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【連載】どの病棟でも押さえたい糖尿病の薬

SGLT2阻害薬|経口血糖降下薬

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

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 糖尿病薬には作用が異なるさまざまなタイプの経口血糖降下薬があり、治療の主体となっています。看護の現場では、他の病気の治療のために入院した糖尿病の患者さんが、どのような糖尿病薬を使っているかを把握することは大切です。薬のタイプごとに異なる作用の仕組みや副作用など、糖尿病薬が変更される際の看護に役立つ知識を整理します。


目次


主な薬

●イプラグリフロジン(スーグラ®
●ルセオグリフロジン(ルセフィ®
●ダパグリフロジン(フォシーガ®
●トホグリフロジン(アプルウェイ®、デベルザ®
●カナグリフロジン(カナグル®
●エンパグリフロジン(ジャディアンス®

作用・特徴:尿中へのブドウ糖の排出を促進する

 経口血糖降下薬のなかで最も新しい種類の薬剤です。近位尿細管でブドウ糖の再吸収にかかわるSGLT2を阻害することにより、尿中へのブドウ糖の排出を促進して血糖値を下げる働きがあります(図)。
 
SGLT2阻害薬の働き

 糖尿病の患者さんがこの薬剤を内服することによって、50~100g/日相当のブドウ糖(200~400kcal/日)が尿中に排出され、血糖値が下がることになります。また、ブドウ糖の再吸収が減少することで体重減少効果もみられます。
 
 インスリンの作用を伴わずに血糖降下作用をもたらす点が、これまでの経口血糖降下薬と異なるところです。

使用患者さん:体重減少を目指す患者さんや心疾患を併存する患者さん

 血糖変動を含めた血糖値全般を下げる働きによって、空腹時血糖、食後血糖をともに下げる効果があります。体重減少をもたらすため、肥満の患者さんが最も適応があるといわれていますが、それ以外の患者さんにも効果が見込めます。体重減少は、臨床の現場ではなかなかうまくいかないことが多いため、この薬剤を併用することにより体重が減少し、食事療法や運動療法を継続するモチベーションの維持に役立てられます。

 また、利尿効果があるため、心不全の患者さんへの効果や、心疾患の再発予防効果などがあるとの報告もあり、心疾患を併存する患者さんへの適応が期待されています。

副作用と観察:利尿による脱水と口渇、尿糖増加による尿路感染症に注意

 主な副作用として、利尿による脱水があります。口渇が出現するため、十分な飲水を指導する必要があります。特に開始1週間程度は配慮が必要です。SU薬やインスリン製剤を併用する患者さんでは低血糖のリスクがあるため、治療の開始時には特に注意します。
 
 このほか、脱水による脳梗塞や虚血性心疾患の増加に注意します。また、尿糖増加によって尿路感染症や皮疹、掻痒感をきたす場合があるため、皮膚の観察や陰部の保清と症状の問診を頻回に行う必要があります。体重減少時には、脂肪に加え筋肉量も落ちるリスクがあるため、筋レジスタンス運動(筋力トレーニング)などの指導・実践が重視されています。

病棟での注意:脱水傾向に備え、飲水、補液に配慮する

 単独の使用では低血糖を生じにくいため、絶食により低血糖となる心配は低い薬剤です。また、手術や各種処置の前後の休薬期間でも、血糖値への影響をさほど気にする必要はありません。ただし、脱水を生じやすいため、飲水の可否や補液に気を配る必要があります。

 内服開始後の脱水の判定のために、口渇の有無や体重測定、インスリンの分泌状況の確認が必要です。また、利尿効果があるため、利尿薬を服用している患者さんには脱水のリスクが高くなることに注意します。


この記事はナース専科2017年10月号より転載しています。

【その他の薬剤】
SU薬(スルホニル尿素薬)
グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)
αグルコシダーゼ阻害薬
DPP-4阻害薬
ビグアナイド薬
チアゾリジン薬
インスリン製剤
GLP-1受容体作動薬

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