど局所に起こり、進行すると肺や心臓に水が貯まります。また、血管内の水分が血管外に移動し、からだはむくんでいるにも関わらず、血中の水分量が不足するために、血栓症を起こします。ひどい場合だと、脳梗塞を起こす場合もあります。また、血流量が減少することで、腎臓を通過する血流量も減少するので尿が出なくなり、急性腎不全を起こすこともあります。

ネフローゼ症候群の機序

腎臓には血液をろ過するフィルターの役割を果たす糸球体が200万個程度存在しています。糸球体では毛細血管が糸玉のように丸まっていて血液が流れます。糸球体毛細血管壁は、血管内皮細胞、基底膜、糸球体上皮細胞足突起で構成されていて、糸球体上皮細胞の足突起の間には、「スリット膜」という構造があります。内皮細胞、基底膜、スリット膜の三層構造が血液のろ過膜として機能しています。このフィルター構造が障害されることで高度な蛋白尿が出るものをネフローゼ症候群と呼んでいます。

血中のアルブミンが減少すると、皮膚と間質の組織に水分が漏れ出し、浮腫を発生します。血管外に水分が漏れ出ると、血管内のボリュームが少なくなり、腎臓の血流量が低下します。腎臓の血流量が低下すると、尿量が低下するので、血管内のボリュームを増やすために、レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系が亢進します。この系が亢進するとナトリウムの再吸収が亢進し、結果的に水の再吸収も亢進されます。血管内のボリュームは少ないですが、全身では水が溢れている状態なので、そこからさらに体液貯留が起きると、心不全や肺水腫といった状態にまでなってしまいます。

ネフローゼ症候群の診断

成人のネフローゼ症候群では、高度尿蛋白尿と低アルブミン血症の両方を満たすことが診断基準です。具体的には、蛋白尿が1日に3.5g以上、血中アルブミンが3.0g/dL未満の状態です。小児のネフローゼ症候群の定義は成人のものと異なります。

成人ネフローゼ症候群の診断基準の表
丸山彰一,監:Ⅰ 疾患概念・定義・構成疾患・病態生理,エビデンスに基づく ネフローゼ症候群診療ガイドライン 2017.東京医学社,2017,:p.1.より転載

小児におけるネフローゼ症候群の定義の表
丸山彰一,監:Ⅰ 疾患概念・定義・構成疾患・病態生理,エビデンスに基づく ネフローゼ症候群診療ガイドライン 2017.東京医学社,2017,:p.2.より転載

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