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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

経過記録の書き方のポイント(SOAP、フォーカスチャーティング、経時記録)|看護記録書き方のポイント3

解説 大口祐矢

看護師 根拠がわかる看護義塾(http://kango.pw/)

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【目次】

ここでは一般的な看護記録を解説しています。実際の記録は院内の記録規定に従いましょう。

経過記録は看護計画を実施した結果を記録

 経過記録には、看護計画に基づいた看護を実施した結果を記録します。経過記録は、看護記録の中でもメインとなる記録です。以下のような視点で記述します。

・患者さんからどのような反応が得られたのか
・患者さんの健康状態や看護問題がどのように変化したのか

POS(問題指向型システム)の考え方に基づいて書く

 経過記録は基本的に、POS(問題指向型システム、Problem Oriented System)の考え方に基づいて記録します。POSとは、簡単にいうと患者さんがもつ問題を解決するために医療を行うという考え方です。

 POSに基づいた診療録は、POMR (Problem Oriented Medical Record)と呼ばれています。

 経過記録においては、患者さんのもつ問題に焦点を当てて、その問題ごとに患者さんの様子や看護師が実施したケアを記録していきます。

経過記録の記録方法の種類

 経過記録の記録方法には、

  • SOAP(ソープ形式)
  • フォーカスチャーティング(DAR形式)
  • 経時記録

の3種類があります。

 SOAPとフォーカスチャーティングは、前述したPOS(問題指向型システム)の考え方に基づいた記録方法です。

 経時記録は、伝統的な書き方で、時系列に沿って記録していきます。

 それぞれにメリット、デメリットがありますが(表)、臨床現場では、SOAPによる記録が多いでしょう。POSによる考え方が適さない場合には、経時記録で記録します。

 例えば、入院から初期計画立案までの経過、重症・急変時・死亡時・事故発生時など突発的な出来事の経過、カンファレンスの記録(検討内容・結果・参加スタッフ名など)、ムンテラの記録、医師からの口頭指示などです。

形式 特徴 メリット デメリット
SOAP(ソープ形式) 患者さんがもつ問題ごとに、S(Subject):主観的データ、O(Object):客観的データ、A(Assessment)アセスメント、P(Plan)計画に分けて記録する ・問題とそれに対するケアが明確
・思考の流れがわかりやすく、根拠のあるケアにつながる
・立案されていない看護問題に対しては、追加立案する必要がある
・1日、もしくは1場面のケアについて考えるため、長期間の経過の評価には適さない
・慣れないうちは記録に時間がかかる
フォーカスチャーティング(DAR形式) 患者さんの反応や状態に焦点(フォーカス)をあてて、「Focus(フォーカス)」ごとに、「Data(データ)」、「Action(アクション)」、「Response(レスポンス)」を順序立てて記録する ・患者さんの反応や状態をフォーカスとして挙げるため、記載に柔軟性がある
・看護ケアと患者さんの反応が明確になるため、一連のケアの流れがわかりやすい
・記録者によって、取り上げるフォーカスが異なるため、経過を比較するのが難しい
・フォーカスの当て方や状況の変化によって、フォーカスが多くなり、記録が増えやすい
経時記録 患者さんの状態・状況、実施した看護、治療や検査などに対する患者さんの反応などを経時的に記録する ・時系列で記録されるためわかりやすい
・入院から初期計画立案までの経過、重症・急変時・死亡時・事故発生時など突発的な出来事の経過、カンファレンス・ムンテラの記録、医師からの口頭指示を記録するのに適している
・形式にとらわれないため、書きやすい
・患者さんの行動パターンや性格など、個別性があらわれやすい
・記録が長くなりやすい
・記録に時間がかかる

