【連載】早期介入がイイのはなぜ? 重症患者の経腸栄養Q&A

第5回 経腸栄養はどのような患者さんにいつから開始するの?

執筆 鈴木俊繁

日本赤十字社水戸赤十字病院 救急科部長

Q.経腸栄養はどのような患者さんにいつから開始するの?

A.消化管使用の条件を満たしていれば、重症患者であっても、できるだけ早期に開始します。

必要エネルギー量の60%以下が1週間以上続く場合に検討する

 経腸栄養は、①消化管の蠕動が可能である、②消化管内の栄養素が分解される、③腸粘膜から栄養素が吸収される状態で、消化管の通過障害や吸収障害がない、という3つが満たされれば、栄養障害が予想される患者さんにはいつでも開始できます。つまり、禁忌となるのは、汎発性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、消化管出血など1)です。

 病棟の看護スタッフは、入院する原因となった疾患をチェックし、患者さんの栄養状態をベッドサイドで把握する習慣をつける必要があります。

 まずは、「経口摂取ができるかどうか」を、次に「十分に食べられているかどうか」を確認します(表)。これによって、「必要なエネルギー量の60%以下しか充足できない状態が1週間以上持続する」ことが予想される場合は、何らかの栄養療法を考慮すべき1)です。
 
患者さんの栄養状態を把握するポイント

 入院しているから、重症だからといって安易に「点滴」を選ぶことはせず、経腸栄養剤の経口摂取や、経鼻チューブや消化管瘻などの方法で、「腸が機能しているときは腸を使う」1)ことを考えます。これは、重症患者に対する早期経腸栄養開始により感染症の合併症や死亡率を低下させることが報告されている2)からです。重症患者の栄養療法ガイドラインでは、重症病態に対する治療が開始されたら、可及的に24時間以内、遅くとも48時間以内に経腸栄養を開始することが推奨されています。


参考文献
1)日本静脈経腸栄養学会,編:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版.照林社,2013.
2)日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会:日本版重症患者の栄養療法ガイドライン.日集中医誌 2016;23:185-281.


この記事はナース専科2017年5月号より転載しています。

ページトップへ