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麻酔科領域で活躍する周麻酔期看護師

取材 長坂 安子

聖路加国際病院 麻酔科 部長

取材 吉田 奏

聖路加国際病院 麻酔科 周麻酔期看護師 チーフ

取材 赤沼 裕子

聖路加国際病院 麻酔科 周麻酔期看護師

取材 亀田 めぐみ

聖路加国際病院 麻酔科 周麻酔期看護師

取材 岸本陽子

聖路加国際病院 麻酔科 周麻酔期看護師

取材 鈴木 怜夢

聖路加国際病院 麻酔科 周麻酔期看護師

Dekiru a

麻酔の専門的知識をもつ周麻酔期看護師。まだ耳慣れない言葉かもしれません。聖路加国際病院の麻酔科では、すでに周麻酔期看護師が院内外で活躍しています。今回、その周麻酔期看護師5名と麻酔科医師1名に概要を聞きました。


周麻酔期看護師とは

周麻酔期看護師の役割

 周麻酔期看護師は、大学院の周麻酔期看護学の修士課程において養成され、麻酔科に専従勤務する看護師です。そもそも周麻酔期看護学はまだ新しい分野で、2010年、聖路加国際大学大学院で初めて開講されました。

 周麻酔期看護師の基本的な役割は、麻酔科専門医の指示下において麻酔科医の業務を補助することです。聖路加国際病院では、この周麻酔期看護師を院内資格として認定しています(現在国内の複数施設で周麻酔期看護師が勤務しています)。そして、周麻酔期看護師が麻酔科医と協働し、さまざまな場で安全でよりよい麻酔管理を行うべく活動しています。

聖路加国際病院での活動

 メイン業務は手術室における麻酔管理ですが、同院の周麻酔期看護師は手術前の麻酔科外来から術後まで長期にわたり、患者さんとかかわっています。麻酔科外来では、周麻酔期看護師2名、麻酔科医師1名、薬剤師1名の4名のチームで麻酔前の診察を行い、麻酔を行う上で、重要な患者情報を把握共有し、より安全な周麻酔期管理へつなげています。

 術後では、Acute Pain Service(APS)を含めた術後回診を2016年より開始しました。APSとは、術後疼痛や急性疼痛に対する鎮痛管理のこと。周麻酔期看護師1名と麻酔科医師1名で構成された術後回診チームが前日に麻酔を受けた患者さん全員を診察し、麻酔による合併症に対する早期発見や疼痛管理などの術後のフォローアップ、加えて継続的な麻酔科管理を徹底して行っています。必要があれば、硬膜外麻酔や神経ブロックなどによる鎮痛処置も提供しています。

 また、産科麻酔にも周麻酔期看護師が積極的にかかわっています。現在、同院で行っている無痛分娩の数は全分娩数の2~3割。無痛分娩と帝王切開の麻酔が主な仕事で、日々麻酔科医師1名と周麻酔期看護師1名が産科チームと連携をとりながら担当しています。妊婦さんと赤ちゃんの安全のために1〜2時間ごとに患者さんの様子を診察しますが、麻酔科医師が他の分娩と重なってしまった場合は、周麻酔期看護師がチェックシートを用いて、麻酔の効果や鎮痛の評価などを確認し医師に報告します。

 さらにこれから大きなニーズとなってくる内視鏡検査や放射線治療などにおける鎮静管理にも取り組んでおり、これまで経験した症例をベースにマニュアルを作成しているところだといいます。ここに周麻酔期看護師がかかわる意義は、麻酔の知識を習得しているだけではなく、急変時の対応ができるということ。ACLS・BLS、そして乳児・小児に特化したPALSといった救命処置を、同院の周麻酔期看護師は習得しています。また、医師の指示のもと気管挿管などの気道管理が行える知識と技術も備えています。こうしたスキルをもつ周麻酔期看護師が、呼吸と循環、そして意識状態の確認なども含めた鎮静管理を行うことによって、患者さんにとって安全でよりよい看護を提供できるというわけです。

他職種との連携

 このように診療科を横断的に活動している周麻酔期看護師は、麻酔科医師や他の部署の看護師、他職種との連携が重要で不可欠です。最も主体となる麻酔科医師との連携については、麻酔の知識が共通言語としてあるからこそ、お互いのコミュニケーションがスムーズにとれているといいます。また看護師も医師とともに医局に席を置いていて、意見の交換がしやすい環境になっています。産科との連携については、これまでのかかわりのなかで、周麻酔期看護師の役割が産科内で浸透していき、今では助産師からの直接相談などのアプローチが増えてきているそうです。検査や手術については、事前にスタッフ間のミーティングを設けて、終了したあとも振り返りのためのミーティングを必ず実施しています。産科に限らず外来部門や病棟看護師から相談や勉強会の依頼も増えており、院内全体への存在や役割の周知が進んできたと感じているそうです。


次ページでは、実際に周麻酔期看護師として働いている看護師のインタビューをご紹介します。