1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 点滴・輸液
  5. 輸液管理
  6. 点滴と同じ腕(末梢から)の採血はOK? NG?

【連載】注射・採血・輸液の手技徹底攻略!

点滴と同じ腕(末梢から)の採血はOK? NG?

  • 公開日: 2018/6/6
  • 更新日: 2021/11/26

Q.点滴より末梢側で採血をすれば、検査数値に問題はないと思うのですが実際はどうなのでしょうか。

A.適切な位置で駆血し、点滴の刺入部から15cm離れた末梢側からの採血による血液データは、点滴の影響を受けない

点滴をしていない側の上肢から採血できないケースもある

 点滴をしている上肢から採血すると、点滴成分が採血管に入ってしまうことで、患者さんの生体機能を反映した正しい検査結果が出ないのでは? という疑問は多くの看護師が長年感じていたことだと思います。点滴をしていない側の上肢で採血すれば、それで済む話ではと思われがちですが、そうもいかない状況が臨床現場にはあります。思いつく限り例を挙げてみます。

  • 点滴をしていない側の上肢にシャントがある(シャント側からの採血は禁忌)。
  • 点滴をしていない側の上肢はリンパ節郭清を伴う乳房切除術後である(乳房切除術側からの採血は禁忌)。
  • 点滴をしていない側の上肢には採血に相応しい血管がない。
  • 両腕で点滴している。
  •  こんなところでしょうか。
     こういった場合、多くの看護師は下肢から採血することが多いようです。しかし、下肢からの採血は血栓形成のリスクがあるといわれており、決して推奨される部位ではありません。

     さらに、下肢から採血するときの患者さんの不安や疼痛の訴えが、上肢からの採血と比較にならないことは、多くの看護師が知っていると思います。

    点滴より末梢側での採血データを検証

     そこで、点滴している側から採血しても患者さんの生体機能を反映した正確なデータが得られれば、安全・安楽とは言えない下肢から採血する必要がなくなるのではと考えました。
     点滴は静脈から行うため、点滴成分は静脈の流れに乗り中枢側へ流れていきます。よって、点滴をしている末梢側から採血すれば点滴成分が採血管に入ってこないのではという仮説を立ててみました。そして、次のような実験を行いました。

    この記事を読んでいる人におすすめ

    血管が見えない患者さんと硬い患者さんの穿刺のコツ

    ルートキープが難しい患者さんへの対応のキホン ルートキープ(静脈路確保)とは、静脈内に針やカテーテルを留置して輸液路を確保することです。薬剤投与を行うためのルートキープは、患者さんの治療にかかわる重要な手技です。特に、急変時などクリティカルな場面では、迅速に薬剤を投

    2014/3/18

    血管が細い患者さんへの穿刺、どうすればうまくできる?

    Q.血管が細い患者さんの穿刺のコツについて教えてください。 A.コツは、血管を立体的にイメージできるようになることです。 目視だけではなく触れて走行をイメージする  こちらも根拠は特になく、またすべての方に通用する方法ではないと思いますが、あくま

    2018/6/20

    第6回 輸液剤の使い分け

    輸液剤の使い分け 今回のタイトルは『輸液剤の使い分け』としました。 しかし、『これって、ナースにとってそれほど必要な知識なの?』と思われる方もおられるのではないでしょうか。 確かに、輸液を処方するのはドクターです。ナースではありません。 だから・・・? しかし、輸液を輸

    2009/7/29

    採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等)

    採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備する物品 基本的な物品 指示箋 アルコール綿 携帯用針捨て容器 駆血帯

    2014/12/17

    採血|手技の根拠(クレンチングの理由など)

    今回は、採血(静脈血採血)の手技に関する根拠について解説します。 より正確な検体の採取と患者さんの苦痛を最低限にすることがポイント。正しい手技手順で確実に行うことが大切です。 【採血のまとめ記事】 * 採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

    2016/1/14

    カテゴリの新着記事

    動脈血採血の看護|目的、部位、手順、検体の取り扱い、看護の注意点

    動脈血採血とは  動脈血採血とは、経皮的に橈骨動脈や大腿動脈等を穿刺して、動脈血を採取することをいいます。動脈血採血は基本的に医師が行う手技であり看護師は行ってはいけない行為と思っているかもしれません。しかし、看護師は医師の指示のもと診療の補助として動脈血採血は実施可能であ

    2023/12/9

    アクセスランキング

    1位

    心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

    心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

    250751
    2位

    【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

    血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

    249974
    3位

    人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

    みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

    250017
    4位

    吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

    *2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

    250001
    5位

    採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

    採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

    250858
    6位

    SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

    *この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

    250839
    7位

    心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

    *2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

    250061
    8位

    サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

    *2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

    249818
    9位

    第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

    【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

    295949
    10位

    第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

    バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

    309636