お気に入りに登録

【連載】酸素の上げどき?下げどき?

間質性肺炎患者さんのHOT指導ポイント[成功したcase]

執筆 小室圭子

草加市立病院 慢性呼吸器疾患看護認定看護師

O2updown

酸素の上げ下げを考えるとき、患者さんが低酸素状態になっているかどうかを見極めなければなりません。ここでは、成功事例から見極め方を解説します。


事例紹介

65歳男性間質性肺炎

●入院に至る経過
一週間前より発熱・湿性咳嗽が出現し市販の感冒薬を内服したが症状が改善されず受診した。来院時SpO2 86%(室内気下)、胸部X線・CTにて両側すりガラス状陰影を認め、酸素3Lを開始すると呼吸状態は落ち着く。入院後よりステロイドパルス療法が開始となる。
主訴:発熱、湿性咳嗽、労作時の呼吸困難

●入院時の状態
[バイタルサイン]体温37.3℃、脈拍96回/分、SpO2 93%(酸素3L)
[身体所見]両側下肺野fine crakles(+)


患者さんの状態と酸素療法

 安静時は3Lの酸素投与でガス交換が十分行えているため、SpO2の低下が認められませんでした。しかし、食事やトイレなどの労作により血流速度が早まると、酸素化されない血液が増えるため、呼吸苦が出現し酸素流量の調整が必要となりました。

酸素療法の上げ下げのポイント

食事動作時には上げる!

酸素3Lで食事を開始するとSpO2が82%まで低下し、酸素6Lへ上げましたがSpO2が90%以上とならず単純酸素マスクを併用しました。

 鼻カニューラは酸素流量6L/分を超える使用は、酸素ガスが鼻粘膜に直接ぶつかり刺激することがあります。また、FiO2 44%以上の酸素濃度の上昇は期待できません。

 単純酸素マスクをゴム固定せずに手に持ち、食事を噛んで飲み込む動作のときに呼吸を整えることで酸素化の改善が期待できます。

 ネーザルハイフローを使用している施設は、適宜評価を行って調節します。

トイレ動作時には上げる!

 食事の労作での低酸素血症の状態を考えると、トイレ動作は全身を動かすため、適切な呼吸法に加えて多くの酸素流量が必要となります。この患者さんのような拘束性肺疾患では、1:1の割合で鼻から吸って口から吐く早い呼吸を促すとともに、酸素は単純酸素マスク5Lより開始し、SpO2が90%以上となるように流量調整を行います。

 単純酸素マスク8L(FiO2 60%)を使用しても酸素化の改善ができない場合は、酸素チューブから流れる酸素とリザーバーバッグに貯まった酸素を吸入することで高濃度の酸素吸入ができるリザーバーマスクを使用します。

同じ酸素流量でSpO2が高くなったら下げる!

 同じ酸素流量でSpO2の値が高くなるということは、治療により肺の病態が改善してガス交換が十分に行えていると考えられます。そのため、看護師は日常生活動作とSpO2の値を評価して、SpO2 97%を超えたら酸素流量を減量して調整していくことも大切です。

(ナース専科マガジン2015年3月号より転載)

ページトップへ