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【連載】どの病棟でも押さえたい糖尿病の薬

ビグアナイド薬|経口血糖降下薬

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

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 糖尿病薬には作用が異なるさまざまなタイプの経口血糖降下薬があり、治療の主体となっています。看護の現場では、他の病気の治療のために入院した糖尿病の患者さんが、どのような糖尿病薬を使っているかを把握することは大切です。薬のタイプごとに異なる作用の仕組みや副作用など、糖尿病薬が変更される際の看護に役立つ知識を整理します。


目次


主な薬

●メトホルミン(メトグルコ®、グリコラン®
●ブホルミン(ジベトス®、ジベトンS®

作用・特徴:世界的に第一選択薬としてよく使われる薬剤

 ビグアナイド薬は、インスリンが正常に働かなくなるインスリン抵抗性を改善したり、肝臓からの糖新生を抑えたりして血糖を下げる薬剤です(図)。
 
ビグアナイド薬の代表的な働き
 
 米国糖尿病学会をはじめとした、米国やヨーロッパのガイドラインでは、第一選択薬に位置けられています。薬価は低く、古い薬剤であるため長期的な影響が知られており、よく使用されています。まづた、単独では低血糖を生じることが少ない薬剤です。

使用患者さん:インスリン抵抗性のある患者さんに使われる

 低血糖を生じにくく薬価も低い、使用しやすい薬剤であるため、わが国でも、初めて経口血糖降下薬を使用する患者さんによく使われています。インスリン抵抗性の患者さんに使用される機会が多く、さらに、糖新生を抑制するなどの働きもあるため、病態にかかわらず使用される機会が多い薬剤です。

副作用と観察:乳酸アシドーシスのリスクに注意

 代表的な副作用に、乳酸アシドーシスがあります。これは、血中乳酸値の上昇によりショック状態を招くもので、致死率が25~50%と予後不良の疾患であるため、起こさないようにすることが重要です。原因は、末梢循環不全による低酸素状態に発し、TCA回路が停止するため、結果として乳酸が産生され蓄積することによって、アシドーシスが引き起こされます。
 
 腎機能障害、飲酒、脱水、肝機能障害のある状態でビグアナイド薬を内服していると、発症するとされています。メトホルミンでは他のビグアナイド系の薬剤に比べて起こりにくいとされるものの、腎・肝機能障害などの基礎疾患の程度によっては、内服用量に十分に気をつける必要があります。特に高齢者や患者さんの基礎疾患や飲酒などの背景に配慮します。

病棟での注意:手術・造影剤使用時は2日前から内服を中止する

 手術前のほか、ビグアナイド薬の場合は特に、ヨード造影剤使用時に腎機能への負担が増すことにより乳酸アシドーシスを起こすリスクが高くなるため、事前に内服を中止しなければなりません。そのため、内服の有無と手術・検査の予定とを照らし合わせる必要があります。造影CTなどのヨード造影剤使用時は、検査日の前後2日間ずつ、合計5日間休薬する必要があります。

 検査後は十分な水分摂取をするように指導しましょう。また、全身麻酔のような予定手術の場合は、手術日2日前から内服を中止して、術後は、全身状態、摂食状態が安定してから内服を再開したほうが望ましいとされています。ただし、緊急手術などの場合では、直ちに休薬すればよく、処置を延期する必要はありません。


この記事はナース専科2017年10月号より転載しています。

【その他の薬剤】
SU薬(スルホニル尿素薬)
グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)
αグルコシダーゼ阻害薬
DPP-4阻害薬
チアゾリジン薬
SGLT2阻害薬
インスリン製剤
GLP-1受容体作動薬

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