【連載】入院治療中の糖尿病患者さんの血糖コントロールが難しい理由 血糖コントロールの疑問Q&A

術中の血糖トラブルを防ぐために手術室に申し送るべき情報って?

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

Q.糖尿病患者さんが手術を受けるとき、手術室の看護師に伝えておくべき患者さんの情報には、どのようなものがありますか?

A.糖尿病薬でも効果の持続するSU薬や持効型溶解インスリンを直前まで使用していた場合は、低血糖となるおそれがあるため、使用した時間、期間などを伝えておくべきでしょう。

低血糖、高血糖を来さないよう影響を及ぼす情報を伝えよう

 術中に血糖値の変動があることが問題となるため、これに影響を及ぼす表の内容について報告する必要があります。直前の血糖値はもちろんですが、この血糖値が絶対的な値として安定している数値であるのか、または変動している数値であるのかについても情報提供します。予定手術であれば事前に血糖コントロールを行っている場合が多く、基本的にインスリン療法へ変更されていますので、血糖値は安定していることが多くなります。しかし、緊急手術の場合は、直前まで経口血糖降下薬を使用していることがありますので、どのような薬剤であったかを把握する必要があります。
 
手術室の看護師に伝えたい情報

 注意を要するのは、やはりSU薬です。食事の摂取が前提で投薬されているため、絶食となった場合は薬効が強すぎて低血糖を来す可能性があります。効果も24時間程度持続するため、最終服薬時間などについても情報提供する必要があるでしょう。

 持続時間としては短いですが、グリニド薬も低血糖を来す可能性があるため、注意が必要です。一方、ビグアナイド薬は、絶食となった場合に末梢循環不全などを伴うと、乳酸アシドーシスを呈する可能性があります。術前には中止しておく必要がある薬剤ですが、緊急手術の場合は直前に内服していても手術そのものを中止する必要はありません。ただし手術直後に再開することはできま
せん。
 
 インスリン製剤について、持効型溶解インスリンは基礎インスリンが低下している患者さんにとっては絶食中でも必要となりますので、投与が必要ですが、輸液内容などによっては血糖が低下する可能性があります。したがって最終投与時間とインスリン製剤の種類、単位数について報告する必要があります。また、持続静注でインスリン製剤を使用している場合もあり、このときはインスリン製剤の投与速度、輸液の内容について情報提供の必要があります。低血糖、高血糖とならないように引き継ぐことが必要でしょう。


この記事はナース専科2017年11月号より転載しています。

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