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【連載】がん化学療法による副作用のケア

[皮膚障害]がん化学療法中の患者さんへのセルフケア指導のポイント【PR】

解説 春藤 紫乃(しゅんどう しの)

がん・感染症センター都立駒込病院 がん化学療法看護認定看護師

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 皮膚障害が出やすい抗がん剤の使用が決まったら、発症したときに患者さんが戸惑わないように、予想される症状や予防的ケアなどについて説明します。発症前に詳細な説明をしても理解や実践は難しいことも多いため、日頃のスキンケアの習慣を把握したうえで、患者さんが実践可能なケアを中心に説明します。その際、困ったときの相談窓口や連絡方法を伝えておくことも大切です。

 定期的な外来受診の際に看護師などが面談し、全身の皮膚症状を観察します。行っているケアの方法や生活上の問題などをよく聞き、よりよいケアの方法を患者さんとともに考えます。生活習慣を大幅に変えるような指導や、コストがかかりすぎるケアは継続を困難にします。患者さんが無理なく行えるスキンケアを継続してもらうようサポートしていくことが重要です。
 

スキンケアの基本は洗浄と保湿

予防的スキンケアも皮膚障害発症後のスキンケアも、基本は洗浄と保湿になります。
①洗浄:石けんの泡で優しく洗い、石けんを完全にすすぎ落とす
②保湿:洗浄後に十分な量の保湿剤を塗る
 上記に加え、症状がある部位への「ステロイド外用剤の塗布」も基本となります。保湿剤やステロイド外用剤は少量しか塗らない人が多いため、実際に塗ってもらいながら量や塗り方を指導します。保湿剤とステロイド外用剤を塗布する順番については特に決まりはありませんが、保湿剤を全体に塗ったあとステロイド外用剤をピンポイントでつけるとよいと伝えています。

 石けんや保湿剤は、特別なものを用意する必要はなく、使い慣れたものがあれば、それでかまいません。これらのケアは、毎日行うことが大切で、できれば1日に2〜3回、最低でも1日1回は洗浄と保湿を行うように伝えます。

症状別ケアのポイント

ざ瘡様皮疹

 ひどいニキビのような発疹が顔や前胸部、背部などを中心に全身に現れます。基本的スキンケアや、紫外線を防ぐケアが必要です。保湿をしっかり行い、皮疹が出現している部分にはステロイド外用剤を塗布します。お化粧はできますが、夜にはしっかり落とすことが大切です。

乾皮症(皮膚乾燥症)

 指先の皮膚に亀裂ができたり、面積の広い部分では皮膚が粉を吹いたりうろこ状を呈し、ひび割れることもあります。保湿効果の高い保湿剤を使用しても、悪化を抑えることが難しい場合は、ステロイド外用剤で対応します。

爪囲炎

 爪の側縁に肉芽が盛り上がり、強い痛みを伴うため、手先を使う作業や歩行が困難となることもあります。基本的にはステロイド外用剤で対応しますが、盛り上がった肉芽に爪が食い込んで痛みが強い場合は、肉芽と爪を剥がすように引っ張ってテープで固定するテーピング法を行うと苦痛を和らげることができます。また、爪の側縁と爪の間に血液や滲出液が溜まり、乾燥して固まってしまうことがあります。この上からステロイド外用剤を塗布しても十分な効果が得られませんので、しっかりと除去してから塗布することが大切です。その際、無理矢理剥がすのではなく、爪と指の間の血液や滲出液が固まっている部位に、石けんの泡をしばらく乗せておき、その後ぬるま湯で優しく流して除去するようにします。

手足症候群

 手掌や足底に紅斑、水疱が生じ、出血、痛みを伴い、手を使う作業や歩行が困難になります。基本的スキンケアのほか、足の場合は圧迫を避けるためはきやすい靴に替えたり、歩行の機会を減らすなどの工夫をします。痛みが強い場合は、ステロイド外用剤を使用します。

色素沈着

 手や足の皮膚や爪が黒くなったり、顔にシミのような斑点が現れます。紫外線対策をして悪化を防ぎ、お化粧やマニキュアでカバーする人もいます。マニキュアを使用した場合、頻回にリムーバーを使用することで刺激を与えてしまうことがあるため、ベージュやうすいピンク色のマニキュアを使用し、はがれた部分に重ね塗りをするのもよいでしょう。


患者さんへの生活指導に役立つ
sawai oncology「日常生活のアドバイス」(医療関係者向け)
http://med.sawai.co.jp/oncology/advice/

「日常生活のアドバイス」は、沢井製薬が運営する医療関係者向けがん情報サイト内にあるコンテンツです。がん治療に伴う副作用を軽減し、治療を継続できるよう、患者さんご自身でできる身近な運動や食事(レシピ)、ケア、美容情報などをご紹介しています。現在、便秘・下痢・吐き気・口内炎・味覚障害・顔色・皮膚障害の7つの副作用を公開しています。印刷し、患者さん個々に合わせてお使いいただけます。

(運営:沢井製薬株式会社)