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【連載】酸素の上げどき?下げどき?

CO2ナルコーシスを回避できた例[成功したCASE]

執筆 伊是名若菜

北里大学東病院 慢性呼吸器疾患看護認定看護師

O2updown

酸素の上げ下げを考えるとき、患者さんが低酸素状態になっているかどうかを見極めなければなりません。ここでは、と成功事例から見極め方を解説します。


事例紹介

65歳男性COPD 合併症:肺炎
喫煙歴:30本/日を約45年間

●入院に至る経過
慢性的な咳嗽と5年程前から階段を昇るときに息切れを感じ、近医を受診。COPDと診断されたが放置していた。

数日前から37℃台の発熱、咳嗽があり、喀痰の量が増えていると自覚があった。感冒薬を服用し、一時的に症状はよくなったため放置していた。

入院当日の朝食後、トイレに行った後に呼吸困難が始まり、妻の運転で外来受診。肺炎・COPDの急性増悪の診断を受け、治療目的で入院となった。

●入院時の状態
[バイタルサイン]
体温37.7℃、血圧140/72mmHg、脈拍86回/分不整なし、呼吸回数28回/分、SpO2 85%(室内気下)
[身体所見]安静時に呼気延長あり、膿性痰あり、肺胞呼吸音減弱、喘鳴あり、頸静脈怒張あり、四肢の浮腫なし
[採血データ] WBC 18000/μL CRP 12.56mg/dL
[動脈血液ガス検査]PaCO2 72Torr PaO2 52Torr HCO3 38mEq/L pH 7.35


患者さんの状態と酸素療法

 ベンチュリーマスクFiO2 24%、2Lで酸素吸入を開始しました。また、気道確保の改善を目指して、気管支拡張剤の吸入、体位ドレナージ・咳嗽介助を実施。同時に水分摂取と食事も勧めました。酸素吸入開始後、呼吸困難感が軽減し、SpO2 92%前後で安定し、2時間後にSpO2 94%、PaO2 71Torr 、PaCO2 50Torr、pH7.39と改善がみられたため、医師の指示通り鼻カニューラ1ℓに酸素吸入を変更。その後も、鼻カニューラ1Lの酸素吸入でSpO2 92 ~ 93%を維持でき、1週間後、在宅酸素を導入し、自宅退院となりました。

酸素療法の上げ下げのポイント

動脈血液ガスデータが改善したら下げる!

 この症例は、酸素吸入開始から2時間後にSpO2と動脈血液ガスデータが改善したところで酸素流量を減量するタイミングが適切でした。これによりSpO2が94%未満に保たれたため低酸素刺激が継続し、自発呼吸に対する抑制が起こることなく経過しました。

 また、気管支拡張剤の吸入等、気道閉塞を改善しながらの酸素吸入も酸素化が効果的に行えた要因です。

 Ⅱ型呼吸不全では、患者さんの1回換気量に左右されず吸入気酸素濃度(FiO2)を正確に設定できるベンチュリーマスクを使用し、低濃度(24%)の酸素から開始します。そして、動脈血液ガスデータで酸素化の目標を評価することが大切です。

 SpO2 90%以上、PaO2 60Torr以上に改善し、い
ったん呼吸状態が安定したら、ベンチュリーマスクを同じ目標SpO2値を達成できる低流量(1~2L/分)の鼻カニューラに切り替えます。

 閉塞性肺疾患の患者さんは口すぼめ呼吸によるPaO2の改善が期待できます。入院中にパルスオキシメータを使用しながら口すぼめ呼吸を指導しておくとよいでしょう。

(ナース専科マガジン2015年3月号より転載)

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