経過記録 よりよい記録のためのポイント

 誰でもわかるように記録するとともに、記録としてふさわしい表現を心がけましょう。

5W1Hを意識して書く

 当事者だけではなく、誰が読んでも状況がわかるように書くことが重要です。そのために「5W1H」を意識して情報を整理するとよいでしょう。

【5W1H】
Whenいつ
Whereどこで
Whoだれが
Whatなにを
Whyなぜ
Howどのように

敬語は使わない

 患者さんのことを記すとしても、記録では敬語は不要です。もちろん、医療者に対しても使いません。

 特に医師に対して、敬語を使いがちです。よくみられるのが、「医師に上申する」「医師に指示を仰ぐ」です。

【例 誤→正】
話していらっしゃる→話している
歩いて来られる→歩いてくる
〇〇していただく→〇〇してもらう
説明される→説明する
上申する→報告する
指示を仰ぐ→指示を受ける

?や!などの感嘆符は使わない

 患者さんの会話を表すときなど、「?」や「!」を使わないようにしましょう。強い口調を表したいときは、言葉で表現するようにしましょう。

【例 誤→正】
「痛い!」→「痛い」と強く訴えている。

医師名やスタッフ名を明記する

 担当医、担当看護師、当直医とするのではなく、〇〇医師など名前をしっかりと明記しましょう。

具体的に説明する

 患者さんの状態などを表す際、「著変なし」「np(no problem 問題なし)」のみの記述がみられることがあります。具体的なデータや表現で記すようにしましょう。

 必要時にはスケールを用いて記します。スケールを用いるときには、結果の根拠となったデータも記します。

 処置やケアの内容もできるだけ、具体的に記すようにします。

 また、「上記の旨」など、前に示した記述を指す表現も避けましょう。再度、具体的に記すようにします。

【例 誤→正】
バイタルサイン著変なし→バイタルサインを測定する。BT 36.5、BP 122/85mmHg、P 85/分、SpO2 98%

JCS 300→大きな声で名前を呼び、身体を揺さぶるが反応なし、自発呼吸なし、痛み刺激に反応なし(JCS 300)。

気管挿管実施し、人工呼吸継続。生理食塩液500mlを滴下する。
→気管挿管実施。挿管チューブ7.5Fr、20cmで固定する。アンビューバッグを接続し人工呼吸継続。左前腕に20Gでルート確保し、生理食塩液500mlを全開で滴下する。

少量の滲出液が付着している→赤褐色の100円玉大の滲出液が付着している

仙骨部に小さな褥瘡がみられる→仙骨部に3cm×2cmの褥瘡がみられる。DESIGN-R〔d2-e3- s6 i1 g3 n0 p0:7点〕

重要な説明や報告は具体的に記述する

 患者さんの急変時、家族に連絡するなど、重要な連絡や報告は、その内容も記録しておきます。

【例 誤→正】
〇〇看護師が家族に来院してもらうように電話する。→
〇〇看護師が患者さんの妻に電話する。「4時ごろに状態が悪くなり、現在、対応中です。身体の状態と今後について、お話したいことがあるので、すぐに病院に来てください」と伝える。

データの引用は「〇〇参照」を使う

 排便・排尿のフローシート、バイタルサインなど、個別のデータがある場合は、「フローシート参照」と記載してデータを引用すると、記録が簡潔になります。

 また、数日間の変化をフローシートで確認するように促すことができます。

【例】
本日、排便なし。フローシート参照

偏見だと捉えられるような表現はしない

 患者さんの状況を説明するときなど、意識せずに患者さんに対する偏見だと誤解されかねない表現を使ってしまうこともあります。他の人が読んだ時に、どんな印象をもつかを考えながら、客観的な記録を心がけることが大切です。

【例 誤→正】
しつこく質問があった→何度も質問があった
暴言を吐かれた→強い口調で言われる。

誤解を招くような記号は使わない

 +(プラス)、-(マイナス)の記号で量や回数を表すことがあります。しかし、量か回数なのかは見る人によって解釈が変わってしまうので、きちんと量と回数を記録するようにしましょう。

 また、上昇や下降を表す↑↓の記号も表現が曖昧になるので、使用しないようにしましょう。

【例 誤→正】
尿量(+)→尿量少量、1回


【参考文献】
1)大口祐矢:看護の現場ですぐに役立つ看護記録の書き方.秀和システム,2015.

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