【連載】手術室看護の基本を知ろう!

手術に用いる器具にはどんなものがある?

執筆 佐藤大介(所属は執筆時のもの)

東北医科薬科大学病院 手術部 手術看護認定看護師

 手術室にはそれぞれの術式に合わせた器械・器具が何千種類と存在します(大げさではありませんよ)。入職したばかりの新人さんにとって器械・器具の名前を覚えるは最初のつまずきポイントではないでしょうか。

 器械出し看護師は手術に使用する器械・器具をすべて記憶し手術の進行に応じて外科医師にスムーズに渡す必要があります。多いときには一回の手術で約千回以上の受け渡しがあるとされており、器械・器具をスムーズに渡すことは手術時間の短縮に繋がり、患者さんへの負担を少しでも軽くすることに繋がります。

 すべての器械・器具を紹介すると膨大な量になってしまいますので、今回は普段よく使う器械・器具について紹介していきたいと思います。


目次

よく使う器具

鉗子(かんし)類

鉗子

 鉗子とは組織や臓器を把持するための器械です。使用用途によって種類が沢山あり、先端に鉤があるのが有鉤鉗子(ex.コッヘル)、鉤がないのが無鉤鉗子(ex.ペアン)といいます。また、先端が丸い、細い、弯曲の程度などで名称が変わってきます。さまざまな種類があり、術野の状況に応じて使い分ける必要があります。

鑷子(せっし)類

鑷子

 組織を把持したり、つまんで持ったりするための器械です。またそれだけでなく、ガーゼを持って使用したりと、実際術者の指の代わりのような働きをします。鑷子類も鉗子類と同様に有鉤・無鉤があり、長さや形もさまざまで使用用途や術野に応じて使い分ける必要があります。

剪刃(せんとう)類

剪刃

 いわゆる〝ハサミ〟と言われるものです。組織を切離・剥離する、糸やドレーンなどを切る為の器械です。術野の浅い所か深い所か、何を切るのかなどによって種類や長さが変わってきます。

鉤(こう)類

鉤

 術野を確保するために使用する器械です。皮膚・皮下組織・筋肉・骨の牽引や臓器の圧排をし、術野の確保や操作スペースを確保するために使用されます。こちらも術野の深さや使用用途によってさまざまな大きさ、長さの鉤類があります。

メス類

メス

 手術が始まってから一番最初に出る器械、皮膚を切開するために使用される器械です。また、細かい切開・切離においても使用されます。刃の先端が尖った尖刃刀とカーブになった円刃刀があります。その他に電気メスと呼ばれる高周波電流を用いて組織の切開や凝固を行うメスもあります。電気メス使用時には対極板が必要になります。

持針器(じしんき)類

時針器

 縫合に必要な針を持つ為の器械です。創の縫合や結紮、吻合時などに使用します。基本的に小さめの針はヘガール、大き目な針はマチュウを使用します。

 各種さまざまな器械・器具がありますが、器械出し看護師はそのすべてを把握し手術がスムーズに進むように、執刀医が何を必要としているかを予測し術野に出さなければいけません。さらに器械・器具が散乱しないように整理整頓し、器械についた血液やゴミなどを綺麗に拭き取るなどをしながら、手術で使用している器械・器具の管理をしています。また、手術前と術中に追加した器械・器具が術後にすべて揃っているようにカウントが間違いないかといった確認などを行っています。

知っておきたい手術室で使用する器械

 手術室には、手術に使用する器械・器具だけでなくさまざまな機械があります。主に使用する物の中に麻酔器や人工心肺があります。今回はこの2つについて紹介していきます。

麻酔器

 全身麻酔をすることによって呼吸抑制が起こり、最終的には呼吸が止まってしまいます。そのため、気管挿管を行い、人工呼吸器による呼吸管理をしなければなりません。手術室に人工呼吸器と同じ目的で使用するものに麻酔器と言われる機械がありますが、厳密に言うと人工呼吸器と麻酔器とは違いがあります。その違いとは、麻酔器は基本的に半閉鎖回路であるということ。呼気から出された麻酔薬を含んだ混合ガスを再利用する必要があり、そのためのCO2を吸収するためのパーツ(キャニスターとソーダライム)や排ガス装置などがついています。基本的に手術中は麻酔科医師が使用しますが、手術室看護師は手術前点検として、モニターのチェックや回路にリークがないか、ソーダライムや吸入麻酔薬の補充などを行っています。

人工心肺

 心臓血管外科の手術で人工心肺と呼ばれる機械を使用しています。心臓を止めて手術しなければいけない症例で使用しています。基本的には臨床工学技士(CE)が管理を行っていて、手術室看護師は直接人工心肺を操作することはほとんどありませんが、出血量や尿量などを観察し臨床工学技士に伝えたり、人工心肺中の輸液・輸血管理,人工血管や人工弁など、送血管・脱血管などを相談しながら術野に出すなどをしています。

ガーゼ

 器械・器具といった部分とは少し話がズレてしまいますが、手術室看護師が扱うものとしてガーゼがあります。ガーゼはさまざまな用途で使用されますが、時に身体の中で使用することがあり、回収されないまま患者さんの身体の中に入ったままになってしまった医療事故も時折報告されています。

 そのため手術後にレントゲンを撮影し、身体の中に異物がないか確認しています。手術室看護師(特に器械出し看護師)が手術中に出したガーゼの枚数が閉じる前に合っているかガーゼカウントをして確認することも大切な業務の一つです。ガーゼだけでなく手術で使用した器械・器具、物品すべて数が合っているか確認しています。


【引用・参考文献】

  1. 日本麻酔科学会・周手術期管理チームプロジェクト:周術期管理チームテキスト第2版.2011.公益社団法人 日本麻酔科学会 2.OPE NURSING 第31巻6号,長谷川素美,株式会社メディカ出版,2016
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