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遺伝性血管性浮腫(HAE)の症状記録アプリが提供開始

編集 ナースプレス編集部

Webサイト「ナースプレス」編集部

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遺伝性血管性浮腫(HAE)とはどんな疾患でしょうか?

 遺伝性血管性浮腫(HAE)は突然顔や唇、手足、消化器などさまざまな部位に腫れやむくみ、激しい痛みが起きる遺伝性の疾患です1)2)。症状は週単位から月単位、年単位で起こる人などさまざまで症状の出る場所も常に同じとは限りません。身体のあらゆるところに症状が生じるため、例えば手に浮腫が生じて日常生活に支障をきたす場合もあれば、喉頭周囲に腫れやむくみが起こると、気道や声門の閉塞が生じて生命にかかわることも考えられます。

 罹患率は5万人に1人の割合で、国内の患者数は推定2500人3)ですが、実際に治療されている患者さんは約450人と言われています。浮腫の症状は2〜5日間程度で収まることが多いものの慢性的に繰り返すと言われています。若年期から身体のさまざまなところに症状が生じ、精神的ストレスがきっかけになる人もいれば、何も誘因がなく症状が出現することもあります。

 発作の頻度、部位、強さは患者さんによって異なり、同じ患者さんでも毎回症状が変化します。しかし、現状として治療可能な病院は限定的であり、多くの患者さんは重篤な症状のとき以外は、症状が自然に収まるまで我慢をし、医師は患者さんの症状を十分に把握できていないのが現状です。

HAEノートで医師と患者さんの円滑なコミュニケーションが可能に

 そういった現状や患者さんへのヒアリングをもとに開発されたのが「HAEノート」(シャイアー・ジャパン株式会社)です。遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作の始まりや終わり、強さ、発作の部位などを簡単に記録することができるアプリです。また、症状の記録、撮影に加えて未診断を減らし患者さんのご家族やご親族を守ることを意図した「HAEを伝える」、「ファミリーツリーを作成する」という機能もあります。「HAEを伝える」とは、家族や身近な人にHAEという病気について知ってもらう際に動画やテンプレート文章を使って伝えることができます。また、「ファミリーツリーを作成する」とは、重い発作が起こる前に診断されることで家族を守ることにつながります。また、ファミリーツリーを作成しながら家族の診断状況を確認することができます。

 「HAEノート」の監修した埼友草加病院 大澤勲院長は「すべての発作を診察の際に主治医に伝えるのは困難であろうと思います。主治医は受診時にこのアプリの記録をもとに患者さんと話すことで今後の治療についてより適切な助言ができます。またご家族の診断状況がわかれば、未診断による誤診や命に関わる重篤なリスクを未然に防げます。私が担当する患者の皆さんにこのアプリを勧めたと思います」と述べています。また、NPO法人HAEジャパン(HAEJ)代表の山本べバリーアンさんは「このアプリがあれば、発作の状態を具体的に把握することができ、症状を上手にコントロールする一助となります。また患者にとって受診の大きな助けとなります。これまで患者は自分の症状を主治医にうまく伝えられずフラストレーションを溜めていました。このアプリの記録を主治医に見せれば、限られた診療時間を有効に使い、より早く的確に治療を受けることができます」と述べています。

 このように、「HAEノート」を活用することで、医師と患者さんの間での円滑なコミュニケーションと適切な治療が行われ、HAEから患者さんとその家族、親族を守ることにつながると考えられます。


「HAEノート」の利用方法

スマートフォンでApp Store またはGoogle Playにアクセスし「HAEノート」を検索しインストールしてください。


【引用・参考文献】
1)Bork K,et al:Hereditary angioedema: new findings concerning symptoms, affected organs, and course.Am J Med 2006;119(3):267-74.
2)Bowen T.et al:2010 International consensus algorithm for the diagnosis, therapy and management of hereditary angioedema.Allergy Asthma Clin Immumol 2010;6(1):24.
3)一般社団法人日本補体学会HAEガイドライン 作成委員会 編:遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン改訂2014年度版,2014.