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[座談会]がん患者さん同士のWEBを通じたピアサポートについて、どう思う?<後編>【tie up】

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◆座談会参加者(五十音順):
  岩﨑悠仁香 (乳がん体験者)
  小野智恵美 (帝京大学医学部附属病院 がん看護専門看護師/乳がん看護認定看護師)
  金井久子  (聖路加国際病院 乳がん看護認定看護師)
  清水 研  (国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍医、NPO法人キャンサーリボンズ委員)※司会進行
  藤原 緑  (乳がん体験者)


スマートフォンの普及とSNSが生活に浸透したことにより、誰もが手軽に情報を発信し、交流ができるようになりました。そのような中、がん患者さん同士のWEBを通じたピアサポートに期待と注目が注がれています。患者会に参加するだけでなく、同じ病気の方と気軽にコミュニケーションがとれるようになってきた今、WEB上でのがん患者さん同士の支えあいについて可能性や課題を話し合いました。

岩﨑悠仁香さん、藤原緑さん、清水研さん、小野智恵美さん、金井久子さんが横に並んでいる写真
左から 岩﨑悠仁香さん、藤原緑さん、清水研さん、小野智恵美さん、金井久子さん

医療従事者からみたWEBを通じたコミュニケーションの課題は?

清水:WEBを通じたピアサポートについて、どのようにお考えですか?

金井:じつは、私たちは、患者さんに「とにかくブログは見ないで」と言っていました。なぜかというと、たとえば「抗がん剤を使うと、気持ちが悪くなる」と書いたブログを読むと、先入観に引きずられて気持ちが悪くなってしまったりすることがあるからです。

小野:私も、金井さん同様に「ブログは内容が偏っている場合があるので、気をつけてください」と患者さんにお伝えしてきました。

Webコミュニケーションサイトについては、所属施設の患者さん方からも「活用したい」というお声はきいておりました。私は、医療従事者として、Webコミュニケーションについてどのように対応することが好ましいのだろうかと考えていたところでした。Webコミュニケーションでも、監視体制がしっかりしたサイトであることが確認できれば、安心して患者さんにオススメできるのではないかと感じています。

会談中の5人の写真

WEBを通じたコミュニケーションの可能性

清水:WEBを通じたコミュニケーションには、情報の正しさという点でデメリットがある一方で、メリットもあると思います。私は、患者さんのQOL支援という視点から、治療中の方のためのコミュニティサイト「イルイル」に期待しています。
岩﨑さんは実際にイルイルを使っているとのことですが、いかがでしたか?

岩﨑:WEBがいいのは、検索で簡単に似たような境遇の人を見つけられることです。ただブログは、ドラマティック過ぎてひとりよがりに感じるものや、不確かな情報を宣伝するものもあり、よしあしがあるなと思います。その点、「イルイル」は、善良でやさしい人が集まっているなという印象があります。質問に対して、冷たいコメントやシニカルなコメントはまるでなく、「寒くなってきたので風邪を引かないように気をつけてくださいね」といった思いやりのある発言が多いです。私自身も他の人の悩みに回答した際に、相談者が「役に立った」と喜んでくださると、自分の体験が他の人の役に立っているんだと温かい気持ちになりますね。ただ専門家ではないので、間違った情報を書いてしまう危険性はあるなと思っています。

小野:不適切な書き込みやネガティブな発言については監視体制がしっかりされているとお聞きしました。他者を、つまり患者さんの気持ちを傷つけないということが大事だと思います。監視体制がしっかりして、お互いを思いやる気持ちがあるサイトであれば、安心して紹介していくことができると思います。

金井:日頃から患者さんにはこころのケアが大事だなと感じていて、なるべく早めに精神腫瘍科の医師やリエゾンナースにつなぐことを心がけていますが、イルイルのようなツールが増えることで患者さんの支えになることも期待できると感じました。

ウィッグや下着、子育てなど生活に関する悩みは体験者へ相談

岩﨑:私がいいなと思ったのはウィッグに関する情報交換です。普通に「医療用ウィッグ」で検索すると広告ばかりなのですが、イルイルでは井戸端会議みたいに「これがよかったよ」とクチコミがたくさん飛び交っています。私のときもこれがあったらなあと思いました。

藤原:そういう情報はいくらでもほしいですね。体験者に相談したいのは、子育てや親の介護のことだったり、下着や痒みに関する悩みで、医療者に相談するほどではない悩みなんですよね。直接の解決にはつながらなくても、痒みで悩んでいる同じ状況の人がいると知るだけでも、「私だけじゃないんだ」と心強いです。

金井:体験談は本当に参考になるようで、私も患者さんから生活の困りごとを聞かれると、「以前同じようなことで困っていた患者さんは、こんな風に工夫されたそうですよ」とお伝えしたことがたびたびありました。

小野:乳房切除術を受けられた患者さんで、「既製品のサイズが合わないため自分で作っちゃったわ」とおっしゃる方にも出会ってきました。生活の中での困りごとに個々に対応できる患者さんの力は素晴らしいと感じています。そういう患者さんの体験や情報を、他の患者さんと共有できることはメリットがあると感じます。

清水:その人のニーズに合った情報は、こころのケアにもなりますね。やはり、体験者同士でないと得られないものが沢山あるのだと思います。近くに患者会がない、忙しいので参加できない、直接話すのはちょっと緊張するという方が、WEBを通じて、気軽に体験や生活の悩みを共有できる場がこれから増えていけばいいなと思います。がんの種類を問わず、世代別に就職や結婚や育児の話ができるような場があってもいいですね。

会談中の5人の写真


がんを治療中の方が悩みをシェアできるコミュニティ・サイト<br>
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イルイル

イルイルはカラダ・病気に悩みをかかえた人同士が体験談を共有し合えるQ&Aコミュニティサービスです。
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(運営:ドコモ・ヘルスケア株式会社)


NPO法人キャンサーリボンズとは
がん治療中の自分らしく少しでも心地よい生活の支援を目指して、2008年の発足以来、情報入手や
ケア体験ができる場づくり、がん支えあい啓発、生活場面ごとの支援コンテンツやサポーターづくり、
セルフケアに役立つ商品や工夫を体験できる病院イベントなどを行っています。
情報支援の面では、2011年から図書館とも連携するなどリアルな場での情報発信に取り組んでいるほか、
今年から新たに、web上でのがんサバイバーどうしの情報交流のあり方についてドコモ・ヘルスケア社
と意見交換しながら協働を始めています。
http://www.ribbonz.jp/


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