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【連載】排尿自立指導料導入で増える!変わる!排尿ケアでできること

第3回 排尿機能に関する情報を収集しよう|病棟看護師に求められる排尿の管理とケア①

執筆 福岡美智

埼玉医科大学国際医療センター 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師

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執筆 大久保秀子

埼玉医科大学国際医療センター 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師

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 排尿ケアにおいては、所属する医療機関や病棟によって実践されている内容が異なることが少なくありません。ここからは、排尿自立指導の導入時にも必要とされるアセスメント・評価とケアの実際について、埼玉医科大学国際医療センターの実践をもとに具体的方法を解説します。


目次


排尿日誌をつける・読む

 排尿日誌は、現在の排尿の状況やパターンを知るうえで欠かせない記録です。簡便かつ非侵襲的であり、排尿状態を客観的に分析・評価することが可能です。排尿日誌をつけることで、診断やアセスメントに活用できるほか、適切なケア用品の選択、排泄誘導や訓練、退院後の指導に役立てることができます。
 
 排尿日誌を記載する目的は、飲水と排出のバランス、排泄の状況を把握すること、失禁の状況や飲水量、1回排尿量と1日の総排尿量、排尿回数、尿意切迫感の有無や程度を知ることです(図3-1)。使用する記録用紙については、医療機関ごとに自作しても問題ありません。日本排尿機能学会では排尿日誌作成委員会によるPDF版を公開しているので、Webサイト*からダウンロードすることもできます。
 
*日本排尿機能学会(2017年4月10日閲覧)http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/

排尿状態の把握

排尿日誌のつけ方

 排尿日誌は、最低24時間連続して記録し、できれば3日以上継続することが理想です。記録する内容には、「排尿時刻」「1回排尿量」「尿意の有無」「失禁量」「失禁の状況」「飲水量」などがあります。導尿した場合には自尿量と導尿量を区別して記入するようにします。
 
 失禁量については、パッドやオムツの重さから使用前のパッドやオムツ本体の重さを除いた量を記録します。排尿量と失禁量は区別しておきましょう。図3-2に当院が使用している排尿日誌の用紙とその記入例を示します。
 
排尿日誌の一例

排尿日誌の注意点

 排尿日誌をつける場合、24時間連続して尿量をチェックすることになります。夜間は転倒・転落に注意しましょう。また、患者さん自身が尿量測定をする場合は、目盛りのある計量コップなどを用意し、測定しやすい方法を検討することも必要です。


Column どのような排泄用具を使えばいいの?

 当院では、尿量測定をする場合、計量コップを使用しています。計量コップでうまく採尿できない場合には、洋式便座やポータブルトイレなどに設置可能な尿量測定容器を使用するとよいでしょう。当院でも今後、便座と便器の間に挟んで使用する採尿容器「ユーリパン(アズワン)」の導入を予定しています。ユーリパンは、ディスポーザブルの商品です。

ユーリパン(アズワン)


残尿測定をする

 残尿測定とは、排尿後に超音波または導尿によって膀胱内に残っている尿量を測ることで、排尿障害の有無と程度を評価する方法をいいます。残尿測定の適応には、排尿困難、尿失禁、頻尿などの下部尿路障害もあり、尿閉の患者さんだけが適応というわけではありません。残尿が100mLより多い場合には、腎機能障害、水腎症、結石、尿路感染症を引き起こしやすくなり、そのまま放置して重症化すると、死に至る危険性もあります。残尿量は10mL以下であれば正常です。
 
 残尿測定は導尿によって正確な残尿量を得られますが、羞恥心やカテーテルの挿入時に起こる疼痛などから、最近では、超音波画像診断装置、超音波による携帯式残尿測定専用器などでの検査が推奨されています。ここでは当院が使用している超音波による測定に基づいて説明します。

超音波画像診断装置による残尿測定

 超音波画像診断装置(エコー)(図3-4)により横断面、縦断面で膀胱を抽出し、「長径」「短径」「前後径」の3方向を計測して膀胱内容量を計算します(図3-3・3-4)。膀胱内容量は次の式で求められます。
 
膀胱内容量[ mL] =( 長径 × 短径 ×前後径)/2

超音波画像診断装置による残尿量の測定

膀胱内容量の計算方法
 
 図3-4の場合、(長径7.5cm×短径11cm×前後径8cm)÷2で、膀胱内容量は330mLとなります。
 
 エコーによる残尿測定のメリットは、画像を見ることで、患者さん自身も視覚で把握することができる点にあります。デメリットとしては、プローブには種類があるため、種類の間違えや実施者のスキルにより差が出る場合があります。
 

携帯式残尿測定専用器による残尿測定

 近年の携帯式残尿測定専用器の開発によって、膀胱内の残尿を簡便に測定できるようになり、患者さん自身に装着してもらい、記録・記載してもらうケースも増えてきました。ただし、プローブの位置固定が難しいため、使用時の初期には看護師による指導が大切です(図3-5)。現在、当院では、神経因性膀胱、下部消化管疾患術後の排尿障害、前立腺全摘術の患者さんを対象に使用しています。
 
 注意点として、卵巣嚢腫などの嚢胞性病変や膀胱の変形が大きい場合には正確な測定ができないことが挙げられます。その場合には複数回の測定が必要になります。

携帯式残尿測定専用器の使用例


参考文献
●鈴木康之,編:排尿自立指導料の実際.WOC Nursing 2017;5(1):p.22-30.
●谷口珠美,他:下部尿路機能障害の治療とケア,病態理解と実践に役立つ.泌尿器Care & Cure Uro-Lo 別冊 2017.
●日本創傷・オストミー・失禁管理学会,編:排泄ケアガイドブック-コンチネンスケアの充実をめざして.照林社,2017.


この記事はナース専科2017年6月号より転載しています。

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