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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

タッチングとは|ケアの方法と効果〜根拠がわかる看護技術

解説 佐居由美

聖路加国際大学 基礎看護学・看護技術学 准教授

目次


タッチングとは?

看護におけるタッチング

 タッチングとは、非言語的コミュニケーションの一つで、患者さんの身体に触れることをいいます。

 タッチングには、マッサージや指圧など、治療を目的とするタッチング、バイタルサインの測定や清拭、検査など処置目的のタッチング、苦痛・不安の軽減や励ましなど、コミュニケーションを主体とした共感的タッチングがあります。

 看護におけるタッチングとは、共感的タッチングを指すことが多いでしょう。患者さんに安心と安楽を与えるために欠かせないケアであり、意識的にもしくは無意識的に行われています。ここでは、共感的タッチングについて解説していきます。

タッチングの効果

 患者さんに安心感を与えて、不安をやわらげる効果があります。また、患者さんと看護師との間に親和感が生まれて、患者さんが悩みや不安を表出しやすくなるという効果もあります。

 こうした効果は、ほとんどの看護師が自分の経験によって認識していると思われます。また、患者さん側からは、「気持ちに寄り添ってくれる感じがした」など、タッチングの効果をあらわす声も多く聞かれます。

 さらにタッチングの効果については、交感神経や副交感神経など生理学的指標をもとに効果を示す研究も数多く行われています。

タッチングの使用場面と目的

 タッチングを行う場面と目的には、以下のような例があります。

・悲しい思いをしているとき―慰める
・不安や恐怖感があるとき―安心させる、勇気づける、励ます
・痛みがあるとき―苦痛を和らげる

タッチングの方法

 患者さんの衣服の上から、もしくは肌に直接触れて、手を当てる、さする、揉む、圧迫するなどの方法があります。タッチングの対象となる部位は、手や肩、背中、そのほか痛みのある部位です。

 いずれの方法においても、患者さんに寄り添う気持ちを大切にし、苦痛を与えないように、やさしく愛護的に行う必要があります。

タッチングを行う際の注意点

アセスメントが重要

 タッチングを行うには、日ごろから患者さんとの関係性をアセスメントしておく必要があります。というのも、タッチングはパーソナルスペースに踏み込むケアであり、患者さんとの関係性によっては、逆効果になりかねないからです。

 例えば、患者さんが看護師に対して、マイナスの感情をもっていれば、タッチングによって、不快感が生じてしまいます。また患者さんの中には他人に触れられたくない人もいます。

 バイタルサインの測定時など、患者さんに触れることが必要な場面で、患者さんの表情や言動、動きなどを観察しておきましょう。もちろん、タッチングを行っているときにも患者さんの感情の変化を観察します。

 異性間では、患者さんがセクシャルハラスメントと感じたり、逆に自分に対して特別な感情があると思ったりするケースもあるので、患者さんの年齢や性別にも考慮しましょう。

患者さんの同意を得る

 痛みを軽減することを目的にタッチングを行う場合、患者さんに同意を得てから行いましょう。

体温など手の状態を確認する

 冷たい手や不潔な手で触れると、患者さんに不快感を与えてしまいます。自分の手は温かいか、清潔か、手が荒れていないかなどを確認してから、タッチングを行うようにしましょう。

タッチングイメージ


参考文献

志自岐康子,編:ナーシング・グラフィカ 基礎看護学3 基礎看護技術 第6版.メディカ出版,2017.

イラスト/ふるやますみ

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