【連載】早期介入がイイのはなぜ? 重症患者の経腸栄養Q&A

第7回 経腸栄養剤にはどのような種類があるの?

執筆 鈴木俊繁

日本赤十字社水戸赤十字病院 救急科部長

Q.経腸栄養剤にはどのような種類があるの?

A.窒素源の成り立ちから、成分栄養剤、消化態栄養剤、半消化態栄養剤に分けられます。

消化の過程を経るもの経ないもの区分も医薬品と食品がある

 経腸栄養剤は、まず天然濃厚流動食と人工濃厚流動食に分けられます。
 
 現在、天然濃厚流動食で市販されているものはオクノス®のみ1)です。具体的にはお粥を酵素分解し、鶏卵、人参などを加熱してすり潰して混和し、牛乳と他の原料、ビタミン、ミネラルなどを混合して製造されています1)

 天然濃厚流動食以外の経腸栄養剤は、原料を抽出分離し成分を組み合わせて乳化する技術で製造されています2)
 
 経腸栄養剤(人工濃厚流動食)は、窒素源の成り立ちから、❶成分栄養剤、❷消化態栄養剤、❸半消化態栄養剤に分類2)3)されます(表)。

さまざまな経腸栄養剤

❶成分栄養剤
 窒素源はアミノ酸であり、脂肪含有量が極めて少ないのが特徴です。消化の過程を経ずに吸収されます。製品としては、エレンタール®、エレンタール®P、ヘパンED®があり、いずれも医薬品です。この中で、ヘパンED®は肝不全用の病態別経腸栄養剤です2)

❷消化態栄養剤
 窒素源はアミノ酸、ジペプチド、トリペプチドであり3)、蛋白質は含まないので、やはり消化の過程を経ずに吸収されます。医薬品は、ツインライン®NFのみです。食品では全く脂肪を含まないペプチーノ®と、脂肪を含むハイネイーゲル®、ペプタメン®スタンダード、ペプタメン®AFなどがあります2)
 
❸半消化態栄養剤
 窒素源は蛋白質であり3)、通常の食事と同じ消化の過程を必要とします。❶❷以外のすべてが半消化態栄養剤と考えてよいですが、食品の製品開発は目まぐるしく、たくさんの経腸栄養剤があるので、使用する前には栄養剤の添付文書をチェックし、配合されている栄養素を確認されることをお勧めします。

 医薬品の半消化態栄養剤はエンシュア・リキッド®、エンシュア®・H、エネーボ、ラコール®NF、アミノレバン®ENの4種類のみで、アミノレバン®ENは肝不全用の病態別製剤です。
 
 制度上の分類としては、医薬品(医師が処方箋でオーダー)と食品(食事指示箋でオーダー)に分けられることも知っておきましょう。
 


参考文献
1)別府茂:米と濃厚流動食(抄録).東アジア米機能標準化会議,2014.
2)佐藤格夫,他:経腸栄養剤に何を選ぶべきか.日本静脈経腸栄養学会雑誌 2015;30(2):665-8.
3)日本静脈経腸栄養学会,編:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版.照林社,2013.


この記事はナース専科2017年5月号より転載しています。

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