【連載】入院治療中の糖尿病患者さんの血糖コントロールが難しい理由 血糖コントロールの疑問Q&A

経管栄養の患者さん、血糖管理で気をつけたいポイントはここ!

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

Q.経管栄養を行っている患者さんの血糖管理はどのようにすればよいですか?

A.経管栄養のときは、投与速度と使用している糖尿病薬の関係に気を配る必要があります。

基礎疾患に合わせた栄養剤の選択では血糖コントロールに注意

 経管栄養は、嚥下機能に問題がある患者さんに対し、主に経鼻胃管、胃瘻を用いて栄養剤を投与する方法です。また食事を十分に摂取できない場合にも、補助的に栄養剤を使用することがあります。投与する食品(薬剤)は液体成分であるため、吸収が速いことが特徴です。そこで耐糖能の観点から、血糖値が上昇しやすい点が特徴といえます。
 
 血糖値は、投与される流量速度によって変動しますが、投与直後から上昇する傾向があり、一般の食事と異なることが特徴です。また血糖値が上昇しないように調整された経管栄養剤もあります(表)。これらは糖質の割合を減らして、血糖上昇の抑制を狙った点が特徴です。同じカロリーであっても糖質、脂質、タンパク質間で、血糖上昇の速度が異なるため、これを利用して血糖上昇を抑制しています(図)。

糖質調整経腸栄養剤の例(1パック中)

栄養素が血糖に変わる速度

 経管栄養を行う患者さんは、さまざまな基礎疾患をもち、これらを治療する目的で疾患に合った経管栄養剤を使用しています。糖尿病があっても基礎疾患にとって必要な場合は、そちらを優先して栄養剤を選ぶケースがあります。血糖コントロールでは通常の食事のときと同様に薬剤を選択します。経口血糖降下薬でコントロールが可能な場合もあれば、インスリン製剤を必要とすることもあります。インスリン製剤を使用するときに気をつけることは、経管栄養剤をどのくらいの時間をかけて投与するかです。
 
  主に食前に使用する超速効型インスリンは、4時間程度の持続時間ですが、経管栄養剤によってはそれ以上の時間をかけて投与することもあります。この場合は、速効型インスリンのほうが望ましいコントロールを得られることがありますので使用するインスリン製剤の種類を看護師は十分に確認をする必要があります。

 このように、インスリン製剤を使用中の患者さんの経管栄養では、血糖値の測定に気を配り、投与速度と糖尿病薬に注意することが大切です。


この記事はナース専科2017年11月号より転載しています。

ページトップへ