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【連載】基礎から解説!いますぐ実践できる「がんの緩和ケア」

第5回 末梢神経障害(しびれ)の悪化・怪我を防ぐセルフケア支援|がんの治療と緩和②

執筆 槙埜良江

広島大学病院緩和ケアセンター がん看護専門看護師

Cancer kanwacare

<末梢神経障害とは>
しびれや痛みとして現れ、QOLに及ぼす影響が大きい

 化学療法においては、末梢神経障害(しびれ)の副作用を起こす薬剤を使用することがあります。末梢神経障害は、がん患者さんの生活に影響を及ぼす不快な症状の一つです。化学療法による末梢神経障害は、メカニズムの詳細が明らかになっていませんが、坐骨神経痛や糖尿病神経障害などのように、さまざまな要因によって生じる神経障害性疼痛に含まれます。神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインに示された定義や考えられているメカニズムを表1に示します。

表1 化学療法による末梢神経障害と影響
化学療法による末梢神経障害と影響
神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂版作成ワーキンググループ,編:神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第2版. 2 神経障害性疼痛の病態.p20,10神経障害性疼痛とQOL.P43,真興交易,2016.
国立がん研究センターがん対策情報センター:がん情報サービス.末梢神経障害(しびれ).(2018年8月10日閲覧)
https://ganjoho.jp/public/diatre/attention/chemotherapy/sideeffect/peripheral_neuropathy.htmlを参考に作成

<アセスメント>
使用中の抗がん剤を確認し、患者さんの訴えを聞いていく

 患者さんは、末梢神経障害に対し、「抗がん剤で命が助かるのだからしびれくらいは我慢しておこう」「神経痛は時間がかかるもの、そのうち治まるだろう」と、軽視することがあります。末梢神経障害は重症化する場合があり、重症化すると、転倒、怪我などを頻繁に起こしQOLを低下させます。末梢神経障害が重症化した患者さんからは、次のような訴えが聞かれます。

「手がしびれているので物をよく落とす。落としてもしびれで拾えない」
「しびれで足がふらついて転ぶ。転んでもすぐに立ち上がれない」
「包丁で指を深く切った。しびれで切ったこともわからず血が出てわかった」
「今までできていたことが何もできない」「日常のすべてに時間がかかる」
「一人ではどこにも行けない」「家族に迷惑をかける」
「情けない」「生きている意味がない」

 QOLが低下した状態は、生きる意味を問うほどの気持ちのつらさを招きます。 

 医療者は、末梢神経障害を起こしやすい薬剤について理解し、患者さんの訴えから症状の程度や日常生活への影響をアセスメントする必要があります。末梢神経障害が出現する薬剤は、白金、タキサン系、ビンカアルカロイド系の製剤などです(表2、表3)。

表2 末梢神経障害を起こしやすい主な薬剤
末梢神経障害を起こしやすい主な薬剤

表3 末梢神経障害の主な症状(患者さんの訴えによる日常生活への影響)
末梢神経障害の主な症状

<すぐ実践できる看護>
しびれによる転倒や怪我を防ぐ、生活の注意点を伝える

 末梢神経障害は、痛みを伴うレベルに至らない場合は軽視されがちですが、症状への注意が不十分であると、しびれのある部位を怪我ややけど、転倒による打撲などで損傷する恐れがあります。看護師は、末梢神経障害の症状と日常生活の注意点(患者さんが取り組めるセルフケア)を説明し、患者さんのセルフケア能力を高めます(表4、表5)。 

 日常生活への影響が大きい患者さんでは、QOLの低下や、喪失感につながり、生きる意味を見失う場合があります。また、患者さんは、病状が進行する不安や治療効果への期待から、症状の悪化や日常生活への影響があっても、治療中止を恐れて医療者へ伝えるのを控えることがあります。看護師は、症状や生活状況を確認するとともに、患者さんの心情に配慮した心理的サポートを行います。末梢神経障害の状態によっては、緩和ケア外来などでの専門医による対応も考慮します。

表4 末梢神経障害に関する患者さんへの説明
末梢神経障害に関する患者さんへの説明
田墨惠子:末梢神経障害.濱口恵子,他編:がん化学療法ケアガイド改訂版.p185,中山書店,2012.の本文より作成

表5 患者さんが取り組めるセルフケア
患者さんが取り組めるセルフケア

まとめ                                     

看護師は、末梢神経障害を起こしやすい化学療法の薬剤について把握し、患者さんがその症状や日常生活への影響、セルフケアについて理解できるようにかかわります。

患者さんは、病状進行の不安や治療の期待から、症状悪化や日常生活への影響があっても、治療中止を恐れて医療者へ伝えることを控えることがあります。症状へのアプローチだけではなく、患者の心情に配慮した心理的サポートが必要です。


【引用・参考文献】
●神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂版作成ワーキンググループ,編:神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第2版. 2 神経障害性疼痛の病態.p20,10神経障害性疼痛とQOL.P43,真興交易,2016.
●田墨惠子:末梢神経障害.濱口恵子,他編:がん化学療法ケアガイド改訂版.p185,中山書店,2012.
●有害事象共通用語規準v.5.0日本語訳JCOG版<CTCAE v.5.0-JCOG>(2018年8月10日閲覧)http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv5J20180730v21_0.pdf
●国立がん研究センターがん対策情報センター:がん情報サービス.末梢神経障害(しびれ).(2018年8月10日閲覧)
https://ganjoho.jp/public/diatre/attention/chemotherapy/sideeffect/peripheral_neuropathy.html

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