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「訪問看護eラーニング」で、全ての訪問看護師の基礎力アップをはかりたい

解説 小沼絵理

公益財団法人日本訪問看護財団 事業部「訪問看護eラーニング」担当

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忙しい働く看護師にとってeラーニングは高い利便性

 2025年までに約15万人まで増やす目標が掲げられている訪問看護師※1。2016年時点で訪問看護ステーションに従事する看護職員数は、およそ4万7千人であることから、その養成が急務となっています。
 
 そんな中、訪問看護師の養成プログラムの1つである「訪問看護eラーニング(以下、eラーニングという)」が、今年4月に改訂されました。このeラーニングは、公益財団法人日本訪問看護財団(以下、財団という)が作成した「訪問看護人材養成基礎カリキュラム(以下、基礎カリキュラムという)」※2に準拠し、訪問看護の基礎の知識と技術を学ぶための研修システムです。
 財団が運営を行っており、年間の受講者数は1,600人前後に上ります。社会情勢や在宅医療のニーズに合わせてコンテンツを改訂し、2008年の開講以来、順調に受講者数を伸ばしています。
 
 受講者数が右肩上がりである理由について、財団でeラーニングを担当する小沼絵理さんは次のように話します。
「訪問看護師を養成する現任教育として、都道府県看護協会が開催する『訪問看護師養成講習会』があります。これを集合研修のみで開催すると約30日程度が必要で、看護師達が働きながら研修に参加することが難しい状況にありました。そこで、通学しなくても学習可能なeラーニングシステムが開発され、今では過半数の都道府県看護協会が、訪問看護師養成講習会にこのシステムを採用しています」

 2017年に財団がeラーニングの修了者に行ったアンケートでは、訪問看護の未経験者が3割弱、経験1年未満が4割、経験1~3年が2割強であり、すでに訪問看護を実践している現役者が多いことがわかります。訪問看護ステーションは事業規模の小さなところが多く、現役の訪問看護師にとっては、長期にわたり集合研修に参加するのは至難の業となります。そこで仕事の空き時間や自宅で家事・育児の合間に学習できるeラーニングの利便性が際立つのでしょう。

病棟と在宅とのギャップを埋めることに役立つ

 同アンケートで、eラーニングを知ったきっかけを尋ねたところ、「職場や上司からの紹介」が最も多い回答でした。また、満足度に関しても高い評価が得られたと小沼さんは言います。おそらく財団が運営を開始した当初、eラーニングを受講した訪問看護師たちが、現在は管理職となり、職場の新人訪問看護師たちに口コミでeラーニングを勧めてくれているのではないかと推測されています。

 eラーニングを受講するメリットを、小沼さんは次のように話します。
「1997年度から看護師養成の基礎カリキュラムに在宅看護論が採用され、30歳代以下の看護師は、在宅看護を学習してきています。しかし卒業とともに、多くの看護師が病院に就職しているのが現状です。これまでは“臨床を数年経験してからでないと訪問看護師になるのは難しい”という考えが一般的でしたが、病院看護の経験を積むことで、患者さんを生活者として看る視点が失われてしまうことがあります。

 今の病院では、在院日数の短縮が進められ患者さんとしっかりと向き合う看護を提供することが難しくなっています。もっとゆっくり、しっかり患者さんと向き合いたいと思いながらも、日々を早足で駆け抜けている人もいるかもしれません。しかし、eラーニングやビデオ教材などを通して、病院では想像することが難しい訪問看護を疑似体験し、知ることができるようになりました。
 
 訪問看護に興味がある人、これから始めようと思っている人には“訪問看護を知ってもらうきっかけ”に、すでに訪問看護の現場にいる人には“知識をより深めるために”と、eラーニングには使う人によって違った活用方法があります。1人でも多くの人に受講してもらい、全ての訪問看護師の基礎力のアップにつなげたい、というのがeラーニングの作成も含めて運営している私の願いです」
 今年からは、スマートフォンやタブレットにも対応するようになりました。詳細は下記のとおり。財団のホームページから申し込むことができます。


【受講対象】
看護師向けに作成されていますが、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・ケアマネジャーなど看護師以外でも受講することができます。実際に、2017年度の集計では看護職が99.4%を占めていますが、残りはそのほかの医療従事者です。

【受講方法】
<動作確認>
学習環境が整っているかを確認するため、まずは財団のホームページの「体験版」の視聴を行います。問題なく視聴できれば、受講可能な状態です。学習環境の整っているパソコン等であれば、自宅以外でも受講が可能です。今年度からスマートフォンやタブレットでも受講が可能となりました。
<申し込み>
申し込みは、財団のホームページから行います。「個人申込はこちら」から、申し込みフォームに必要な情報を記入します。クレジットカードまたはコンビニエンスストアから受講料を入金し、財団が入金を確認後、開講通知がメールアドレスに送られてきます。
<受 講>
「開講通知メールに記載されているURL」または財団ホームページ内の「訪問看護eラーニング」からログインします。
1)「学習開始」ボタンをクリック
2) 目次の中から学習したいコンテンツを選択

※受講可能期間は5カ月です。その後の1カ月は閲覧期間で、視聴のみが可能です。修了証書を発行するには受講可能期間内に修了案件を満たさなくてはなりません。
※各章ごとの確認テストは70%以上で合格となります。
※分からないことがある場合は、担当者にチュータボタンで質問することができます。

【修了証書】
受講可能期間内に全レッスンコンテンツの視聴と全ての確認テストの合格とコースレビュー(アンケート)回答でコース内に「訪問看護eラーニング修了証書」発行ボタンが表示されます。
更に、所定の実習を実施すると「訪問看護人材養成基礎カリキュラム修了証書」が発行されます。

【コンテンツの特徴】
受講者のほとんどが看護師で、なかでも訪問看護師の経験年数1~3年目の人が8割を占めています。eラーニングは訪問看護の基礎的内容を網羅しており、これから訪問看護を始めようという人にはちょうどよい内容となっています。また、コンテンツは「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」に準拠しています。

【こんなコンテンツが増えたり改訂されている】
時代の変化により医療のニーズは変化します。リスクマネジメント、災害看護など以前はそれほど注目されていなかった分野も、今は大きく注目されています。がん患者は通院治療が普通となり、術後も状態が安定すれば抜糸もしないうちに退院することもあります。高齢者の増加から、エンドオブライフケアなどのニーズの高まりもみられます。また、医療の進歩によりハイリスク出産時の新生児救命率が上がり、医療的ケア児が増えています。財団では、これらのニーズの変化に合わせ、必要なコンテンツの追加や改訂を行っています。
本を改訂する場合には多くの時間を要しますが、それではニーズや時代背景を反映するにはタイムラグが生じてしまいます。修正が比較的容易なeラーニングは毎年改訂を行っており、常に最新の情報を反映しています。

【受講者からの反響】
eラーニングでは受講終了時、修了者全員にアンケートを実施しています。全体の満足度は高く、難易度に関しても半数以上が「ちょうどいい」と答えています。また、eラーニングの自由度に関しても、多くの人がメリットだと答えています。財団のeラーニングは、実際に訪問看護の経験者によって作成されていることも特徴です。



※1「訪問看護アクションプラン2025」訪問看護推進連絡会議(日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会)作成(https://www.zenhokan.or.jp/new/new435/)
※2 平成28年度「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」日本訪問看護財団 (http://www.jvnf.or.jp/home/wp-content/uploads/2017/05/kisokarikyuramu.pdf)

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