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【連載】排尿自立指導料導入で増える!変わる!排尿ケアでできること

第2回 “排尿自立指導”導入で病棟看護師にできること

執筆 西村かおる

NPO法人日本コンチネンス協会 会長

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 診療報酬を受けるには、病棟看護師による患者さんへの指導・援助が必須条件となっていることから、何ができるのかを理解しておくことは重要です。ここでは、病棟看護師のかかわり方や動き方を解説します。


目次


排尿自立指導にかかわるスタッフの条件とは?

院内研修で知識・技術を習得

 病棟で排尿自立指導にかかわるスタッフの条件として、経験年数は問われません。ただし、排尿自立指導料の目的、方法を理解できていることは大切な条件です。
 
 また、包括的排尿ケア(表2-1)が実施できることも重要です。具体的には、排尿日誌をつけることができる、超音波画像診断装置、あるいは超音波による携帯式残尿測定専用器で残尿測定ができることに加え、自己導尿や骨盤底筋訓練などの指導ができることが求められます。
 
 これらの知識と技術は院内研修で習得します。慣れないうちは研修だけでなく、排尿ケアチームの看護師から指導を受けることも必要です。

包括的排尿ケアの例

病棟看護師はどうかかわる? どう動く?

病棟看護師に求められる役割とは?

 包括的排尿ケアには4つのステップ(図2-1)があり、病棟看護師と排尿ケアチームそれぞれに役割があります。
 
包括的排尿ケアの4つのステップ

Step1 対象患者さんの抽出
 病棟看護師の重要な役割の1つは、対象となる患者さんを抽出することです。対象となるのは、尿道カテーテル留置以外の排尿管理方法を検討することができ、適切な排尿ケアを行うことで、尿道カテーテル抜去または排尿自立ができる可能性がある患者さんです。排尿自立指導の導入開始直後は、対象患者さんの抽出を難しく感じたり、混乱が生じる可能性も考えられます。その場合は、対象外の患者さんを外していくことで、対象患者さんを見極めることもできます(図2-2)。

対象患者さんの選別

Step2 下部尿路機能評価のための情報収集
 下部尿路機能障害が予測される、あるいは判断が困難な場合は、尿道カテーテル抜去前に排尿ケアチームに相談します。下部尿路機能障害が予想されないときは、尿道カテーテルを抜去します。抜去したら、その日のうちに下部尿路機能障害の有無をアセスメントします。
 
 下部尿路機能の評価には、24時間の排尿日誌と、最低1回の残尿測定が必要となりますが、これは病棟看護師の重要な役割です。残尿測定は超音波画像診断装置、あるいは超音波による携帯式残尿測定専用器で行うことが原則です。また、これらは残尿測定だけでなく、排尿誘導時間の設定にも活用でき、効率的な排尿ケアの実施に役立ちます。
 
Step3 下部尿路機能障害の評価と計画策定
 排尿ケアチームは、病棟看護師が実施した排尿日誌と残尿測定の情報をもとに、排尿自立度と下部尿路機能障害の評価を行います。そして、排尿ケアチームと病棟看護師で具体的なケア計画を策定します。

Step4 包括的排尿ケアの実施と評価
 排尿ケアチームと病棟看護師は、協同して包括的排尿ケアを実施します。専門的なケアについては、排尿ケアチームが病棟看護師へ教育を行います。病棟看護師と排尿ケアチームは、定期的に排尿自立と下部尿路機能の評価を行い、包括的排尿ケアの有効性を検討します。包括的排尿ケアを行っても改善が認められない場合は、画像検査、尿流動態検査など、泌尿器科での詳しい下部尿路機能の検査を行い、ケア計画について再度検討します。
 
 患者さんの自立度は、下部尿路機能と排尿自立度のそれぞれ5項目について点数をつけることで評価することができます(図2-3)。点数が低いほど自立度が高く、0となればすでに自立している状態です。また、評価を行う際は、単に尿道カテーテルが抜去できたかどうかだけではなく、生活上で患者さん本人も家族も困らない程度に自立できたか、満足度も確認します。病棟および病院全体の取り組みの評価としては、留置カテーテルの延べ日数、有熱性尿路感染症の発症率を出し、評価します。
 
対象患者さんの自立度の評価

 新しいことを立ち上げるのは負担も大きいものですが、尿道カテーテルを抜去するという当たり前のケアに診療報酬がつきました。そして、きちんとアセスメントすることで「歳のせい」と諦められていた排尿障害を改善できる大きなきっかけとなり、在宅ケアの改善につなげることができます。2025年問題を前に、排尿自立加算ができる方法を確立することは社会としての急務です。その第一歩となる排尿自立指導料が成果を出すことができれば、病棟だけではなく外来、そして排便ケアにも拡大できる可能性があります。本診療報酬を取り入れ、エビデンスを構築して看護の可能性を広げましょう。
 


この記事はナース専科2017年6月号より転載しています。