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【連載】いま知りたい! 心不全の緩和ケア

第4回 緩和ケアの提供体制|心不全の緩和ケアはこう行う②

執筆 大石醒悟

兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 医師

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目次


緩和ケアの提供体制

 わが国における全国的な動向として、2016年5月に厚生労働省が「がん等における緩和ケアのさらなる推進に関する検討会」の中で、検討課題として「循環器疾患の患者さんに対する緩和ケア提供体制のあり方」が挙げられました。日本医療研究開発機構からも「循環器緩和ケアにおける診療の質評価に関する研究」に開発費が提供され、国立循環器病研究センターを中心に研究が開始されています。

 学会においても、循環器学会、心不全学会、心臓病学会の共催により、2016年以降年1回心不全緩和ケア研究会を開催、継続していくことが決定しています。また、各地で心不全の緩和ケアに関する研究会が開催されるようになってきており、今後の広がりが期待されます。

 ここでは一例として、当院における緩和ケア提供体制の実際をご紹介します。

緩和ケアチームの活動

 個々の患者さんが抱える苦痛はさまざまで、各患者さんが適切な苦痛緩和を得るために、緩和ケアは存在します。いずれの場合も、意思決定支援から開始することが重要ですが、実際には、医師や病棟看護師など単独の力では、時間的制約があるだけでなく、倫理的判断を含めた客観的判断が困難な場合も多くなります。在宅看取りなど地域とのつながりも必須となるため、多職種チームの存在が望ましいと考えられます。
 
 慢性心不全における緩和ケアチームのモデルは、①循環器科が主体となり、緩和ケア専門家が必要時のコンサルタントとなるケース、②緩和ケア専門家が主体となり、心不全専門家は治療に問題がある場合のコンサルタントとなるケースの2通りがあるとされています3)。循環器専門病院である当院では、他院より週1回緩和ケア専門医を招き、循環器科が主体となりケアを提供しています。患者支援・緩和ケアチームを組織し、個々の患者さんにとって適切な結果が得られるよう、患者さんとともに多職種が協力し意思決定を支援します(図)。当チームは、医療者の負担軽減のためにも存在する価値があると考え、診療の主体である主治医や病棟看護師など患者さんと直接かかわる各職種を支援し、コンサルタントや調整役として活動することも目的としています。
 
当院の患者支援・緩和ケアチーム

 それぞれの地域性、病院の特性などに合わせて適切なチーム医療の形は異なりますが、多面的な評価、介入が緩和ケアの提供のためには必要なので、何らかの形で多職種チームを構成することが望ましいと思われます。

心不全の緩和ケアにおける看護師の役割

 では、心不全の緩和ケアにおいて期待される看護師の役割はどのようなものでしょうか。おそらくその役割は、通常の看護業務に加え、①意思決定支援の支援者と、②多職種連携の調整役にあるように思われます。
 
 患者さんの側にいて患者さんが抱える苦痛を知る医療者は看護師であることが多く、思いを聞くことが多いのも看護師です。askから始めるアプローチを行う機会が多いのも、その内容を医師などの多職種へつなぐのも看護師です。意思決定支援において看護師の果たす役割は非常に大きく、心不全の緩和ケアの医療チームの主体は間違いなく看護師であるといえます。

 こだわりの強い医師や腰の重い医師を動かすのは看護師の思いなのかもしれません。私の周りにも看護師の思いに動かされた医師は多く存在します。読者の皆さんの頑張りに心から期待します。
 


この記事はナース専科2017年1月号より転載しています。

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