パーキンソン病とは? 症状・診断・治療について

監修 佐藤紀子

東京女子医科大学 看護学部・大学院看護学研究科 教授

執筆 原 三紀子

東京女子医科大学 看護学部・大学院看護学研究科 准教授

どんな疾患?

パーキンソン病は、1817年にJames Parkinsonにより初めて報告された神経変性疾患です。一般に、病態は脳血管障害などの基礎疾患から類似症状が出現する症候性パーキンソニズム(振戦、筋強剛、無動、寡動、姿勢反射障害などの症候を示す)とは類別されます。パーキンソン病では、大脳基底核の黒質緻密帯におけるメラニン含有神経細胞が変性・脱落し黒質で生産されるドーパミンが著しく減少します。中脳黒質にある正常なメラニン含有細胞は、神経突起を大脳基底核の線条体(尾状核・被殻)に伸ばして、その終末から神経伝達物質であるドーパミンを分泌します。パーキンソン病では、これらの働きをもつ神経細胞が変性し、脱落するためドーパミンが著しく減少し、そのため、大脳基底核の主な働きである運動調節機能が障害されて筋緊張や不随意運動などの運動障害が出現します。

どんな症状?

主な症状は、安静時振戦、筋強剛、無動・寡動の三大徴候に加え、姿勢反射障害(立ち直り反射障害)(図1-13)、歩行障害、自律神経障害(起立性低血圧、便秘、排尿障害、発汗異常)などがあります。また、表情が乏しくなる仮面様顔貌や、皮脂分泌の亢進による油漏性顔貌、唾液過多などの副症状や精神障害(抑うつ・認知症)を呈することもあります。

パーキンソン病患者に見られる前傾前屈姿勢の図

予後は、従来、10年程度で寝たきりになるといわれてきましたが、薬物療法やリハビリテーションの進歩・発展によって生存期間は延長されてきています。

パーキンソン病による合併症は、①疾患の進行に伴う身体機能の低下、②ライフスタイル、③治療による副作用の影響、④加齢による生理機能の変化などさまざまな要因が影響しあって出現します。疾患の重症度は、Hoehn&Yahrによる重症度分類が目安になります(表1-9)。Hoehn&Yahrの重症度分類のStageⅢ以上、かつ生活機能障害度Ⅱ度以上が厚生労働省の難病医療費助成の対象となっています。

表1-9 パーキンソン病の重症度分類

Hoehn & Yahrの重症度分類 生活機能障害度(異常運動疾患調査研究班)
Stage Ⅰ:一側性障害で体の片側だけの振戦、固縮を示す。軽症例である Ⅰ度:日常生活、通院にほとんど介助を要さない
Stage Ⅱ:両側性の障害で、姿勢の変化がかなり明確となり、振戦、固縮、寡動~無動とも両側にあるために日常生活がやや不便である Ⅰ度:日常生活、通院にほとんど介助を要さない
Stage Ⅲ:明らかな歩行障害が見られ、方向変換の不安定など立ち直り反射障害がある。日常生活動作障害もかなり進み、突進現象もはっきりと見られる Ⅱ度:日常生活、通院に介助を要する
Stage Ⅳ :起立や歩行など日常生活動作の低下が著しく、労働能力は失われる Ⅱ度:日常生活、通院に介助を要する
Stage Ⅴ :完全な廃疾状態で、介助による車椅子移動または寝たきりとなる Ⅲ度:日常生活に全面的な介助を要し、歩行、起立不能

*厚生労働省の難病医療費助成の対象となるのは、Hoehn & YahrのStage Ⅲ、生活機能障害度Ⅱ度以上である。

診断・治療

❶ 診断             

病歴、神経学的所見などを手がかりに診断します。パーキンソニズムを認める場合は、脳血管障害、外傷、中毒などによっても症状が出現するため、画像診断(CT・MRI)、薬物反応のチェックなど鑑別診断を必要とします。

❷ 治療             

内科的治療としては薬物療法や運動療法を行います。黒質のドーパミン減少を補うL-ド-パや無動や振戦に対して抗コリン剤(アーテン®)などの薬物治療が行われます。薬剤の長期投与では薬剤の血中濃度に並行して症状の軽快や増悪を繰り返すwearing-off現象や、血中濃度とは関連なく電気のスイッチを切ったように症状が突然悪くなるon-off現象、ジスキネジア(不随意運動)や幻覚・妄想などの症状が出現しやすくなります。運動療法では、姿勢保持訓練、歩行訓練、関節可動域訓練、発声訓練などを行います。外科的治療として、後腹側淡蒼球手術(posteroventtral pallidotomy : PVP)などが行われる場合もあります。

薬物療法でのコントロールが困難な場合には外科的治療を検討します。近年、大脳基底核や視床に電極を挿入し不随意運動などの軽減を図ることを目的とした深部脳刺激療法(deep brain stimulation)などが行われる場合もあります。


この記事は『[新版]看護に役立つ病態生理とアセスメント』より転載しています。
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