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【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

在宅での排便コントロールとは?

監修 LE.O.VE株式会社

LE 在宅・施設 訪問看護リハビリステーション

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執筆 鎌田勇気

LE.O.VE株式会社 蒲田店 チーフ

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排便コントロールって何?

 「排便」は生きていく上で必要な生理現象であり、「摂取」したら「排泄」する。この当たり前の現象が過剰になったり、滞ったりすることにより生じるのが「下痢」「便秘」です。

 排便コントロールとは、これらを「内服」や「食事や水分の摂取調整」、「マッサージ」、「摘便」等をすることにより適切にコントロールすることを言います。

 在宅療養されている方の多くはこの「排便コントロール」に悩まされています。原因として、
・ 大腸機能の低下(加齢による腸機能の低下や弾力性の低下)
・ 筋力の低下(加齢や運動不足により排便に必要な筋力の低下)
・ 摂取量の低下(必要カロリー量の低下により摂取量の減少、尿失禁を心配することにより水分摂取量の低下)
などが挙げられます。

排便コントロールのアセスメント

 在宅だからといって病院での排便コントロールとの大きな違いはありません。
必要なのは問診、触診、全身状態の確認です。

主なアセスメントのポイント
問診 食事状況、排便の状況(回数、性状など)、腹部症状の有無、内服薬(緩下剤など)の服薬状況など
触診 腹部膨満の程度、腹壁の硬さ、圧痛の有無など
全身状態の確認 バイタルサインを含む異常のチェック

 認知症や失語などにより明確な情報を得られない場合には、ご家族や他サービスからの申し送りを確認します。 下痢は見たまま「下痢」とわかりますが、それが、感染症によるものか薬剤性によるものか、その他の原因があるものかをアセスメントする必要があります。訪問先での原因の確定は困難ですが、前述の情報収集をもとにアセスメントし、必要時医師への報告や受診の提案をします。

 便秘は出た回数というより出ている便の状態に注意します。出ていてもコロコロと硬い便が続くようであれば、腸内にとどまっている時間が長いので便秘がちという判断になります。
また、食欲の低下や腹部の膨満、腹痛の訴えなども注意すべき症状です。

 例外的に、血液混じりの便や、内服薬にかかわらない黒色便が見られた際には大腸がんなどの重病の恐れがあります。また、嘔気や嘔吐がある場合は腸閉塞の恐れがあります。早めの受診を提案し、医師への報告、ご家族様、他サービスの方々への介入時の注意点を伝えておくと自分が訪問していない時間帯の対応がスムーズになってきます。

対応

■便秘の場合

 緊急性のある便秘ではないと考えられた場合には、腹部のマッサージや温罨法などを行い、腸蠕動を促すことで自然排便を促せる場合もあります。ご活用者様やご家族様によっては摘便をされる方も時折いらっしゃいますが、腸壁を傷つける場合もあるためお勧めはできません。ご本人様、ご家族様には看護師以外での摘便は控えるよう指導しつつ、私たちもご本人様、ご家族様が必要に迫られて摘便などをしないよう、先々を見据えた定期的な排便コントロールが必要となります。

 摘便の前に浣腸を使用することで便の排出を容易にすることもできますが、浣腸の使用は急激な血圧低下などをきたす場合があるため注意が必要です。

■下痢の場合

 下痢の場合は、脱水や電解質異常、皮膚トラブルに注意が必要になります。水分摂取の促し、必要であれば医師への報告、受診、服薬も必要です。感染によるものか、内服の過剰摂取なのか、下痢の原因を改善するよう努めましょう。

 下痢であると皮膚トラブルの発生も多く見られ、皮膚のただれや褥瘡の発生になりかねません。清潔を保ち、新たな皮膚トラブルの発生予防に努めることが必要になります。

予防 

 便秘は予防が大事です。

 難しいのは「2日出てない」。週1回の訪問で、訪問時に2日でていない。もしそのまま経過観察とし、その日、次の日と出なければ長期間の便秘となり、対応が困難になります。ですから、日頃よりどの程度の頻度で排便があるのか。何日排便がなければどのような対応を取るかなどの確認が必要となります。下痢も生活環境の改善や、感染予防、内服の適宜のコントロールにより多くは予防可能となります。

 在宅での生活において、看護師はいつでも駆けつけることができるわけではありません。私たちがいないときのことを考えた訪問。週1回の訪問であれば、次の週の訪問まで安全に生活できる環境を整えてくることが必要となります。
そのためにも、起こりうる問題やご活用者様、ご家族様でできる対応を事前に予測し、指導や予防活動が重要となります。

「排便」を当たり前に

 生活の上で当たり前の「排泄」。
この悩みを日頃からのかかわりで改善できるようにすることが、ご活用者様やご家族様の在宅生活の負担を軽減することに繋がります。