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【連載】新しくなった! 成人肺炎診療ガイドライン2017

高齢者の肺炎予防についてガイドラインで推奨していることとは?

執筆 今村圭文

長崎大学病院 第二内科講師

Haien

肺炎球菌ワクチンの予防接種を強く推奨しています。併せて、口腔ケアを推奨しています。

ワクチンは2種類あり、65歳以上で定期接種も行われている

 感染症の予防としてまず思い浮かぶのは、ワクチン接種だと思います。肺炎を引き起こす細菌でワクチン接種が実用化されているのは肺炎球菌だけですが、肺炎の引き金になりやすいインフルエンザウイルスのワクチン接種も普及しています。したがって、肺炎予防のためのワクチン接種は、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種が有効です。

 肺炎球菌は、市中肺炎(CAP)や医療・介護関連肺炎(NHCAP)を引き起こしやすい代表的な細菌です。現在、日本では、23価莢膜多糖体肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®NP)と13価蛋白結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®)の2種類が使用可能です(表6)。

 両者の違いは、ごく簡単にいうと、ニューモバックス®NPのほうがカバーする肺炎球菌のタイプが多く、プレベナー13®のほうが免疫をつける能力は高い、ということになります。費用については、医療機関によって異なり、ニューモバックス®NPは約8,000円、プレベナー13®は約10,000円となります。

 なお、ニューモバックス®NPは2014年10月より、主に65歳以上の高齢者を対象者にした定期接種が行われています。対象となる人は、5,000 円程度での接種が可能です。

 ニューモバックス®NP は約5年で効果が減弱するため、5年ごとに再接種を行うとよいです。プレベナー13®は効果の持続が長いため、再接種は必要ありません。

高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種

 2014 年10 月1 日~ 2019 年3 月31 日までの間に、主に65歳以上の人は、接種費用の一部が公費で負担される肺炎球菌ワクチンの定期接種を、1回受けることができます。今年度は、下のいずれかに該当する人が、ニューモバックス® NP の定期接種が受けられます。

 ただし、過去にニューモバックス® NPを接種したことがある人は、定期接種の対象になりません。一方、プレベナー13® を接種したことがある人は対象になります。もちろん定期接種の対象にならなくても、任意で予防接種を受けることはできます。

肺炎予防.jp
http://www.haien-yobou.jp/
上のサイトでは、生年月日を入力すると、肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象になる時期がわかる。また、各自治体で行われている全国の定期接種制度の情報も調べられる

歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアも併用する

 口腔ケアも肺炎予防にはきわめて有効な手段です。本人や介護者による定期的な歯磨きが必須であり、加えて、歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアを行うと、肺炎の予防効果が高まることがわかっています。

 専門的な口腔ケアは、週に1回や月に1回でもよいので、定期的に受けることが望ましいです。

高齢者で、特に誤嚥性肺炎を罹患したことがある人、基礎疾患をもつ人は、肺炎に罹患するリスクが高い

ステロイドなどの投与を受けている患者さんも注意

 肺炎罹患のリスクとして最も重要なのは年齢です。高齢者ほど肺炎の発症リスクは高く、75歳以上では若年者の約10倍、肺炎に罹患しやすくなります。また、高齢者の肺炎で重要な要因として注意したいのは誤嚥性肺炎です。誤嚥による肺炎のリスク因子(表7下表)に該当する患者さんは肺炎の高リスク患者さんといえます。

 基礎疾患(COPDなどの慢性呼吸器疾患、糖尿病、アルコール中毒、肝硬変、慢性腎不全、脾臓摘出後など)をもつ患者さん、免疫能が低下(ステロイドや免疫抑制剤の投与、胆がん罹患など)している患者さん、介護施設入所者、誤嚥性肺炎に罹患して日が浅い人も肺炎罹患のハイリスク群です。

(ナース専科マガジン2017年8月号より転載)