【連載】入院治療中の糖尿病患者さんの血糖コントロールが難しい理由 血糖コントロールの疑問Q&A

退院後も継続されやすい血糖値測定、指導のポイントって?

執筆 藤田成裕

日本赤十字社長崎原爆病院 内分泌・代謝内科部長

Q.退院する患者さんに対し、血糖値の測定はいつ行うように指導したらよいですか?

A.血糖値の測定をなぜ行うか説明することが重要です。ただ測定するだけではなく、患者さんの療養行動を変えるために行ってもらうという意識で指導します。

測定されなければ意味がないため意義を理解してもらう

 血糖値の自己測定には、表にあるような目的と意義があるとされています。

血糖自己測定の目的と意義

 入院中の患者さんでは、血糖値は種々の治療の効果判定、病態の確認などとして、主に医療者サイドにとって必要な情報となりますので、主治医や糖尿病担当医の指示に従い測定していけばよいものです。

 ところが退院となると、自宅での血糖値測定は患者さんにとっても必要なものとなります。そこで退院時に、血糖値測定方法などを指導する場合があります。

 指導のときに気をつけるポイントとしては、何のために血糖値測定を行うか、意義について十分説明しておくことが最も重要となります。よく入院中と同じタイミングで、各食前と食後・入眠前という1日7回もの血糖値測定を継続させるケースがあります。もちろんそれだけの回数が必要な患者さんもいるため、全くダメということはありませんが、実際の生活上でこれだけの回数を測定することは、日常生活にとって大変な負担となります。それだけに重要性について患者さんの理解を得ておかないと、血糖値測定に振り回される結果となり、測定そのものに拒否反応が出てくる可能性があります。

 これを避けるためにも、血糖値は患者さんの種々の行動の結果として現れるもので、その数値をみることで、食事・運動・薬剤の効果を判定できるものであることを指導し、理解を得ることが必要です。患者さんがこれを理解できずにいると、測定時間に縛られてしまうことがあり、例えば入院中には、食事を12時に摂っていたために、患者さんは「何としても食事を12時に摂らないといけない、血糖値測定もその時間にしないといけない」と考え、測定することが目的となってしまいます。

 食後2時間で縛れば、食後2時間のタイミングを待つために、さまざまな日常生活に影響が出てきてしまいます。結果として拒絶感が出てしまい、血糖値測定そのものを行わなくなってしまう可能性があります。

 血糖値の測定は行わなければ意味がないため、食後の血糖値測定は食後どれくらいの時間に測定したかを記録すればよいことを説明するなど、目的や意義を伝え、患者さんに必ず測定してもらえるよう理解を促しましょう。


この記事はナース専科2017年11月号より転載しています。

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