【連載】入院治療中の糖尿病患者さんの血糖コントロールが難しい理由 血糖コントロールの疑問Q&A

ステロイド薬による血糖上昇、インスリン製剤の投与目安はどのくらい?

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

Q.ステロイド薬の使用により血糖値上昇が見込まれる場合は、インスリン製剤の量をどのように増やせばよいですか?

A.ステロイド薬の使用方法によって変わります。また、個人差があるため血糖値を見て、アルゴリズム的に調整をする必要があります。多くの場合は空腹時になると血糖値は下がるため、注意が必要です。

ステロイド薬の投与パターンによりインスリン製剤の量を調節する

 ステロイド薬による血糖値の上昇作用はよく知られており、ステロイド薬には血糖値を上昇させる作用があります。

 このため、もともと糖尿病がある人はもちろん、耐糖能異常がある患者さんも血糖値が上昇してしまう可能性が高いといえます。昼から夕方にかけて血糖値が上昇するなど、血糖値の上昇のパターンに変化があり、もともと耐糖能異常がある患者さんに対して、ステロイド薬を使用すると耐糖能が悪化します。これはインスリンの効果が減弱するためであり、血中のインスリン濃度やインスリ
ン効果を高めることが求められます。そこで経口血糖降下薬の使用やインスリン療法による治療が必要となります。

 インスリン製剤を使用する場合は、ステロイド薬の投与パターンによって投与方法が異なります。大量のステロイドを短期間(3日間など)使用する場合には、血糖の数値によってインスリン製剤を使用する、スライディングスケールを用いてコントロールすることがあります。この方法では厳格なコントロールは困難ですが、極端な高血糖を避ける目的で頻用されています。
 
 一方、内服など定時薬を使用する場合は、血糖値が上昇することはわかっていますので、インスリン製剤などをあらかじめ決めておき使用します。プレドニゾロンは朝・昼に内服することが多く、結果として血糖値の日内変動として、朝の数値はよいのですが、昼~夕~夜にかけて上昇するパターンを取ります。インスリン製剤も多くはこれに合わせて使用します。つまり、夕方にかけてインスリン濃度が高まり、夜~朝にかけてインスリン濃度が低下するパターンを取れるようなインスリン製剤を使用します。具体的には朝~昼に中間型インスリンや混合型インスリンを使用し、夕方に速効型や超速効型インスリンを使用してコントロールすることがあります。
 
 経口によるステロイド薬の継続投与が行われた場合、インスリン製剤も継続的に使用することになります。このため患者さんには、インスリン製剤の自己注射手技の指導が必要となることがあります。ステロイド薬を使用する前からインスリン製剤を使用していた患者さんでは、朝に表にある方法で中間型インスリンを使用するケースがあります。

グルココルチコイド投与量に対する中間型インスリン投与量の目安

 いざ退院となったときに患者さんが自己注射ができない事態とならないよう、主治医に治療方針を確認し、早めに指導を開始しましょう。


この記事はナース専科2017年11月号より転載しています。

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